守るべきもの


ガシャン、ガシャン、ガシャン・・・

巨大な鉄の塊が、昏い街を歩き回る。
八蜘蛛はそこの宿屋の二階に、身を潜めていた。

(あれも、あの人間の放った化け物かしら・・・だとしたら辛いわね。)

先程5人の人間を殺していった黄土色の巨人も、十分厄介な相手だ。
しかし目の前の化け物はそれ以上の大きさで、おそらく力も硬さも上。
デイパックにはハンマーと剣が入っているが、八蜘蛛の身体能力ではとても相手にならない。
糸による攻撃も、力があれば振りほどかれるし、生命力が全く感じられないので精力吸収も期待できない。
言葉が通じるのなら是非とも味方にしたい所だが・・・おそらく無理だろう。

(とりあえず、こっちに気付かずに行ってくれれば良いんだけど・・・)



「むぅ・・・ここも外れかのう・・・」

リザードマンの村で何も得られなかったゴート。
彼が次の目的地に選んだのは昏い街だった。
思えばバトルロワイアル開始から今まで、出会った参加者は1人だけ。
そろそろ他の参加者に、レボワーカーのパワーを見せ付けたくなったらしい。
そこで、「街というからには誰かおるじゃろ」という単純な考えで、ここまでやって来たのだが・・・

街のどこを見ても、人の姿は見当たらない。
どうやらこのじじい、そうとう運が無いようだ。

「誰もおらんのなら仕方あるまい。」

ゴーとはあきらめて次の施設に移動しようとした。

だがその時、コクピットに並ぶ計器の一つが、反応を示した。

「おおっ、これはっ!!! えーっと・・・」

ゴートは分厚いマニュアルを開き、その計器の説明を探し始めた。



(止まった・・・まさか、気付かれた!?)

化け物が立ち止まったのは、八蜘蛛の隠れている部屋の窓の、すぐ前だった。

八蜘蛛は敵の姿を確認する。
平たい頭に盛り上がった肩、突き出た胸、背中に背負った「何か」。
相手は見るからに鈍重だ。倒すのは不可能でも、攻撃を避けるぐらいなら出来るはず。
そう思った八蜘蛛は集中力を高め、敵の攻撃に備えた。

しかし、化け物は全く動こうとはしない。
何百ページもあるマニュアルから目的のページを探し出すのは、
優秀な頭脳を持つゴートにとっても、やはり困難なことなのだろう。
もっとも、八蜘蛛はそんな事情を知る由もないが。



数分後。

ウィーン・・・

不気味な機械音と共に、化け物の背中の「何か」が動いた。
そしてそれは、尖った部分を八蜘蛛の部屋の窓に向けて停止する。

(・・・来る!)


ガシャアアアン!!!

物凄いスピードで射出された「何か」は、窓ガラスを貫き、天井に突き刺さった。

(は、速い!!・・・逃げないと!)

予想外の速さに驚き、慌てて部屋を飛び出す八蜘蛛。
そのまま階段を駆け下り・・・ようとした所で、足を止めた。

(違う。今のは・・・囮。)

魔王三将軍の一人として、実戦経験豊富な八蜘蛛は、すぐさま敵の狙いを察知した。

さっきの飛び道具は、弾速は速いものの照準を合わせるのに時間がかかっていた。
しかも攻撃は直線的で回避は難しくない。
隠れている相手を狙うならともかく、通常の戦闘ではおそらく役に立たないだろう。
ならばあの化け物の主力武器は何か。
考えるまでも無く、巨体とパワーを活かした直接攻撃で間違いない。

(どうやら、建物から飛び出した所を狙おうって魂胆ね。)

あの巨体では、建物内に入るのは不可能だ。
壁も見たところかなり頑丈で、さすがにあの化け物でも壊せそうにない。
つまり、八蜘蛛が建物内にいる限り、化け物は回避しやすい飛び道具しか撃てないのだ。

そのことに気付いた八蜘蛛は、今度は別の部屋に入って、再び身を潜めた。

(さて・・・どう出るかしら。)



ガシャン、ガシャン、ガシャン・・・

化け物は宿屋の入口の前で、獲物が出てくるのを今か今かと待ち構えているらしい。

(ふふっ、この八蜘蛛様にはそんな姑息な手段、通用しないわ。)

その様子を思い浮かべて、八蜘蛛はふっと笑みを浮かべる。

しかし・・・

(う・・・あ・・・なに・・・こ・・・れ・・・)

全身の力が抜け、その場に倒れこむ八蜘蛛。
彼女の背後には、割れた窓から侵入した、夢の精霊バクの姿があった。

 

ゴギッ

「いぎっ・・・があああぁぁああっ!!!」

八蜘蛛は右足に鋭い痛みを感じ、一発で目を覚ました。

『ふぇふぇふぇ・・・気が付いたようじゃの』

化け物の顔の辺りから、不気味な声が流れる。
この部分に取り付けられたスピーカーが、コクピット内の音声を流しているのだ。

「き、貴様・・・この八蜘蛛様をよくも・・・!! ぐあっ!」
『口のきき方に気をつけるんじゃ。この状況が分からんわけでもあるまい。』

八蜘蛛は今、化け物に両足を掴まれ、逆さ吊りにされている。
しかも右足の骨が折れているらしく、化け物が少し手を動かしただけで激痛が走る。
持ち物は全て奪われ、デイパックも、大事な帽子も砲台も、離れた所に転がっている。

「ぐ・・・う・・・」
『しかし、まさか隠れていたのが、このような少女だったとはのう。』



マニュアルを読み返した結果、宿屋の前で反応した計器は、「熱感知レーダー」というものだった。
有効範囲はせいぜい数メートルで、暖房機器などにも反応するという欠点はあるが、
生物の放つ熱をかなり正確に探知できるらしい。
それによると、窓の裏側に、何らかの反応がある。
ここでゴートは考えた。
レボワーカーで直接建物内に乗り込むのは不可能だ。
かといって、生身で乗り込めば返り討ちにあう可能性もある。
そこで、まずは相手を驚かせ、宿屋の外に出そうとした。
ここまでは八蜘蛛の読み通りである。
唯一の誤算は、ゴートの支給品にはバクという人を眠らせる力を持った精霊がいたこと。
彼は相手が出てこないと分かると、その精霊を建物に潜り込ませ、
相手の位置を教えて眠らせるという方法を取ったたのだ。
結果、作戦は成功し、八蜘蛛は囚われの身となってしまった。



『存分に楽しませてもらうぞぃ!』

グギッ

「あがぁぁぁあああうっ!!」

巨大なレボワーカーの腕が、八蜘蛛の左足を握りつぶした。

『さて、お次は・・・』

ゴートが手元のレバーを器用に操作すると、レボワーカーの手がわずかな隙も無く移動し、
八蜘蛛の身体を両腕で抱える、ベアハッグの体勢になった。

「な、何を・・・」
『決まっておるじゃろ。ほれ。』

両腕に徐々に力が入り、八蜘蛛の身体を締め上げる。

「い・・・ぎ・・・あ・・・」
『苦しくて声も出んか? まだまだこれからじゃぞ。』

締め付けはどんどん厳しくなっていく。
八蜘蛛は既に、呼吸すら困難な状態だ。

『ふぇーっふぇっふぇっ。愉快愉快。さて、次はどうしようかの?』
「か・・・ぷはぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」

呼吸が出来てホッとしたのも束の間。今度は八蜘蛛の身体が、空高く掲げられた。

『ほいっ!!!』

八蜘蛛の身体が地面に叩きつけられる。

「ひいぃっ!」

ゴシャッ

ようやく拘束を解かれた八蜘蛛だったが、既に動く力は残っていなかった。



「さてと、もう良いじゃろ。」

ゴートは八蜘蛛が動かなくなったのを確認して、レボワーカーから降り、彼女の元へ歩み寄る。

「!!!・・・貴様、何者だ・・・!」
「ふぇふぇふぇ、こいつの主人、とでも言っておこうかの。」

驚きと憎しみの混じった視線を投げかける八蜘蛛に対し、ゴートはレボワーカーを指差して笑う。

「くっ・・・この八蜘蛛様が・・・こんな・・・こんな人間ごときに・・・!」
「おお怖い怖い。そんな子には・・・おしおきじゃっ!」

ゴートは八蜘蛛の胸を、思いっきり踏みつけた。

「ぅあああっっ!!」

普段の彼女なら何とも無いレベルの衝撃だが、満身創痍の身体には厳しすぎる。

「ほっほぅ、良い声で鳴くのぉ。ほれ、ほれ、もっとじゃ!」

肩、腰、腹、頭と、ゴートは八蜘蛛の身体のあらゆる場所を蹂躙する。
そのたびに八蜘蛛は苦しそうな悲鳴を上げ、ゴートは喜びの声を上げた。



だが、ゴートは気付いていなかった。
この光景を見て駆け寄ってくる少女の存在に。

「さてと、そろそろとどめを・・・はごあぁっ!」

ゴートの頭に、何か固いものが飛んできた。

「むぅ・・・これは、支給品の水ではないか。一体誰・・・があああぁぁっ!」

彼がペットボトルに気を取られている隙に、少女は手に持った杖で、彼の背中を殴打した。

「あんた、大丈夫?」

その少女が八蜘蛛に声をかける。

八蜘蛛は彼女の姿を見て、思った。
羽の生えた帽子に長い髪、木でできた杖に、簡素な一繋ぎの服。
どう見ても肉弾戦の心得があるようには見えない。
だが、見た目と実力が比例するとも限らない。実際、鈴音や桜の例だってある。
そして何より、はっきり見えたわけではないが、さっきの攻撃は全く動きに無駄がなかった。
この女は、使える。

「ふぇ・・・ふぇぇぇぇん」
「おお、怖かったか。よしよし、もう大丈夫だからね。」

少し嘘泣きをすると、いとも簡単に彼女を味方につけることができた。
八蜘蛛は心の中で舌を出しながら、無力な少女の演技を続けた。

「ちょっと待っててね。お姉ちゃんが、あいつをやっつけてあげるから。」
「へ・・・」

自分に浴びせられる鋭い視線に、こっそりレボワーカーに戻ろうとしていたゴートが思わず振り向く。

「いたいけな少女にこんな酷いことするなんて・・・神様が許しても、あたしが許さない!」
「わ、ま、待った、話せば、話せば分かる・・・」
「分かりたくもないわ! 天罰!!!」
「ウボァー」

少女の杖が脳天に直撃し、ゴートは気を失った。





 

「ぐ・・・か、はっ・・・」

ルカが脇腹を押さえてうずくまる。
その視線の先には、こちらに銃口を向ける、青髪の少女の姿があった。

「あんたは・・・”悪”だ。」

杖を持った女と、倒れている人間が二人。
普段のシノブであれば、もっと冷静な判断が出来たかもしれない。
しかし今の彼女には、その女が他の二人を襲ったとしか、考えられなかった。

「くっ・・・」

ルカはひとまず、相手を刺激しないように、杖を地面に追いて両手を挙げた。
相手の武器の正体は分からないが、少なくとも遠距離から攻撃できることは確か。
自分は負傷している上、武器は杖一本。この状態で抵抗するのはあまりにも無謀だ。
いや、仮に自分が万全の状態であったとしても、勝てる見込みは薄い。
目の前の少女の発する威圧感は、巨大なモンスターをも遥かに上回る。

(でも、これで納得してくれる相手じゃなさそうね。)

ルカの予想通り、シノブは銃口を下げようとはしない。

「”悪”は・・・殺す!」

シノブが引き金に力を込める。

だがその時、背後から声が聞こえた。



「ルカ、さん・・・どこ・・・?」
「誰だっ!!」

シノブが振り返ると、一人の少女が覚束ない足取りで、こちらに向かって歩いてくる。

「リヨナ!」

ルカが思わず叫んだ。
この一声が、シノブに二人の関係を気付かせる事になる。

「・・・お前の、仲間か。」
「なっ・・・!」

自分の迂闊な行動を悔いたが、もう遅い。
シノブは、ルカに銃口を向けたまま、もう片方の手に短刀を握り、りよなに鋭い視線を向けている。

「リヨナ、逃げて!!」
「え・・・どうしたんですか急に?」

必死に訴えるが、りよなは足を止めようとしない。
目が見えず、状況が分からない以上、仕方のない事だろう。
今、ルカに出来ることは一つしかなかった。

「ちょっとあんた、目の見えない子を殺すつもり!?」

目の前の少女に訴える。
彼女に少しでも良心があれば、りよなだけでも助けられるだろう。

「目が、見えないのか?」
「そうよ、生まれつき、ね。・・・だから彼女はあんたの言う”悪”じゃない。」
「そうか・・・」

シノブが短刀をホルスターに戻す。
どうやら、説得は成功したようだ。



「あ、あの・・・」

りよなが、シノブのすぐ後ろで立ち止まった。
さすがにここまで近付けば、人がいる事は気配で気付くのだろう。
そしてその人が、ルカではない誰かである事も。

「失せろ。あんたに用は無い。」

シノブが冷たく言い放つ。

しかし、りよなの返答は、彼女の予想とは異なるものだった。

「あなたには無くても、私にはあるんです。」
「!!!」

ごおおおっ

りよなが素早くデイパックから取り出したサラマンダーが火を噴き、シノブの背中を焦がす。

「ルカさんが言った事、訂正します。」

ごおおおっ ごおおおっ

炎を放ちながら、りよなが語りかける。

「私・・・本当は見えるんですよ。・・・強い光なら。
 そう、例えば・・・あなたが撃ってルカさんを貫いた、光の玉とか。」

ごおおおっ ごおおおっ

「それに、たとえ見えなくても・・・音や匂いで、人の位置は分かります。」



「リヨナ・・・」

ルカは唖然としていた。

もし彼女のいう事が本当ならば、彼女は、ルカが負傷したのを知った上で、
あえてその相手に近付いていった事になる。
出会った頃の彼女からは考えられない行動だ。

しかしそれ以上に気になるのは、彼女の使っている、炎を放つ武器。
焼死体となった女性の姿が、ルカの脳裏に浮かぶ。

「リヨナ、まさか、あなた・・・」
「ああルカさん、無視してしまってごめんなさい。
 でもその身体だともう戦うのは無理ですよね。後でちゃんと殺してあげますから。」

「エリーシアさんと、同じように。」
「なっ!!・・・そん、な・・・」

りよなの言葉に対して、ルカは何も言うことが出来なかった。



「そう、か・・・あんたは、仲間を・・・」

不意に、ただ炎を浴びていたシノブが口を開いた。

「”悪”だ・・・」
「悪?私がですか?」

その一言を聞いたりよなが反論する。

「私が悪なわけないじゃないですか?なよりを助けるために頑張ってるのに。
 なよりが死ぬなんてありえないんです。生き返って当たり前なんです。
 だから私が正しいんですよ。悪はあなた達です。」
「・・・・・・」

りよながさらに続ける。

「私一人生き残って、願いを叶えてもらう。
 なよりを生き返らせてもらう。それが一番じゃないですか。
 だから、だから、なよりの為に、みんな死んで!!」

すでに、正気ではない。
彼女の事を全く知らないシノブにも、はっきり分かった。
たが正気でない事は、この場において免罪符になりはしない。

ドンッ!

シノブが片手で、りよなを突き飛ばした。
不意の反撃を受けたりよなは、数メートル吹き飛んで尻餅をついてしまった。

「そん、な・・・どうして・・・あんなに、焼いたのに・・・」

りよなが放った炎は、人間一人焼き払うには、十分すぎる量だった。
それでもシノブが倒れなかった第一の理由は、雨という天候により、大幅に低下した火力。
しかしこれはりよなにも分かっていた事だ。だから出来るだけ身体に密着させて火を放った。
だがもう一つ、りよなが想定できなかった理由がある。

「・・・アタシは、もっと強い炎使いを知ってる。
 アイツの炎に比べたら、熱くもなんともねえっ!」

今は亡き、シノブの親友。
彼女のためにも、シノブは倒れるわけにはいかなかった。

「どうして・・・どうして邪魔するんですか!?
 なよりが泣いてるのに!!なよりが怖がってるのに!!
 あなた達を殺してなよりを生き返らせてあげないといけないのに!!!」

もはや意味を成さない叫びを聞き流しながら、シノブは短刀を手に、一歩一歩、りよなに近付く。

「なより・・・待っててね。お姉ちゃんが助けてあげるから。」

完全に錯乱しているりよなに対して、シノブが短刀を突き出す。

ザクッ

 

刺した者も、刺された者も、見守る者も。
その場の誰もが、言葉を失った。
雨音だけがやかましく鳴り響く。

その静寂を破って、一人の少女が、口から血を吐いた。

「ぐ・・・はっ・・・さすがに、こたえるわね・・・」
「ルカ・・・さん・・・?」

ルカは、りよなを庇った。
彼女の腹には短刀が突き刺さり、もう助かりようのない深い傷を作る。

「・・・ルカ、さ、ん・・・」
「リヨナ、無事、ね・・・逃げて・・・」

かすれた声で、りよなの身を案じる。

「早く!」
「は、はい!」

ルカの言葉で我に返ったりよなは、方向も分からぬまま、とにかく走り出す。

「くっ・・・逃がさん!」

シノブがそれを追いかけようとする。

「・・・させない!」

それを阻止しようと、最後の力を振り絞って、ルカがシノブの両腕を掴む。

「な、に・・・離せ!!」

シノブは振り解こうとするが、ルカの力は異常なほど強く、全く外れる気配が無い。
その間に、りよなの姿は、雨の中へと消えていた。



「何故だ・・・何故、アイツを庇った!!!」
「無償の愛、ってやつかな。・・・わたし、一応見習い神官だし。」
「愛、だって・・・!?」

ルカの言葉に、シノブが動揺する。
それでも彼女は、それを押さえつけるように、大声を出す。

「あんたは憎くないのか! 仲間を殺した、アイツがっ!!」

仲間を殺した相手を、庇う。
こんな事は今回が初めてではない。
しかも前は、逆の立場だった。
シノブはそれを、自分の言葉によって思い出した。



「ソイツは!! 美咲をっ!! 鬼龍院美咲を殺したのよっ!!
 シノブッ!! 貴女、憎くないのっ!! ソイツは親友を見殺しにしたのよっ!!」

甲高い声が、シノブの頭の中で響く。

「憎くない・・・わけない。・・・だけど・・・」



「・・・憎い。」

ルカが小さな声で呟く。

「エリーシアが死んだ時、誓った。彼女の代わりに、リヨナを守るって。
 だけど、エリーシアを殺したのがリヨナだって知ったら・・・
 憎しみが湧いてきた。許さないって思った。殺してやりたい、とも。
 ・・・無償の愛って言っても、結局はこんなもんね。」

自分自身に言い聞かせるように、ルカが語る。

「だったら!」
「だけど!! わたしはリヨナを守る!
 私の使命は、何もしてくれない神様の代わりに、みんなを守る事だから!」

命に関わる傷を受けているとは思えないほどの、力強い言葉。
さらに一呼吸おいて、続ける。

「・・・それに、リヨナはわたしの大切な、仲間だから!」



「アタシにとってはロシナンテも、もう親友なんだっ!」

シノブ自身の声だった。
親友を見殺しにロシナンテは許せない。
だが親友であるロシナンテを見捨てることは出来ない。
彼女は、ロシナンテを庇った。
ルカと、同じだった。

しかし、その末路は・・・

「ぐああああああぁぁああっ!!」
「――ロシナンテッ!!」

ロシナンテは死んだ。シノブの目の前で。
彼女だけではない。多くの親友が、この戦いで命を落とした。

(その時、アタシは・・・何をしていた?)

美咲が死んだ時、アーシャが死んだ時、エルが死んだ時・・・
自分にもっと力があれば、彼女達が死ぬことは無かったかもしれない。



「・・・何も、出来なかった。」
「え・・・?」
「美咲は死んだ! ロシナンテは死んだ! アーシャは死んだ! エルは死んだ!
 アタシは、何も出来なかった! ”悪”を、潰せなかった!!
 親友を・・・守れなかった!!!!」

今度は、ルカが驚く番だった。



彼女も、シノブと同じ。
多くの人と出会いながら、そのほとんどを既に亡くしている。
しかも、彼女が何も出来ないまま。

目の前の少女も、同じ苦しみを味わってきた。
その事実だけでルカは直感した。
彼女は、ただ人を殺すことを楽しむような殺人鬼ではない。
行き場の無い怒りを抱えて苦しむ、血の通った人間なのだ。



「だったら・・・分かるでしょ・・・」

ルカが目に涙を浮かべて、シノブに訴える。

「私も、守れなかった・・・早栗も、奈々も、エリーシアも・・・
 だから今度こそ、りよなを守りたい・・・」
「・・・・・・」

シノブは黙って、ルカの言葉に耳を傾ける。

「ううん、それだけじゃない。」

一呼吸置いた後、ルカが続ける。


「わたしは、あなたを救いたい。」


怒り、悲しみ、苦しみ・・・
自分も仲間を失ったから分かる。

でも、自分は立ち直ることが出来た。
りよなが、居たから。

守るべき仲間が、居たから。

人は、弱い存在。
一人だけでは生きていけない。
だけど人は、どんな苦難も乗り越えられる。
仲間との絆があれば。

だから今は、僅かな時間でも、彼女の側にいたい。
それで彼女が、救えるのならば。



「そう、か・・・」

シノブが静かに口を開く。
その落ち着いた様子を見て、ルカは安堵した。
彼女の表情からは、先程までの激しい怒りが消えていた。
この様子なら、もう大丈夫だろう。



そう思ったのも、束の間だった。

ザクッ

「かっ・・・」

シノブの短刀が、ルカの喉を切り裂いた。

「”救い”なんていらない。
 アタシは・・・”悪”だ。」

(あ・・・く・・・?)

ルカは聞き返そうとするが、喉をやられて声が出ない。
その様子を見たシノブは、さらに言葉を続けた。

「そして・・・あんたも、”悪”だ!」

大切な相手を守れない、弱い者。
”悪”に負けた、弱い者。
それでもなお、今度こそはと守るべき相手を見定め、
力足らずに、不幸を撒き散らす。

「あたしは、”悪”を許さない。全ての”悪”を、ぶち殺す。
 そして最後に・・・あたしを殺す!」

(そん、な・・・彼女の苦しみは、わたしじゃ受け止められないの?
 また・・・何も出来ないの?)

既に抵抗の術を失ったルカに、シノブが迫る。

(神様、どうか・・・)

ただ目を閉じて、祈ることしか出来ないルカ。

(リヨナを・・・この子を・・・)

その直後、彼女を激しい衝撃が襲った。

 

暖かい・・・
今までの冷たい雨が嘘のような、心地よさ。

自分は、死んだのだろうか。
神の御許に、行けたのだろうか。

おそるおそる、目を開ける。
彼女の目に映ったものは・・・

(なに、よ・・・これ・・・)

大量の蜘蛛の糸に縛られた、青髪の少女の姿だった。

「とんだ茶番だったわね。もっとも、おかげでこっちは準備する時間が出来たんだけど。」

背後から声が聞こえた。
振り向こうとするが、身体が動かない。
彼女もまた、蜘蛛の糸に包まれているのだ。

「あなたには感謝してるわ。私が力を取り戻せたのも、あなたがあの人間を倒してくれたおかげだしね。」

(わたしが・・・倒した?・・・まさか!)

ルカは、この声の主が誰なのか理解した。
この戦いで自分が倒したのは、幼い子を痛めつけていた老人一人。
それに対して感謝するというのだから、自ずと相手は限られる。

「それにしても、あなたが単純で助かったわ。あんな嘘泣きで騙されるなんて。」
(だまされた?・・・そんな・・・)

ボロボロの少女とそれに迫る老人を見て、ルカは特に疑いもせず、少女を守ろうとした。
しかしその行為は、ここに来て完全に裏目に出た。後悔しても、後の祭りである。

「ああ、でも嬲られてたのは演技じゃないわ。
 この八蜘蛛様があそこまでやられるなんて、思い出しただけで腹が立つ!
 まあその分、あの人間が枯れるまで吸ってやったけど。」

ルカには見えなかったが、八蜘蛛の側には、骨と皮だけになったゴートの死体が転がっていた。

「でもねぇ、さすがにあんな年寄りじゃ養分が全然足りないのよ。
 あの子を逃がしたのは惜しかったな。後で追いかけなきゃ。」
(あの子?・・・まさかリヨナ!!)

最悪の状況を想像してしまったルカは、慌てて糸から抜け出そうとする。
しかし、抜け出すどころか、指一本動かすことさえ出来ない。

「うふふ、無駄よ。あなた程度の力じゃ、この糸は切れない。
 ・・・それより、一つ提案があるんだけど。」
(提案・・・?)

「私としても、死体とか死にかけの人間から養分を取るのは、効率が悪くてね。
 出来れば、生きた人間を一人ぐらい、確保しておきたいのよ。
 で、何だかんだ言ってもあなたも死にたくないでしょ。
 だから、私の家畜にならない?
 もしなってくれるんなら、糸を通して生きるのに必要な栄養をあげるわ。
 その代わり、定期的に生命力を吸わせてもらうけどね。
 ふふ、良い考えでしょ。」

(なっ・・・)

彼女の「提案」は、ルカの常識を超えていた。
人間から養分を取って生きる魔物が居る事は知っている。
しかし、栄養を与えて生命力を奪うなんて、牛や豚にやる事ではないのか。
そもそも家畜なんて、神様から人間に与えられる物だ。
それなのに自分が家畜になるなんて・・・有り得ない。

だが、今の彼女には声を出すことも、首を振って拒否の意思を示すことも許されない。
それを十分に承知した上で、八蜘蛛は続けた。

「返事が無いって事は・・・OKって事よね。」

八蜘蛛がさらに糸を放ち、ルカの身体を包み込む。
その繭の中でルカは、深い眠りに堕ちていった・・・



「さて、次はあなたの番ね。」
「・・・・・・」

シノブは、糸に縛られてから、ずっと黙ったままだ。

「・・・かなり燃費が悪いわね。何もしてないのに生命力がどんどん落ちてるわ。
 今のうちに、全部吸っちゃおうかしら。」
「・・・・・・」

依然、シノブは言葉を発しようとしない。

「その前に、あなたに聞いておきたい事があるんだけど・・・
 あなた、さっきロシナンテが死んだって言ったわよね。詳しく教えてくれる?」
「ロシナンテ・・・!?」

シノブは、ロシナンテの言葉を思い出した。

彼女は自分を魔王軍の一員だと言っていた。三将軍の一人とも。
そして、勇者と戦い、一度殺されたと・・・

三将軍の一人がこの戦いに参加している以上、他の二人も居ると考えるのが自然だ。
そして目の前の少女は、ここに来てから出会ったはずの無い、ロシナンテを知っていた。
そこから導き出される結論は・・・彼女もロシナンテと同じ、魔王軍三将軍の一人であること。

(いや、違う・・・ロシナンテは、こんな奴とは違う・・・)

ロシナンテは、ただ強者との戦いのみを望み、無抵抗の相手を殺したりはしなかった。
だが目の前の相手は、動けない老人を殺し、傷ついた少女を家畜にし、さらには盲目の少女まで襲おうとしている。

シノブは彼女に向かって、強く言い放った。

「あんたに、話す事なんてねぇっ!」
「あ、そう。じゃあ良いわ。死んで。」

八蜘蛛の反応は、冷たいものだった。
彼女にとってロシナンテは、知り合い以上の何者でもないのだ。

八蜘蛛はさらにシノブの周囲に糸を張り巡らし、
シノブに向けて、蜘蛛の使い魔を大量に召喚した。

「ふふっ、特別に見せてあげるわ。
 八蜘蛛流奥義・・・天網天鎖連結無限!!!」



(また・・・負けんのか?)

蜘蛛に身体を蝕まれながら、シノブは自分自身に問いかける。

(ぶち殺せるんじゃ、なかったのか・・・?)

”悪”を潰すために得た力。
だが強大な力は、身体への負担も大きかった。
力の代償として消耗するシノブの生命力は、もうほとんど残っていない。

(こんな・・・こんな酷え”悪”を前にして・・・)

今自分が戦っている相手は、その前に出会った少女達とは、比べ物にならないほどの外道。
こんな大事な時に力を使えずに負けたら、死んでも死に切れない。

(ちくしょう・・・ちくしょう・・・)

シノブの目から、涙が零れ落ちた。



「(・・・さん)」

その時、誰かの声が聞こえた。

「(シノブさん!!)」

今度は、ハッキリと。
彼女の名は・・・

「(リト!)」
「(シノブさん・・・良かった、無事で。)」

シノブが共に戦ってきた相棒の名を呼ぶと、彼女もそれに応えた。

「(リト・・・ごめん。あたし、勝手に暴れちまって、歯止めが利かなくなって・・・)」
「(もう、良いんですよ、シノブさん。こうやって元に戻れたんですから。)」
「(それだけじゃない。この力があれば、”悪”に負けねえって思ったのに、
  肝心なところで動けなくなって、それで・・・
  結局あたしは、この程度の弱い奴だったんだな・・・)」

シノブが自嘲気味に語る。
だがリトは、それを認めなかった。

「(そんな事ありません!)」
「(リト・・・?)」
「(シノブさんは、勝ちます。)」
「(だけど・・・もう力なんてどこにも・・・)」

シノブ自身は、魔力や生命力を感知することは出来ない。
それでも、自分の身体に力が残っていない事は良く分かっていた。

「(力なら、ここに。)」
「(・・・リト・・・?)」
「(私の全魔力を、シノブさんに注入します。)」
「(えっ・・・)」

そんな事をしたら何が起こるか。
シノブの知識では全く分からないが、リトにとって悪影響がある事は、容易に想像できる。

「(そんな事したら、リトは・・・!)」
「(はい、良くて意識不明。下手すると消滅してしまうかもしれませんね。)」
「(なっ・・・馬鹿ヤロウ! なんであたしなんかの為に!)」

シノブが激昂するが、リトはあくまで落ち着いて答えた。

「(”悪”を許せない・・・シノブさんの想いは、私の想いでもあるんですよ。)」
「(リト・・・)」

「(さあ、時間がありません。)」



まばゆい閃光が、シノブから発せられる。
八蜘蛛は目を閉じて耐えるしかなかった。

そして、彼女が目を開けた時には・・・


大量の糸も、蜘蛛の使い魔も全て消えて、一人の少女が雨の中に立っていた。

 

顔も同じ。服装も同じ。見かけは何一つ変わらない。
しかし彼女の発する鋭い気は、以前の何倍もの強さだった。

「あたしは、あんたを許さない。・・・あんたは、”悪”だ!!」

シノブが高々と宣言する。
これだけで八蜘蛛は、恐怖の余り震え上がった。

ザッ
「ひいっ!」

シノブが拳を握りしめ、八蜘蛛に向かって一歩踏み出す。
一方の八蜘蛛は、戦うにしても、逃げるにしても、身体が全く言う事を聞かない。

(う・・・ひくっ・・・この、八蜘蛛、様、が・・・)

目からは涙が流れ、太股には黄色い筋が通っている。



その時だった。

一筋の剣閃が、シノブに襲いかかる。
奇襲を受けた彼女は、後ろに飛び退くしかなかった。

二人の視線が、その剣閃を放った人物に集まる。

「真剣・・・『五代十国』」



「番・・・!」
「門番!!!」

彼女の名を呼ぶ二人の声が重なる。
それを聞いた門番は、二人の顔を見比べて、八蜘蛛のところに駆けつけた。

「何故・・・お前」
「やくもーん!!!」

八蜘蛛の言葉をさえぎるように、門番が彼女に抱きついた。

「うぁ、く、苦しい、分かったから離れろ・・・あと私の名前は”はちぐも”だ。」
「あぁー、ゴメンゴメン。でも目が覚めてから初めて知り合いに会ったんだもん。」
「そ、そう・・・(なんだか今日はいつになく元気ね)」

普段とは全く違う門番の様子に戸惑いながらも、
八蜘蛛は彼女が自分の知っている門番だと認識した。

「じゃあさじゃあさ、ロッシーとハギーは?」
「(誰よそれ・・・)えっと、ロシナンテなら死んだらしいわ。萩は知らない。」
「ええっ、あの人死んじゃったの!?」

門番が目を丸くして、大袈裟に驚く。
八蜘蛛はその様子を呆れた様子で見ていた。
その時、彼女の持っている剣が、八蜘蛛の目に留まった。

「あれ、その剣は・・・」

見間違いでなければ、門番の持っている剣は、八蜘蛛のデイパックにあったものだ。

「ああっ、あれってあなたのだったの?」

門番は最初から剣を持っていたわけではない。
八蜘蛛が襲われているのを見て、咄嗟に近くに落ちていたデイパックから引き抜いたのだ。

「うーん、それじゃあ・・・あっ!!!」

いくらこんな状況でも、人の物を盗むのは泥棒。この剣は八蜘蛛に返さなければならない。
そう思った門番だったが、すぐに状況が変わった。



ダンッ

シノブの放った銃撃が、門番の足元に突き刺さる。
いつでも攻撃できるという意思表示だ。
その事を理解した門番は、八蜘蛛に告げた。

「八蜘蛛・・・この剣、暫く借りる。」
「え、ええ、構わないわ。(雰囲気が・・・変わった?)」



「番・・・そいつを、庇うのか・・・?」
「・・・ああ。」

シノブの問いに、門番が静かに答える。

「何故だっ! そいつが、どんなに酷い奴か、分かってんのか!!」
「・・・分かってる。」

八蜘蛛が味方すら切り捨てるような者である事は、門番もよく知っている。
シノブが彼女に怒りを感じる理由も、何となくだが想像できる。
だが、彼女がどのような人物であるかは、門番には関係の無いことだった。

「私は、魔族を守護する者。同族を見捨てはせぬ。」
「そうか・・・分かった。ならばあたしは、あんたを倒す!」

シノブにとって、門番と戦う必要は無い。
しかし、”悪”を庇うのであれば、戦わないわけにはいかない。



「・・・行くぞ。突剣・・・」

先に仕掛けたのは門番だ。
剣先を真っ直ぐシノブに向けた構えのまま、一気に間合いを詰める。

「『乾坤一擲』」
「遅い!」

残り3メートル程の所で、攻撃態勢に入る門番。
しかしスピードはシノブの方が上だった。
僅か一瞬のうちに、門番の懐に潜り込む。

「サンダーステーク!」
「がっ!」

電撃を纏ったアッパーで、門番の身体が宙に浮く。
空中で動けない隙を狙って、シノブはさらに追撃する。

「シャイニングシュート!」
「ぐあぁっ!」

魔力を込めた蹴り上げにより、門番が空高く舞い上がる。
たった二発で相当量のダメージを受けた彼女に対して、シノブは追撃の手を緩めない。

「スパークルカッター!」
「くぅっ!」

空中で門番を捉え、同時に魔法の刃で腹部を切り裂く。
だがこれは、次の一撃への布石に過ぎなかった。

「ツインチャージ・アイスストーム!!」
「うぐっ、おおあああああぁぁぁあああ!!!」

零下40度の氷の拳が、腹部の傷にピンポイントで突き刺さる。
その衝撃で門番は大きく吹き飛ばされ、強烈な冷気は彼女の内臓を蝕む。
外側だけでなく内側からも、強烈な痛みが彼女を苦しめる。



ドサッ

門番は、成すすべなく地面に叩きつけられた。

(くぅ・・・これ程とは・・・)

相手の方が上であることは、予想していた。
しかし、ここまで差があるとは思っていなかった。
何故なら彼女は、本気を出せば魔王相手でもそれなりに打ち合える程の実力者だからだ。

とりあえず、身体を起こしてみる。なんとか立ち上がる事は出来た。
でもそこまで。走ったり飛んだりは出来そうにない。
それでも・・・諦めるわけには行かない。

一方のシノブは、戦意を失っていない門番の姿を見て、膨大な魔力を右手に集めた。
どうやら、本気で門番を消し飛ばすつもりらしい。

「フ・・・最早、避けられぬか。」

大きなエネルギーを纏って突っ込むシノブに対し、門番は胸に手を当て、目を閉じた。

「イノセント・デストラクタァ!!!」

シノブの最大の魔法が、炸裂した。

 

閃光の後、静寂。

立ち尽くす者と、地面に倒れた者。

その一部始終を見届けた八蜘蛛が、足を引き摺って倒れた仲間のもとへ歩み寄る。

「門番・・・」
「ぅ・・・ん・・・」

名前を呼ぶと、彼女は弱弱しい声で答える。

「見せてもらったわ。あなたの実力。
 まさか、あの人間を相手に・・・」

八蜘蛛は、シノブの方に目を遣る。

「・・・勝ってしまうなんて。」



シノブは、死んでいた。
拳を放った姿勢のままで。

八蜘蛛が手を触れると、バランスを崩した身体はその場に倒れこんだ。



「一体、何なの?・・・あなたの最後の”技”」

シノブの一撃が当たった瞬間、門番が動いたように見えた。
ただ、それ以上の事は、八蜘蛛には分からなかった。

「ああ、あれは・・・」

門番は深くうなずいて、語り出す。

「致命傷を受けながら、なお生きんとする意思に任せて、相手の生命を奪い取る。
 生と死の狭間より、溢れ出る無限の力。
 秘剣・・・『自虐無間』」





【D-3:X3Y1/昏い街/1日目/夕方】


【門番{かどの つがい}@創作少女】
[状態]:体力激減、負傷、冷気による内臓損傷
[装備]:リザードマンの剣@ボーパルラビット
    不眠マクラ@創作少女
[道具]:デイパック、支給品一式×2(食料13、水11)
    SMドリンクの空き瓶@怪盗少女
    あたりめ100gパックx4@現実世界
    財布(中身は日本円で3万7564円)@BlankBlood
    ソリッドシューター(残弾数1)@まじはーど
    霊樹の杖@リョナラークエスト
[基本]:キングを泣きながら土下座させる、そのための協力者を集める
[思考・状況]
1.まずは体力回復
2.とりあえず食事?
3.八蜘蛛を守る
4.キングを泣かすのに協力してくれる人を探す

※不眠マクラの効果に気づいていません
※ロシナンテが死んだらしい事を知りました
※一回目の放送は聞いていません
※シノブ、ルカの分の支給品を手に入れました
 もしくは八蜘蛛に持たされました
※技の性能が原作より大幅に上がってるのは仕様です
 というか原作の自虐無間が微妙すぎる(ピンチ技なのに威力普通の単体吸収攻撃)
 原作では寝起きかつ怒り補正が無かったので実は実力の半分も出せてないと勝手に予想



【八蜘蛛@創作少女】
[状態]:全身、特に足にダメージ(養分吸収である程度回復)
[装備]:トカレフTT-33@現実世界(弾数8+1発)(使い方は鈴音を見て覚えた)
    弾丸x1@現実世界(拳銃系アイテムに装填可能、内1発は不発弾)
[道具]:デイパック、支給品一式×3(食料14、水14)
    モヒカンハンマー@リョナラークエスト
    メイド3点セット@○○少女
    バッハの肖像画@La fine di abisso
    チョコレート@SILENTDESIREシリーズ
    ロカ・ルカ@ボーパルラビット
[基本]:ステルスマーダー
[思考・状況]
1.ルシフェルを倒す(そのために実力のある参加者を味方につける)
2.エリーシアを殺す
3.人間を養分にする
4.萩、ロシナンテと合流する

※ロシナンテが死んだらしい事を知りました
※一回目の放送は聞いていません



【ロカ・ルカ@ボーパルラビット】
[状態]:腹部に致命傷、八蜘蛛の繭の中、意識混濁
[装備]:なし
[道具]:なし
[基本]:生存者の救出、保護、最小限の犠牲で脱出
[思考・状況]
1.何も考えられない

※八蜘蛛の繭から栄養を得て、辛うじて生かされている状態です
※何らかの原因で繭から出れば、特別な事情が無い限りすぐに死にます
※支給品は門番に奪われました



【川澄シノブ&スピリット=カーマイン@まじはーど】
[状態]:死亡

※支給品は門番に奪われました



【ゴート@リョナマナ】
[状態]:死亡、養分は全て八蜘蛛に吸われた
[道具]:デイパック、支給品一式×2(食料11、水11)
    レボワーカー@まじはーど(損傷度0%、主電源入)
    バク@リョナラークエスト
    猫じゃらしx3@現実世界
    大福x10@現実世界
    弓矢(25本)@ボーパルラビット
    レボワーカーのマニュアル@まじはーど

※レボワーカーは昏い街の近辺に放置されています
※デイパックと支給品は、バクも含めてレボワーカーのコクピットの中です





「はあっ、はあっ、はあっ・・・」

りよなは雨の中、道も分からず、ただ走っていた。
自分を殺そうとする者から逃げるために。

「きゃっ!」

何かに躓いて、転ぶ。目の見えない彼女にとっては、仕方の無いことだ。
そもそも、ここまで普通に走って来られた事が、奇跡に等しい。

「う・・・うぅ・・・なより・・・」

大切な妹の名を呼ぶ。
しかし、応えは返ってこない。



そんな彼女に、転機が訪れた。

「・・・これは・・・!?」



【D-3:X3Y1から少し移動/1日目/夕方】

【篭野りよな@なよりよ】
[状態]:疲労、精神不安定
[装備]:サラマンダー@デモノフォビア
    木の枝@バトロワ
[道具]:デイパック、支給品一式(食料9、水9)
[基本]:マーダー、なよりを生き返らせる
[思考・状況]
1.善良な参加者を見つけて利用する

※「何か」を見つけました
 「何か」が何なのかは次の書き手さんに任せます
 まさかの大逆転でも、まさかのギャグ展開でも、どうぞご自由に



次へ
前へ

目次に戻る




inserted by FC2 system