2つの鐘は鳴らされた−黄昏−

「…っ………」

目を開けた途端、眩しい光が目に入り、思わず顔を背ける。
体を起こしてみると、どうやら自分は橋の上にいるようだ。

現在位置を確認しようにも、ここでは逃げ場がない。
とりあえず目の前に見える橋の入り口まで移動する事にした。

入り口付近で腰を下ろしてデイパックから地図を取り出し、現在位置を確認する。
ついでに目立たないような建物があるかどうか探してみる。

明空に「目立たない建物に行け」と言ったのは、場所をある程度限定して明空を捜すためだった
ああでも言わなければ合流するのに2、3日ぐらいはかかってしまうだろう。
ましてや明空は動き回るほうだ。
何回も入れ違いになるだろうことは容易く予想できる。

と、地図に見覚えのある建物が記されていることに気づく。

(…なぜ、小学校が?)

目が留まった先は、自分と明空あそらが過ごした紫琉小学校。
それが、何故このフィールドにあるのか。
…よく見れば、地図には見知らぬ名前の建物がいくつもある。
「国立魔法研究所」なんて、現実には絶対ありえない名前だろう。

(…魔法を使う奴がいるのか…厄介だな)

このゲームの参加者の何人かに、魔法が使える者がいるということだろうか。
そうなれば、自分は圧倒的に不利だ。

念のため、支給品を確認してみる。
入っていたのは、ラベルの貼ってあるビンに入った赤い液体と、何の変哲もないハンドガンだった。

(武器が入っていただけマシか…)

銃なんて、せいぜいゲームセンターのガンシューティングで馴染みのある程度だ。
使い方を間違えれば、自分が怪我をしかねない。
鈍器代わりにしか使えないだろうが、素手よりはマシである。
ビンの液体も、もしかしたら毒かもしれない。

(…これに期待はしない方がいいだろうな)

ともすれば、戦力が必要になってくる。
こちらにも魔法を使える者がいたほうが生き残る可能性は上がる。
とすれば、力になれそうな者を探すべきだろう。

(つるむのは苦手だが…そんな事を言ってられるような状況では無いしな…)

小学校の周囲を見れば、木々で囲まれているようだ。
恐らく、ここが一番目立たない所なのだろう。

そうと決まれば行動するのは早い。
荷物をまとめ、木造校舎へと移動を始めた。


(しかし…あの男、何が目的なんだ?)

脳裏にあの部屋での出来事が思い出される。
部屋に集められた上に殺し合いをしろなど、とても常人の考えることではない。
しかもあの男に向かっていった明空を手も触れずに制するなど、少なくとも人間ではないだろう。

(…まぁ、とりあえずあいつをどうにかしなければならないだろうな…)

自分は明空と共に帰れればそれでいい。難しいことだとは分かっていても。
そんな思いを胸に秘めながら、冥夜は木造校舎へと向かっていった。



【B-5:X1Y4/橋/1日目:朝】
【冥夜@La fine di abisso】
[状態]:正常
[装備]:奈々の拳銃@BlankBlood(仮)、エリクシル@SILENT DESIREシリーズ
[道具]:デイパック、支給品一式(食料6/6・水6/6)
[基本]:主催者の打倒
[思考・状況]
1.古い木造校舎へ向かう。
2.明空を捜す。

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