何やってんの、お前ら


リョナたろうは目の前の直立二足歩行のトカゲにデイパックを渡してもらった後、
真っ先に支給品の確認を行った。

「食料、水、地図、筆記道具…はこれか?
紙は…ずいぶん良い紙使ってるな。これは方位磁石だな。
照明道具は…どれだよ?これか?」

懐中電灯を手に持って調べつつ、10分ほどでリョナたろうは何とか使い方を覚えた。
その間、隣のトカゲは近くを飛んでいたチョウチョに舌を伸ばして捕まえたりしていた。
何となくそのトカゲの顔に懐中電灯の光を向けると、トカゲはびっくりして顔を庇いつつ、

「憤慨激怒!(何すんねんコラ!)」

と、いかにも怒っている様子でギャーギャーと喚いてきた。

「悪い悪い。」

トカゲに謝りつつも、リョナたろうは手に持つ懐中電灯に改めて目を向ける。

「それにしても便利な道具だな…どんな魔法使ってるんだよ?」

懐中電灯の便利さに舌を巻くリョナたろう。
そして、次に名簿を確認してみる。

「オーガ、モヒカン、リゼ…。知り合いは三人か。」

オーガは自分のように仲間集め、モヒカンは本能の赴くまま行動、
リゼは怯えて隠れ続ける。
仲間たちの行動はこんな感じだろうと予想する。

「まあ、まずはリゼを探してやるか。あいつ字が読めないし、
俺たちがここに呼ばれていることも分からないだろうからな。」

そう呟き、もしリゼを見つけたら後ろから脅かしてやろうかと思うリョナたろう。
そのときのリゼの顔を想像し口元をにやつかせ、ふと思考が逸れていることに気づく。

(あいつのことは再会してから考えるとするか。)

そう思い、リゼのことは頭から追い出した。
ついでに追い出した後、床に叩きつけてグリグリと踏みにじって靴を舐めさせ、
それからようやく思考を元に戻す。

自分に配られたランダム支給品とやらを確認すると、出てきたのは弓と20本の矢、
そして赤い色の札が10枚だった。

「弓矢か…不意打ちには使いやすいが、接近されると面倒だな…。」

まあ、武器が出てきただけ良しとしよう。
リョナたろうはそう考え、今度は赤い札のほうに興味を移した。

わざわざ支給されたものなのだから、何か特別な力くらいあるはずだ。
リョナたろうはそう考え、とりあえず目の前のトカゲの額にビタリと札を貼り付けてみた。

「………。」

何も起こらない。
微妙な沈黙が辺りを支配したが、リョナたろうは特に気にせずに、

「んじゃ、そっちの支給品も見せてくれたまえよ、トカゲ君。」

トカゲ君は素直にデイパックをリョナたろうに渡してくれた。

「どれどれ…おお、ファイト一発!
これがあるなら少しは疲れを気にせず動けるな。後は…何だこりゃ?」

拡声器と手榴弾を見て、首を傾げるリョナたろう。
しかし、リョナたろうは先ほどの懐中電灯のことを考えるとこれらの道具も
きっと何か凄いものなのではないかと推測する。

「よし、この二つもどうやって使うのか調べてみるか。トカゲ、お前はこっちを頼む。」

そう言って、手榴弾を渡すリョナたろう。
トカゲは了解したという顔で手榴弾を受け取り、不器用な手つきで弄り始めた。

それを確認したリョナたろうは近くの切り株に腰を落として、拡声器を調べ始める。
すると、すぐに懐中電灯のときと同じようなスイッチを見つけることができたので
さっそく押してみることにした。

しかし、何も起こらない。

リョナたろうはどこかスイッチを入れる前と変わったところはないか探してみたが、
特に何も変わったところはない。
他に同じようなスイッチやおかしなところはないかも探してみたが、そんなものは
見当たらなかった。

さて、ではどうすればいいのかと考えていたリョナたろうの耳を突如、


ドゴオオオォォォン!!


盛大な爆音が襲った。

驚いて振り向くと、そこには目を回してノビているトカゲ。
よく見ると、鱗が少し焦げているのが分かる。

(敵か!?)

そう思い、警戒しながら気絶したトカゲに走りよって声をかける。

「『おい、大丈夫か!?』って、うぉわっ!?」

自分の声が予想外に大きく響き渡り、リョナたろうは驚いて拡声器を落としてしまう。
その拡声器が落ちた音も辺りに大きく響き渡ったことから、リョナたろうはこの道具が
音を大きくするものだということをやっと理解できた。

しかし、今はそんなことはどうでもいい。
というより、気にしていられる状況ではない。

(一応の)仲間は相手の攻撃により意識不明。
こちらの位置は相手に把握されているが、こちらは相手がいる方角すら分からない。
そして、相手は爆破の能力もしくは道具を持っていて、殺傷力はかなり高いと推測される。
おまけにさっきの爆発と響いた声のせいで、周りに参加者がいた場合はそいつらにも
自分たちの存在を認識させてしまったことになる。

(最悪じゃねーか…!)

リョナたろうは苦虫を噛み潰したような表情でギリリと歯を鳴らした。
すぐにここから離れたいが、トカゲを気絶させた敵がそれを許してくれるとは思えない。

リョナたろうは全身を緊張させ、気を張り詰めて相手の出方を伺う。



いもしない相手の出方を。



もちろん、この騒動の原因はリザードマンが渡された手榴弾である。
リザードマンは手榴弾を弄り回していて、その過程でピンを外してしまったのだ。
その結果として当然のごとく手榴弾が爆発したという、ただそれだけの話である。

普通なら至近距離で手榴弾が爆発したら、人間なら死ぬか大怪我だろう。
しかし、彼は人間ではなく硬い鱗を持つリザードマンであり、さらに丈夫な鎧も着込んでいた。
そして、彼の鱗と鎧はしっかりと彼を爆風と破片から守ってくれた。
そのおかげで彼は死を免れ、大した怪我もなく意識を失うだけで済んだのだ。


リョナたろうはそんなことなど知らずに、間抜けにも一人で警戒を続けている。
そして、彼の傍らには間抜けの片割れ、ひっくり返って気絶しているトカゲの姿。



そんな彼らに一言だけ言わせてもらいたい。



何やってんの、お前ら。(´・ω・`)






【C-3:X1Y4/森/1日目:朝】

【リザードマン@ボーパルラビット】
[状態]:気絶、小ダメージ、鱗が少し焦げている
[装備]:リザードマンの鎧@ボーパルラビット
赤い札(額に貼り付いている)@一日巫女
[道具]:デイパック、支給品一式(食料無し)
ファイト一発*2@リョナラークエスト
[基本]:本能のままに
[思考・状況]
1.リョナたろうと共に行動
2. 生存本能によって賢さブースト中
3. 愛嬌を振りまいて仲間を作る
4. でも女の子を襲うつもり


【リョナたろう@リョナラークエスト】
[状態]:健康
[装備]:拡声器@バトロワ
リョナたろうの鎖帷子@リョナラークエスト
[道具]:デイパック、支給品一式
弓@ボーパルラビット、聖天の矢×20@○○少女
赤い札×9@一日巫女
[基本]:主催者を倒す+女の子を襲う
[思考・状況]
1.襲撃者を警戒
2.リザードマンと共に行動
3.オーガ、モヒカン、リゼを探す
4. 主催者を倒すための仲間集めを考える
5. でも女の子を(ry

※リョナたろうの使える魔法は「サーチ」です。
※必殺はまだ未定です。


※爆音と拡声器の声は最低でも周り1マスには届きました。
(近くにいたリゼや萩には音が木々に遮られたために聞こえなかったと
 いうことにしておいてください。)


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