涼子さん、御守をするの巻


「ブ〜キブキブキ武器がない♪ってね。」

何処かで聞いたことがあるような旋律で、自虐的な歌を歌う女性。
青いアンダーテールの彼女、天崎涼子{あまさき りょうこ}はそうでもしていないと頭が痛くて死にそうだった。

「涼子さーん!まってよー!」

酷く間した声が涼子の後ろから聞こえる。
その声の主こそ、彼女の頭痛の原因だった。

「・・・だぁー!!もう!どーしてこの涼子さんがガキの御守なんて・・」
「ガキじゃないよ、神代伊織かみしろいおりだよ。神様の『神』に、鈴木史朗の『代』に・・」
「・・伊太利の『伊』に、織姫の『織』でしょ。」
「そうそう♪伊織ちゃんって呼んでくださいね♪涼子さん。」

何故か巫女服を着ている少女、神代伊織は笑顔で涼子を見る。
(ううー・・くらくらしてきた・・・。)

あの時ふと、この建物の中を探検しようと考えたのが運の尽きだった。
(古い建物=お宝放置されてるかも=奈々居ない=お宝独り占め=うはおk・・って、今思えば。)

「・・・流石に、短絡的すぎたわねー。」
「えっ?何か言いましたか?」
「いーえ!なんにも!さっ、さっさと誰か見つけるよ!」

涼子が伊織と行動を供にしている理由。
それは、この建物の中で一人彷徨っていた彼女と出くわした時にまで遡る。

〜〜〜〜
【C−2:X2Y4/古い木造校舎内部/1日目:朝】

「・・O.K.当てが外れた。というわけで、さっさとでよーっと。」
お宝目当てで建物の中に入って見たはいいが、よく分からないガラクタだらけでそれらしき影は見えなかった。
せめて武器になりそうな物でもあればよかったのだが、それすらも今の所、絶望的だ。
私は仕方ないので探検を打ち切ることにした。

「・・誰っ!!」
「えっ!?」

ドアの向こうに、人の気配を感じた私は叫ぶ。
ドアの向こう側に居る者は、一瞬動きを止めた。
(さーて、鬼が出るか蛇が出るか・・・・まぁ、ヘビは出て欲しくないけどね。)
相手が逃げるのであれば、それはよし。
向かってくるのであれば、蹴り倒すか逃げる。
私は一応、身構えた。
ほんの少しの間の後、ゆっくりとドアが開いた。
(今のお気持ちはぁ〜・・・さぁ!どっち!!)

――結論から言えば、どっちでもなかった。

「わぁー!!ひとだー!!よかったぁー!!」
「・・はぁっ?」

開いたドアの先から現れたのは、巫女服に身を包み、狐っぽいお面を頭に乗せた少女だった。
少女は笑顔でこちらに走り寄ってくる。
そのあまりの予想外な出来事に、私は脱力せずにはいられなかった。

「・・・誰よ?あーた。」
「えっ?私?」
「んだ。あーただよ。あーた。」
「神代伊織だよ。神様の『神』に、鈴木史朗の『代』に、伊太利の『伊』に、織姫の『織』って書くんだよ。」
「・・・ふーん。」

神代伊織と名乗った巫女服の少女がどんなヤツか、私には一瞬にして分かった。
(・・・バカっ子だわ。)
正直、ヘビが出てきてくれた方がまだマシだった。

「じゃ。私はこれで。」
「えっ!?」

私は軽く手を上げて挨拶を済ませると、そそくさと彼女の脇を通り過ぎようとした。

「まっ!待って!お願い!!」

そう叫んだ彼女は、こともあろうに私の自慢のアンダーテイルを引っ張ってきた。
私は危うく首を傷めそうになった。

「あだっ!!おいコラ!それは引っ張る所じゃない!!」
「あっ!ご、ごめんなさい!!でも、待って!お願いだから!」
「いーやーだ!涼子さんは忙しいのだ!」

彼女、見かけの割りに意外と強情だ。
引っ張るのは止めたとはいえ、しっかりとアンダーテールを握ってる辺りから、窺い知ることができる。
(ano,ミス。あの、涼子さんが、何か悪いこと・・・・あっ、しましたかそうでしたか。)
思い当たる節はいっぱいあるようなないような・・。
兎に角、よりによってとても厄介な相手と出会ってしまったものだ。

「此処まで一人だったんでしょ?」
「・・・うん。」
「じゃ、また一人でいいじゃない。私は、一人でいいし。」
「一人はヤダよ!一人に・・しないで。」

彼女は今にも泣きそうな顔で私を見つめる。
どうにも、このままでは離してくれそうにない。

「じゃあ、他の人探せばいいじゃなーい!兎に角、私はおたかr・・・武器探しで忙しいのよ!」
「あっ・・武器なら、あるよ。」
「えっ?」

まさか、食いついてくるとは思わなかった。

「ほらっ・・私、こういうの、持ってても使えないし・・・。」

彼女はそういいながら、背負っていたバッグを目の前に据えると、中に手を突っ込んだ。
そして、出てきたものは確かに武器だった。
その内1つは、それなりの長さの剣だった。
片手で振り回すのは勿論、両手でしっかり握っても良さそうだ。
しかし、私はあまり長い得物は好みではない。
(・・うほっ、いい短剣。)
もう1つは、とても私好みな形の短剣だった。

「じゃ。その短剣を・・」
「あげません。」
「・・いいから、ソイツをコッチにYO☆KO☆SE!」
「イヤです!!一緒に来てくれると約束してくれるまであげられません!」

この女、物でこの涼子さんを釣るつもりだ。
そんなエサには釣られ・・・

「・・・あーもう。じゃあ、他に誰か見つけるまでなら一緒に行ってやんよ。それでいいでしょ?」
「ホント!?・・え、えっと、じゃあ。誰か見つかったらこれあげますね、涼子さん♪」
「なんと!オヌシ、今くれないと申すか。」
「はい!だって涼子さん、今あげちゃったらそのまま私を一人にしちゃいそうですし。」
「・・うぐぅ。」

〜〜〜〜

なんだろう、この女。バカだと思ってたんだが、意外と腹黒い。
いつの間にか、私はこの巫女服少女の御守をすることになってしまっていた。
今にして思えばあの時、無理矢理奪って逃げてもよかったのだ。
それなのに、『ちょっとだけなら付き合ってもいいや。』なんて気まぐれを起こしてしまったのがいけなかった。
(涼子さんイッショーの不覚!・・・って、何度目だっけな?『イッショーの不覚』って言うの。)

「涼子さーん!早く探しに行きましょうよー!」

いつの間にか涼子を追い越した伊織は大声で彼女を急かす。

「わーたから、あんまり騒がないの。」
「・・・あっ!私、男の人怖いから、女の人を探して欲しいな。」
「なんですとー!?・・・涼子さん、泣きたい。」
「何かいいました?涼子さん。」
「いーえ、なんでもありませーん!」
(誰でもいいから、早くコレの御守代わってー!)

涼子の受難はもう暫く続きそうだった。

【C−2:X2Y4/古い木造校舎の校門付近/1日目:午前】

【天崎涼子{あまさき りょうこ}@BlankBlood(仮)】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:デイパック、支給品一式
防犯用カラーボール(赤)x2@現実世界
ライトノベル@一日巫女
怪しい本@怪盗少女
[基本]:一人で行動したい。我が身に降りかかる火の粉は払う。結構気まぐれ。
[思考・状況]
1.武器を探す、ついでにお宝も探す
2.仕方ないので神代伊織をテキトーなヤツと引き合わせる
3.とりあえず、奈々を探してみる

※神代伊織をテキトーな人物に引き合わせたら鉄の短剣を受け取る約束をしています。

【神代伊織{かみしろ いおり}@こどく】
[状態]:健康
[装備]:なぞちゃんのお面@アストラガロマンシー
[道具]:デイパック、支給品一式
アーシャの剣@SILENTDESIREシリーズ
鉄の短剣@リョナラークエスト
[基本]:とりあえず同性と一緒に行動したい。できれば大人数で行動したい。
[思考・状況]
1.天崎涼子についていく
2.他に一緒に来てくれそうな人を探す

※天崎涼子が誰か一緒について来てくれる女性に引き合わせてくれたら鉄の短剣をあげる約束をしています。

@後書き
とりあえず、問題なさそうでしたので投下させていただきますね。(^^;
涼子さんの口調とか性格とかかなり脳内補完しちゃってます。
ファンの皆様大変申し訳ありません。orz
そして、やはり自分が明らかに書きすぎですね・・。
暇人ですみません。(´・ω・`;)

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