われた希望

 
(やっぱり魔術的なトラップがかかってる、それもかなり複雑な)
(解けそう?)
(たぶんいけるとおもう)

ナビィとえびげんを見送った後クリスと初香は早速手に入れた首輪の分析にかかっていた。
盗聴を警戒して相変わらず会話は筆談である。

(魔法で首輪を壊そうしたり、単純に力で引きちぎろうとすると即爆発する仕掛けみたい)

このトラップを解除するには起爆キーに触れないように慎重に魔術を逆算していかなくてはならない。
針の穴に糸を通すような作業だが、自分ならできないことはないだろう。

(そっちはどう?)
(詳しいことは分解してみないとわからないけど首輪に一定以上の負荷がかかると爆発するんだと思う。他にもレーザーなんかで焼き切ったり、電気ショックで壊されたりしないようにできてると思うんだ。具体的にはどこかにセンサーが……)

すさまじい速さで紙に文字を書きなぐっていく初香をクリスはあわてて静止する。
初香の世界の専門知識を長々と解説されてもクリスには理解できないだろう。
だから単刀直入に聞く。

(解けそう?)

正直クリスは初香にこの首輪をはずすことができるとは思っていなかった。
あれだけ複雑な魔術トラップがかけられていたのだ、おそらく初香の世界の技術を使ったトラップも相当複雑なものだろう、こんな小さな子供がどうにかできるとは思えなかった。
しかし、

(解ける)

初香は当然だといわんばかりに断言した。
初香は十歳にして十以上の国家資格を持つ天才少女だ。
その膨大な知識の中には爆発物の処理や電子機器に関するものの含まれていた。
クリスは驚きに目を丸くしたが、そういう反応をされるのには慣れている。

(でも解体するには道具が要る、えびげんさんたちが帰ってこないとどうしようもないね)
(それじゃあまず、わたしがやってみる)

そういってクリスが手をかざすと首輪の周りの空気が淡く発光しだした。



一方、ミアと明空は少し離れた所で今後の予定について話していた。

(やっぱ脱出するにはこの船しかないとおもうんだ)

明空が指したのは地図の南東にある豪華客船だった。

(でも、操縦できるかしら?)
(大丈夫だって、こんなの勘で何とかなるって。俺、携帯の説明書とか見たことないけど使えるもん)

何とかなるわけがない。
モーターボートぐらいなら何とかなるかもしれないが、ここにあるは豪華客船である。
素人が操縦できるはずがない。

(そうね、これだけの人数がいれば何とかなるかも)

一方でミアはというと帆船のようなものを思い浮かべている。
無論、ミアはキングリョーナを倒すまで脱出するつもりはなかったが、あの男と戦う前に美奈や初香を含めた戦闘力のないものたちを逃がさなくてはならないだろう。



そんな二人を少し離れたところで冷ややかに見つめているのは美奈である。

(この人たち、バカ?)

どうやら本気で豪華客船で逃げるつもりらしい、ばかばかしくてつっこむ気も起きない。

「私は私でどうやったら生き残れるか考えといたほうがよさそうね」

やむ気配のない雨の音を聞きながら、美奈は小さく独り言ちた。





時間は少し戻って、国立魔法研究所に程近い森の中。
ぐごおぉぉおおぉぉ、がおおぉぉぉぉ、と、森にはひどく不似合いな怪音が響いていた。
そこへ、ぽつりぽつりと、雨が降り始める。

「ふごぁ?!」

怪音の主は突然顔に当たった水滴に驚いて飛び起きる。

「なんだ、雨かよ。人が気持ちよく寝てんのに」
「やっと起きたかよ、がーがーいびきかきやがって」

モヒカンとダージュである。
二人は出会った後すぐにでも国立魔法研究所を襲撃するつもりだった。

そのために、まずダージュのデイパックの中身を確認して使えそうなものを見繕い、魔法でモヒカンも怪我を回復して、準備を整えいざ、というときに問題が発生した。
モヒカンのイリュージョンが使えないことが判明したのである。
いままではしゃぎまくって考えなしに乱発してきたのだから、魔力が尽きるのも当然の結果である。

敵はあの強力なボウガンのような武器を所持しているだろうからイリュージョンが使えないのは非常にまずい。

仕方なく二人は食事としばらくの休息をとることにした。

「で、どうだ?調子のほうは、いけそうか?」
「おう!ばっちりだぜ」
「そうか、じゃあまず状況を説明する。お前が寝ている間にずいぶん状況が変わった」



「と、言うわけだ、一人増えたが後から来た男はどうも素人くさい、敵は実質二人ってとこだろう」
「ちっ、俺はオーガを殺したあのふざけたメイド女が一番殺りたかったんだがな」

えびげんが別行動をとったことを聞いたモヒカンは悪態をつくが、ダージュは気にすることもなく木に立てかけてあった槍と盾を手に取る。
この槍はダージュのデイパックから出てきた支給品のひとつだった。

「まあ、あそこを乗っ取って待ち伏せしてりゃそのうち帰ってくるだろう」

それを聞いてモヒカンもしぶしぶ太い木の枝を折って作っておいた即席の棍棒の束を抱える。

「よし!じゃあいくとするか、これ以上雨にぬれたら俺様の自慢のヘアーが崩れちまうぜ。
………そういや雨が降ってるが“あれ”は大丈夫か?」
「問題ない、デイパックの中にしまってある。作戦は頭にはいってるな?」
「まかせとけ!」

自信満々に言い切るモヒカン。
その態度に逆に不安になる。

(いくらバカでもこんな簡単な作戦を忘れるとは思えないが、念のためもう一度確認しておくか)

彼らの出陣はもう少し後になりそうだ。





「できた……」

緊張の糸が切れて思わずつぶやいてしまった言葉に全員が反応する。
あわてて口を押さえるクリス。

(解除成功)

クリスの差し出した紙を見て、全員の顔に希望の色がさした。
ガッツポーズをとる明空、微笑むミア、ほっと息をつく初香。
しかし、美奈だけはすでに次を考えていた。

どうすれば自分が一番に首輪をはずしてもらえるか?

もうこんな忌々しいものは一秒でも早くはずしてしまいたかった。
しかし、あまり露骨に自分を優先すれば角が立つ。
そんなことを考えている間に、ほかのメンバーはすでに筆談で話を進めてしまっていた。

(わたしは自分のを解除するとなると時間がかかるから後でいいわ)
(僕も自分のは外せないからね)
(こういうのはやっぱレディーファーストだろ)
(わたしも後でいいから先にみんなのを)

と、言うことで何をするまでもなく美奈が一番に決まった。
どうやれば自分が始めに外してもらえるかばかりを考えていた美奈は若干の罪悪感を覚えないでもなかったが、このチャンスを棒に振るつもりはない。
でも、一応聞いておくことにする。

(いいの?)

全員が大きく首を縦に振った。
また、ちくりと胸が痛んだ。


 
クリスが美奈の首輪の解除を始めようとしたまさにそのとき、外がにわかに騒がしくなった。
誰かの足音と、何かを叫ぶ声……
一番初めに気づいたのはミアだった。

(この不快な気配は……間違いない!)
「みんな!!」

遅れて戦闘態勢に入るクリス、まだ事態を飲み込めずにキョトンとしている三人。

「おおぉぉぉーーーー!!」

という雄叫びとともに勢いよく扉が開け放たれる。
入ってきたのはモヒカン頭の変態。

「ここにいやがったかてめぇら、約束どうり殺しに来てやったぜぇーー!!」
「アホかぁ!!雄叫び上げながら奇襲する馬鹿がどこにいやがるんだ!!」

ここにいた。世紀の馬鹿の誕生だ。
後から入ってきた男を見て美奈がひっ、と吐息を呑んだ。

「あ、あいつ私に変な魔法をかけたエルフ……」
「ん?ああ、お前か」

言われた本人は心底どうでもよさそうに生返事を返す。
すぐさまミア、クリス、遅れて明空が初香と美奈を庇ってモヒカン達に立ちはだかる。
初香もとっさに銃とオーガの首輪を手に立ち上がる。

「二人とも、奥の部屋に隠れてて」
「で、でも、僕も援護を……」
「いいから!ここは任せて」

実際、初香は戦える状態ではなかった。
足は震え、銃を持つ手は強張っていた。
いくら強がっても十歳の少女にとって犯されかけ、殺されかけた恐怖はそう簡単に拭い去れるものではない。
それでも初香は動こうとはしなかった。
天才少女としての矜持が、初香をその場に縫い付けていた。

「美奈ちゃん、連れて行って」
「わ、わかった」

と、小さく答え美奈は初香の手をとると強引に奥の扉へと連れて行った。

「初香ちゃん!」

去り際にクリスが呼びかける。

「絶対に死んじゃだめよ」

やさしく微笑みながら。

「私たちは希望なんだから」

初香が何かを言い返す前に、二人は扉の奥へと消えていった。



「さーて、それじゃあ……」

思いっきりもったいぶって……

「ぶっ殺してやるぜぇーーー!!」

高らかに宣言した。
ダージュもため息をひとつつくと、槍と盾を構える。

「なぁ、戦う前にひとつ聞いていいか?」

出し抜けにダージュが問いを発する。

「オルナって女、知ってるか?」
「オルナ?」

唐突に出てきた名前にクリスは思わず反応してしまう。
その瞬間ダージュの目の色が変わる。

「オルナっていや、確かナビィの……」
「明空!だめ!!」

慌ててクリスが静止するがもう遅い。

「おい、ナビィってのはどいつだ?オルナとはどういう関係だ?」
「答えることは何もないわ」
「お前ら二人だけが反応したってことは、最初からお前らと一緒にいたあのハーフキャットだな?」

クリスは顔色ひとつ変えない。
明空もこれ以上何も言うまいと口をしっかりと閉じている。

「クックック、まあいい、てめぇらを拷問して吐かせりゃいいんだからな」

ダージュもようやく気分が乗ってきたといわんばかりに一歩踏み出した。

「おい!動くな!こっちには銃があるんだぞ!」

不慣れな感じで銃を構えながら、明空が精一杯威嚇するが、もともと銃についての知識が乏しいモヒカン達にはほとんど効果がなかった。
加えて、明空の銃の構え方は銃についての知識がないものでも、一目で扱い慣れていないとわかるほどガチガチに強張っていた。

「それがどうしたってんだ?」

その言葉とともに、モヒカンが五人に分身する。
唖然とする明空を尻目に、モヒカン達は抱えていた棍棒を分け合うと、そのうちの一人がどしどしと明空のほうに向かってきた。

(ぶ、分身!どれが本物だ?弾一発しかねぇのに!)
(と、とにかく撃つんだ!でも、もし本物だったらあたったら死んじまうよな……)

人殺しにはなりたくない。
しかし、明空が迷っている間にもモヒカンはずんずん迫ってくる。

(足だ!足を撃つんだ!)

覚悟を決め、モヒカンの足に狙いをつけ引き金を絞る。
ズバァン!
銃声とともに悲鳴が上がる。
しかし、

「ぐああぁぁぁ!!腕が、腕がぁぁぁぁ!」

悲鳴を上げたのは明空のほうだった。
明空の持っていた銃はAM500。
素人が使えば肩が外れてもおかしくないほど反動の強い強力な銃だ。

当然、一般的な日本の高校生である明空に銃を撃った経験などあるはずがない。
結果、弾は誰にもあたることなく、明空自身が吹っ飛ばされてしまった。
手からすっぽ抜けて飛んでいった銃が、床に落ちて耳障りな音を立てる。

モヒカンはもう目の前に迫っていた。

「あ………」
「男をなぶる趣味はねぇからよ、一撃で楽にしてやるよ!!」

ビュン!
風切音とともに悲鳴が上がる。
しかし、

「いってぇぇぇ!!なんだこりゃぁ!」

悲鳴を上げたのは今度はモヒカンだった。
明空を守るように光の壁が二人の間に現れていた。
クリスの魔法リフレクト。
あらゆる攻撃を防ぐ光の壁を作り出す魔法だ。
モヒカンは今しがた光の壁を思いっきり殴ってしまった右手をぶらぶら振りながら、クリスのほうに向き直る。

「このやろぉ」
「明空はそこでじっとしてて」

モヒカン軍団はいっせいにクリスへと向かっていく。
ダージュはミアと対峙していた。

(かっこ悪いな、俺)

目の前で繰り広げられる戦闘を呆然と眺めながら、明空はそんなことを考えていた。



戦いは拮抗していた。

モヒカンを相手に戦うクリスは、リフレクトで攻撃を防ぎながら次々と魔法を繰り出す。
クリスはえびげんから銃を預かり、一通りの使い方は教わっていた。
しかし、明空の失敗を見て、やはり使い慣れない武器は使わないほうがいいと考え、使い慣れた魔法で戦うことにした。

純粋な戦闘力ならクリスの方が上だ、しかしモヒカンは五人いる、加えてクリスは根っからの魔導師だった。

(騎士団養成学校にいたときに基本的な戦闘訓練は受けたけど、わたしにはアーシャやエリーみたいな立ち回りはできない。この攻撃をかわしながら詠唱に時間のかかる強力な魔法は使えない。なら!)
「闇に抱かれなさい」

クリスが呪文を唱えると、突如うごめく闇の鎖がモヒカンの一体を拘束する。

(一体づつ確実に倒す!)
「光よ!」

聖なる光が動けないモヒカンを打ち抜く。
と、すぐさまモヒカンは消滅した。

(よし!いける!)
(それにしても……)

クリスは戦闘に参加せずに離れたところで一人だけこちらを伺っているモヒカンを見る。

(あんなところで一人だけ高みの見物なんて、あれが本物ですって言ってるようなものじゃない。どこまで馬鹿なの?)

あれが罠という可能性もあるだから今は直接攻撃してくる残り三対のモヒカンを優先して倒すことに集中する。



ダージュを相手に戦うミアは苦戦していた。

(あの槍、ただの槍じゃない!)

ダージュの振るう魔法の槍「トルネード」は竜巻の名が示す通り風を操る槍だ。
一突きごとに突風が吹き荒れ、ミアの動きを制限する。
だが、ダージュ自身は槍の扱いに慣れていないのか隙は多い。
その隙を突いて槍の間合いの内側に入り攻撃を仕掛ける。
狙うは、盾で防ぎ切れていない足。

「やああぁぁぁーーー!!」

しかし、ミアの剣はダージュに届く寸前で盾に防がれてしまう。

(またこの盾!まるで自分の意思を持って動いているみたいに!)

まさにその通り、ダージュがリョナラー連合東支部で見つけたまゆこの支給品デコイシールドは、攻撃のおとりとなって装備したものを守る盾。

ミアは槍の一振りで突風に引き飛ばされ、再び間合いが開いてしまう。

(せめてもう一本剣があれば………!!)

言い知れぬ悪寒を感じ、とっさにその場からとびのく、その瞬間ダージュの魔法アイスが発動し、さっきまでミアがいた場所を尖った氷柱が貫く。

(くっ、盾で口元が隠れて発動のタイミングが読めない!)

その上、ミアにもう魔力は残っていない、すべて初香と美奈の回復に使ってしまった。

(このままじゃまずい!)
(それにしても……)

間一髪でダージュのサンダーをかわしながらミアは思う。

(あの二人は大丈夫かな?)

自分が窮地に立たされていても、ミアが心配するのは先に逃がした初香と美奈のことだった。



廊下を走る初香と美奈は、開いている扉を見つけると飛び込んで鍵をかける。
それほど長く走っていたわけではないが、怪我のせいで二人ともすでに息が上がっていた。
ここはどうやら資料室のようだ。
部屋中にある棚は本で埋め尽くされ、机の上には資料が山積みになっていて、部屋の奥には小さな窓がある。

「みんな、大丈夫かな………」

少し落ち着いてきたところで初香が呟いた。

「きっと大丈夫よ。ミアさんはすごく強いし」
「でも………」

ミアの強さは知っている。
自分も一度助けられた。
でも………

本当に逃げていいんだろうか?

「もう!私達がいたって足手まといになるだけよ!今はここで待ちましょう」
「………うん」

納得したわけではなかったが、確かに自分がいても足手まといになる確率が高い。
今は信じて待つしかない。

静かだった。
美奈も初香もそれっきり口を閉ざしたままだ。
ミア達の死闘の音がかすかに聞こえてくる以外、何も音を立てるものはない。
ただひたすら静かだった。

静かだったからこそ、その音はより鮮明に、より異質に響いた。
粘性の高い液体が落下したような、ベチャ、という音が。
何もないはずの……部屋の奥から……
不気味に………響いた…………


 
拮抗は突然崩れた。

どこからともなく聞こえてきた、少女たちの悲鳴にミアとクリスは一瞬気をとられた。
その一瞬が致命的だった。

「ヒャッハァー!つかまえたぜぇーー!!」
「しまった!」

後二体になっていたモヒカンうち、ずっと傍観を決め込んでいた一体がクリスに飛び掛り羽交い絞めにする。

「は、離しなさい!」
「やなこった!ついでだから教えといてやる、俺は分身だぜぇ!」

「クリ……!!」

皆まで言えなかった、今までクリスと戦っていたモヒカンがミアに標的を変えて襲い掛かってきたからだ。
間一髪、剣で振り下ろされた棍棒を受け止める。

「いまだ!!やっちまえーーー!」

その言葉を合図にダージュがデイパックの中から何かを取り出す。
それは手のひらに乗るほどの小さな樽だった。
それを羽交い絞めにされて動けないクリスめがけて投げつけ、すぐさま魔法を唱え始める。



今まさに命の危機にあってクリスの頭は冷静に状況を分析していた。
この状況で、最後までとっておいた分身を捨て駒にして自分に投げつけられた小さな樽。
あの樽はおそらく……

(爆……弾………)

樽はスローモーションのように飛んでくるが、今からではリフレクトは間に合わない。

(ここまで……かな?)

ゆっくりとまぶたを閉じると、走馬灯のように親しかったものたちの顔が頭をよぎる。

(アーシャ、エリー、ごめんね)

そして、

(どうか、生き延びて)

叶うはずのない願いを心の中で唱えた瞬間、火花のように雷光が走り、視界は白一色に塗りつぶされ、すべての音が消し飛んだ。
ただ、衝撃が自分の体を貫いた感覚だけがはっきりと残った。



人間は、“未知”に遭遇すると激しい恐怖を感じる、彼女たちも例外ではなかった。
だから“それ”に遭遇したとき彼女たちは声の限りに叫んだ。
彼女たちにとって、小さな窓から侵入してくる蠢く半透明の液体はあまりに“未知”だった。
恐怖に震える手で、もたつきながら扉の鍵をはずすと、部屋から転がり出て脱兎のごとく駆け出した。

“スライム”

彼女たちの世界には存在しない、ゲームの中の怪物。
それが今、目の前にいて自分たちに迫っている。

逃げ惑ううちにいつしか国立魔法研究所から飛び出し外を走っていた。
しかし、二人とも怪我をしていて満足に走ることができない。
スライムはなおも二人に迫る。

(このままじゃつかまる!)

美奈は横目で息も絶え絶えに隣を走る初香を見る。

(この子をおとりにすれば………)

やり方は簡単だ、足を引っ掛ければ初香はいとも簡単に転ぶだろう。
でも………

殺し合いが始まってすぐ自分をひどい目に合わせたエルフの言葉がよみがえる。

『バカかテメーは? あっちの街道に転がってる男女二人を
見捨てて隠れ、挙句の果てにはそいつらの荷物までぶん取るような
糞餓鬼に仲間なんている訳ねーだろが』

魔法をかけられ、歩く時限爆弾にされてしまった自分を受け入れてくれ、事情を話すと自分のことのように怒ってくれたミアの顔がよみがえる。

誰から首輪を外すかが問題になったとき、自分が打算から発した問いに誰一人迷うことなく頷いてくれたみんなのしぐさがよみがえる。

(いいの?)

再びたずねる。
今度は自分に。

(本当にいいの?そんなことをして?)

そんなことをすれば、自分はもう二度とみんなと一緒にいられない気がする。
その先に待っているのは再びの“こどく”。
ずっと一人でさまよい続ける惨めな“こどく”。

(しかた……ないじゃない………)

もう一度横目で初香を見る。

(このままじゃ、二人とも、死んじゃうんだから……)

“死”と“こどく”どちらの方がましか。

(やるしか………)

そんなことを考えていた罰が当たったのだろうか。
美奈は小さな石につまずいて派手に転んだ。



「美奈!!」

慌てて急ブレーキをかけ、振り返る。
スライムはもう美奈の下半身を覆い尽くしていた。

「ひっ、た、たすけ……んぐ!」

そして、そのまま全身を飲み込まれる。
必死に手足をばたつかせて抵抗するが、まったく意味をなさない。

(ど、どうしよう)

決まっている、助けるんだ。
でも、どうやって?

明らかに初香の世界の常識を超越した、生物かどうかも怪しい怪物に、どうやって対抗する?
何かないか?と、周りを見回すと、自分の手に銃を見つけた。
灯台下暗し、というフレーズが思い浮かんだ。

初香はどうでもいい思念を振り払うと、基本に忠実に両手で銃を構えた。
しかし、手はがたがたと振るえ、なかなか照準が定まらない。
下手をすると美奈に当たってしまいそう。
それでも、歯を食いしばって引き金を、引く!

しかし、弾はポシュ!という軽い音とともにスライムに飲み込まれる。
それでも構わず引き金を引く!

引く!引く!引く!引く!引く!引く!引く!引く!引く!引く!引く!引く!

当然九回目からはカチ、カチ、とむなしい音が響くだけだったが構わず引き金を引きつづける。
数十回目に引き金を引いたとき、ようやく初香は自分のやっていることの無意味さに気づいた。

ゆっくりと、スライムが体の一部を初香に向けて伸ばす。

「あ…あぁ………」

万策尽き果て銃を取り落し、後ずさりする初香。

『初香ちゃん!』

そのとき、唐突に別れ際のクリスの言葉がよみがえった。

『絶対に死んじゃだめよ』

やさしい微笑みがよみがえった。

『私たちは希望なんだから』

何度も、何度もよみがえった。

(ぼくは……希望…なんだから…………)

必死の形相で美奈が何かを叫ぶが、その叫びは泡となるだけで、初香には届かなかった。

(絶対………死んじゃ……だめなんだから………)

美奈はなおも何かを叫び続けている。
初香にはそれさえ『逃げろ!』と叫んでいるように見えた。

………ようやく、わかった

「う……ぁ………」

………あのとき、ぼくは

「うわああああぁぁぁぁぁ!!」

逃げちゃ、いけなかったんだ



きびすを返し、振り返らずに、全力で、走り出した。

あのとき、美奈の手を振りほどいて戦わないといけなかったんだ。
あのとき、すでにぼくは逃げ出していたんだ。
あのとき、逃げ出したぼくは、もう戻れない。
もう、逃げ続けるしかない。
振り返らずに。



(いやだ!置いていかないで!助けてよ!!)

走り去る初香の背中に必死で叫ぶが、やはり声は届かない。

(あのとき、迷わなければ!余計なことを考えずにやっておけば!)

自分は生き残れたかもしれないのに………

ついさっき、“死”と“こどく”を天秤にかけた。
今なら判る、天秤にかけるまでもない、“こどく“の方が圧倒的にましだ、死ぬよりはずっといい。

当然ながらスライムに完全に取り込まれてしまった美奈は息ができない。
酸欠でだんだんと意識が薄れていく。

(いや、だ………死にたく……ない)

完全に意識が闇に飲み込まれる寸前、肺に空気が送り込まれ、美奈は再び覚醒する。
見るとスライムの中にできた気泡が、美奈の口に向かってのろのろと動いてきていた。

(空気!空気!!)

美奈は空気を求め、金魚のように口をパクパクさせる。
だが、美奈の口に触れるか触れないかというころで気泡は美奈から離れていく。

(そ、そんな!死ぬ!死んじゃう!!)

必死に首を伸ばして空気を吸おうとするが、ぎりぎり届かない。
再び意識が遠のく。
が、今回も意識を失う直前、気泡が美奈の口に触れる。
しかし、大きく息を吸っている途中で気泡は口元を離れ、代わりにスライムが気管へと流れ込み美奈は咽て吸い込んだ空気をすべて吐き出してしまう。

(まさか……私弄ばれてる?)

こんなわけの判らない怪物に?
腹の奥からふつふつと怒りが湧き上がってくる。
だが、結局どうすることもできない、相変わらず金魚のように必死になって酸素を求め、スライムを飲まされては咽返る、その繰り返しだった。

そんな状態がしばらく続いた後、状況に変化が生じた。
大量のスライムが口に流れ込んできたのだ。
いや、口だけではない、目から、鼻から、耳から、秘所から、菊門から、ありとあらゆる穴から容赦なく侵入してくる。

(なに、これ!!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ……!!助けて!誰か助けてよ!!)

のどの奥を犯される強烈な吐き気に、眼孔、耳奥、鼻腔を犯される圧倒的な恐怖に、秘所を、菊門を犯される耐え難い羞恥に、美奈の心は狂いそうになる。

そのとき、突然目に激痛が走った、思わず目を閉じるがもはや無意味、スライムはすでに眼孔の奥まで侵入しているのだから。
それと同時にすさまじい胸焼けと、体の内側が痛痒いような感覚に襲われる。
恐る恐るまぶたを開くと視界が真っ赤に染まっていた。
スライムが強力な酸を分泌し始めたのだ。

(ぎああああぁあああぁぁあああぁぁ!!タスケテ、イタイ!イたイよ!!タスけて、タスケテたすケてたスケテtすケteタすkeてたsけテ)

思いつく限りの人の名前を呼び、助けを求める。
しかし、名前は思い出せるが、顔が思い出せない、ついさっきまで一緒にいたのに、どうしても思い出せない。

(ナンデ?ドウシテミンナ、デテキテクレナイノ?ドウシテ、タスケテクレナイノ?)

理由は簡単、美奈が“こどく”を選んだから、選ぼうとしたから。

(イヤダ、パパ、タスケ、テ……………)

やっぱり、顔は思い出せなかった、大好きだった父親の顔さえも。



何も見えない、何も聞こえない、何の匂いもない、何の味もない、痛みも痒みも暑さも寒さも感じない。

自分の顔すらも思い出せない、自分の存在がどんどん消えていって………

美奈は本当の“死(こどく)”に墜ちた。



一人の少女が亡骸が横たわっていた。
口はだらしなく開いたままで、見開かれた目には眼球がなく、さながら埴輪のよう。
腹部は陥没し、臓器は何一つ残っていない。
それは、一人の少女の抜け殻だった。

少女からすべてを奪ったものは、次の獲物を求めて動き出す。


 
いつの間にか暗転していた視界がぼんやりと回復しだした。

(何が………あったんだっけ?)

ぼんやりとした頭で思い出す。

(たしか、変態と戦って……図書館で調べ物をして……つるはしが飛んできて……羽交い絞めにされて……ルーファス君が死んで……アーシャとエリーと世間話をして……首輪が爆発して…………あれ?)

思考がまとまらない、記憶の断片が次々と浮かんできて、何がどういう順番で起こったのか思い出せない。
それに体中が痛い、重い。

(……爆発?そうだ、爆発したんだ)

確か自分は爆弾を投げつけられて、そして………

「いき……てる………?」

生きてる。
われながら信じられない。
でも、体がいやに重い。
どうやら何かが自分の体を押しつぶしているみたいだ。

(重い……これ、どけないと……)

自分の体の上にのしかかっている“それ”をどけようとした手が、

ぬるりと滑った。

「え………?」

ようやく、クリスは自分に覆いかぶさっていた“それ”が何なのか把握した。

「あ…そ……ら………?」

明空だった。



部屋の中は惨状としか言いようのない有様だった。
もうもうと粉塵が立ち込め、天井は崩落し瓦礫の山と化していた。

「クリス!」

いち早く体勢を立て直したミアはすぐさま粉塵の中に飛び込んだ。

爆発の瞬間、爆心地に背を向けていたモヒカンは爆風に煽られて壁まで吹き飛び、そのとき、モヒカンに押し倒されたミアは地に伏せる形になり、結果的に爆発の影響をほとんど受けずにすんだ。

(クリスだけじゃない!)

爆発の寸前、明空が飛び出していくのが見えた。

粉塵のせいで目を開けていられない、息を吸えば容赦なく気管に砂粒が突き刺さり咳き込んでしまう。
でも、そんなことを気にしていられない。

(二人とも無事でいて)

しかし、

「!!」

粉塵の中、二人は折り重なるように倒れていた。
クリスはまだ、かろうじて生きているようだ。
しかし、明空の方は今まで数々の死線をくぐってきたミアでも、思わず目を背けそうになってしまうほど悲惨な状態だった。
背中は大きくえぐれ、白い骨が露出している。
間違いなく即死だろう。

明空の死体をずらし、クリスを助け起こす。
クリスの純白のローブは明空の血で真っ赤に染まっていた。
よく見ると左腕がおかしな方向に曲がっていたし、体中打撲痕と擦り傷だらけだ。

「クリス!しっかりして!!」
「う………ぁ……ぐ………」

(目の焦点が合ってない、目立った外傷はないみたいだけど頭を打ったのかも)

「くっそ!あの大きさでなんて威力だ」

粉塵の向こうからダージュが悪態をつく声が聞こえる。
どうやらこの大爆発は相手にとっても予想外だったらしい。

(この状況は、まずすぎる!)

クリスはとても戦えるような状態じゃない。
自分はもともとダージュ一人が相手でも劣勢だった。
クリスを守りながら、あの二人と戦っても絶対に勝てない。
逃げるしかない。

クリスを背負い、もう動かない明空に声をかける。

「ごめんなさい、連れて行けなくて。ありがとう、クリスを守ってくれて。
クリスは私が必ず守りぬくから。………さようなら」

それだけ告げると、二人は粉塵の彼方に消えていった。





「いってぇ」

静かになった国立魔法研究所でモヒカンが目を覚ます。
もう辺りは暗くなっていた。

「お前はよっぽど昼寝が好きらしいな」

瓦礫の山に腰掛けたダージュが皮肉に満ちた声で言った。

「どうなった?」

ダージュは親指で捨て置かれた明空の死体を指差しながら。

「逃げたよ、あいつらは。死んだのはそいつだけだ。一通り建物の中も見て回ったが、さきに逃げたガキ共も消えてた」
「ちっくしょおぉぉぉ!また俺が寝てる間に!!今から追いかけてぶっ殺してやる!!」
「無理だよ。てめぇどれだけ寝てたと思ってるんだ。それにお前は別行動をとったメイド女を殺してぇんだろ?だったらどこに逃げたかもわからないあいつらを追うより、ここでじっとしていたほうがいい。」

実際には追いかけようと思えば不可能ではない。
あの魔導師の女はおそらく相当の深手を負っているだろし、すぐに自分たちが追いかけてくる可能性を考えれば、逃げる場所は最初に自分たちがいた森しかない。

だが、ダージュは追わなかった。
ダージュにとって今一番重要なのは、ナビィとかいうオルナと関係の深いらしいハーフキャットをここで待ち伏せして殺すことだ。
それにこの建物を占拠することもダージュの目的の一つだった。

「でもよぉ!」
「まあ落ち着け、落ち着いてあれを見ろ」

ダージュの指差した先には五つのデイパック。
ミアたちの敗走は彼らに多くの支給品をもたらした。
ここにはありとあらゆるものがある。
大量の食料、威力の高い重火器、強力な回復アイテム、魔封じの呪印………

そして何より、

(もうすぐ、夜が来る)

夜になればダージュは格段に魔力、身体能力が上がるだけでなくディレイ・スペルが使えるようになる。
ダージュの得意技、ディレイ・スペルは逃げ場の少ない屋内では最大限の力を発揮する。
地雷のように使うことのできるこの魔法が張り巡らされた屋内では、敵は満足に動くこともできない。

今より、国立魔法研究所はリョナラーたちの要塞と化した。



ミアたちはダージュの予想通り、国立魔法研究所から南西にある森の中にいた。
暗い森を奥へ、奥へ、と進みながらミアはジレンマに陥っていた。

美奈と初香のことだ。
戦いの最中に上がった二人の悲鳴。
あの時点で二人の身に何かが起こったのだ。
仮に、その危機を自力で脱していたとしても、まだ国立魔法研究所に残っているとしたら、あの二人に襲われる可能性は非常に高い。
今すぐにでも戻って二人の安否を確かめたかった。

しかし、クリスをこのまま放って行くわけにもいかない。
クリスはまだ意識が朦朧としており、もし殺し合いに乗った人間に見つかれば簡単に殺されてしまうだろう。

(わたしはどうすれば………)

「ミ…ア……」
「!!クリス!大丈夫?!」

突然声をかけられ敵かと思ったが、すぐにクリスの声だと気づいた。

「わたしは……大丈夫………だから……初香ちゃんと………美奈ちゃんを………」
「大丈夫なわけないでしょう!!貴方をおいていけないよ!」

自分で大丈夫かと聞いておきながら何を言ってるんだとも思ったが、大丈夫じゃないことは明らかだ。

「でも、あの子達は……もっと、危険な…目に……あってるかも……しれない………」
「でも………」
「大丈夫……もう…暗いし、森の……中なら……誰にも…みつからない……よ、だから…」
「……………」

しばらくの逡巡の後、ミアはクリスを木陰に下ろした。

「すぐに帰ってくるから」
「うん………でも、お願い……無茶は……しないで」
「わかってる」

ミアは立ち上がり、今まで歩いてきた道を振り返る。

しかし、このとき二人は気づいていなかった。
より大きな悪夢が目前に迫っていることに。

それは、ミアが一歩踏み出そうとした瞬間、耳障りな雑音を伴って二人の元に届いた。



初香は走り続けていた、逃げるために。

今まで一度も振り返らなかった。
振り返れば、溺れているように手足をばたつかせながら、必死の形相で何かを叫んでいる美奈が、すぐ後ろにいるような気がして。

初香はずっと、後を追いかけてくる美奈の亡霊から逃げるために走り続けていた。

しかし、それももう限界だった。
足がもつれ、地面に突っ伏す。
起き上がろうと上体を上げたとたん、強烈な吐き気に襲われ食べたものを全て吐き出す。

「はぁっ、はぁっ、げっほ、げほっ」

そして、

「うっ、うぅ……ひっく、うあああぁぁぁぁぁん」

恥も外聞もなく泣き叫んだ。

初香の矜持はもはや跡形もなく砕け散っていた。
この頭脳があれば何でもできると思っていた。
しかし、自分には何でもできるどころか、何一つできなかった。
すべて自分の思い上がり、傲慢だったのだ。
どんなに知識があっても、体も、心も、所詮は子供、何の役にも立たなかった。

長時間は走り続けた体は酸素を要求していたが、初香は声の限りに泣き続けた。

(何が天才少女だ!何が!何が!何が!)
(ぼくは餓鬼だ!最低の糞餓鬼だ!ぼくは……ぼくは………!)

そしてまた愕然とする。
どんなに探しても、それ以上自分を罵倒する言葉が思いつかない。
再び思い知った、自分はこんなにも自惚れていたのだと。

偉そうな話し方も、いつの間にか染み付いていた“ぼく”という一人称も、登和田初香という人間の何もかもが嫌いになって、

ただ、ひたすら泣き叫び続けた。



どれくらいの時間がたっただろうか?
ついに大声で泣き叫ぶ体力も尽きた初香は地面に仰向けになって倒れていた。
降り続く雨が火照った体を冷やしていく。
もう声も枯れてしまった。
それでも、涙はいまだ枯れず、止めどなくあふれ続ける。

(これからどうしよう)

ぬかるんだ地面に寝転びながらぼんやり考える。
何もできない自分は、これからどうすればいいのか?

そのときふと、自分が何かを握り締めていることに気づいた。

“首輪”

突然押し付けられた支配と隷属の象徴。
初香には今それが一筋の希望のように思われた。

(ぼくにはまだ、できることがあるかもしれない)

この首輪を完璧に解除する。
そんなことをしても、実際には誰も助からない。
しかし、それでもこの首輪を解除することには大きな意味が在る気がした。
それができれば失ってしまったものを少しだけ取り戻せる気がする。

(まずは、道具を探さないと)

頭の中で地図を広げ、ここがどこなのかを考える。
ここは“道”だ。
地図上で道が描かれていたのは国立魔法研究所から螺旋の塔まで。
視界は悪いが近くにぼろぼろの建物も見える。
ここは島の東側の道、廃墟の近くだ。

次に道具を手に入れられそうな候補地を探す。

一番確実なのは商店街。
しかし、商店街に行けばえびげんたちと鉢合わせになるかもしれない。
今は誰にも会いたくなかった、少なくとも“自分に何ができるか”を証明するまでは。
しかも、商店街に行くには国立魔法研究所方面に戻らなくてはならない。
それだけは絶対にいやだった。
またあの化け物と遭遇するかもしれないし、途中で無残な姿の美奈に出会うかもしれない。
そんなことになれば確実に自分は発狂する。

(他には……)

豪華客船。
ここなら工具ぐらいは置いてあるだろう。
目的地は決まった。

(雨が止んだら……行こう)

砕け散った矜持を少しでも繋ぎ止めるため、初香は決意を固める。

(この雨が止むころには、ぼくの涙も止まるだろうか?)

雨はもう、ずいぶんと小降りになっていた。


 
クリスと初香、参加者全員の運命を左右するかもしれない希望は真っ二つにわれた。
二つの希望が再び出会うことはあるのか?
それはまだ、誰にもわからない。





【御朱 明空(みあか あそら)@La fine di abisso 死亡】
【加賀 美奈@こどく 死亡】
【残り14名】




【A−3:X3Y4 / 森 / 1日目:夕方】

【ミア@マジックロッド】
[状態]:魔力残量 少(少し回復)、疲労 中
[装備]:マジックロッド@マジックロッド
ブロードソード@アストラガロマンシー
スペツナズ・ナイフx1@現実
四葉のクローバー@現実世界(頭に装備)
[道具]:なし
[基本]:対主催、できれば誰も殺したくない
[思考・状況]
1.初香、美奈との合流
2.できるだけ早くクリスの元へ戻る
3.なぞちゃんの捜索
4.バトルロワイヤルを止めさせる方法を探す

※東支部で襲ってきたモヒカンが今回遭遇したモヒカンと同一人物だとは認識していません。
※オーガの持っていた肉が人肉だと気づいていません。
※参加者がそれぞれ別の世界から集められていることに気付きました。




【クリステル・ジーメンス@SILENT DESIRE】
[状態]:意識朦朧、左腕骨折、全身に打撲と擦過傷
血まみれ、魔力残量 中、疲労 大
[装備]:なし
[道具]:なし
[基本]:対主催
[思考・状況]
1.ミアが帰ってくるまで待機
2.怪我の治療
3.アーシャ・リュコリスかエリーシア・モントールと会えたら合流する
4.首輪を外す方法を考える

※明空のことが何故か気になってます、もしかしたら惚れました
※参加者がそれぞれ別の世界から集められていることに気付きました。
※銃の使い方を教わりました。
※頭を打っていますが、命にかかわるほどではありません。



【A−4:X2Y3 / 国立魔法研究所 / 1日目:夕方】

【モヒカン@リョナラークエスト】
[状態]:顔面に落書き、おでこにたんこぶ、生傷多数
[装備]:手製棍棒
[道具]:手製棍棒×4
[基本]:女見つけて痛めつけて犯る
[思考・状況]
1.女を見つけたらヒャッハー
2.国立魔法研究所でえびげんたちを待ち伏せ
3.初香、えびげん、ミア、美奈を殺す
4.ミアたちの持ち物をあさる

※東支部でのオーガ達との戦闘中の記憶が殆どありません
※これまでに受けた傷はダージュの魔法でかさぶた程度まで回復しました。


【ダージュ@リョナマナ】
[状態]:疲労 中、精神疲労 少、魔力消費 中
[装備]:トルネード@創作少女
デコイシールド@創作少女
[道具]:支給品一式(食料、水なし)
(モヒカンが食い尽くした)
宝冠「フォクテイ」@創作少女
[基本]リョナラー、オルナの関係者を殺す
[思考・状況]
1.国立魔法研究所でナビィを待ち伏せして弄り殺す。
2.オルナの関係者を殺す。(誰が関係者か分からないので皆殺し)
3.ミアたちの持ち物をあさる

※ダージュの支給品はトルネード@創作少女
樽詰め爆弾@○○少女
でした。



【御朱 明空(みあか あそら)@La fine di abisso】
[状態]:死亡
[装備]:ツルハシ@○○少女
AM500@怪盗少女(残弾0発)
スペツナズ・ナイフx2@現実
[道具]:デイパック、支給品一式
包丁@バトロワ
ライター@バトロワ
マタタビの匂い袋(鈴付き)@現実世界

※おにぎり×4@バトロワ
ランチパック×4@バトロワ
弁当×1@バトロワ
ジュース×3@バトロワ
は全員で食べました。



※国立魔法研究所玄関ホールの天井が崩落、瓦礫となって散らばっています。
※国立魔法研究所には明空の装備、道具と
デイパック、支給品一式×4(食料21食分、水21食分)
(描写はありませんでしたが、ミアたちも食事を取りました)
火薬鉄砲@現実世界
(本物そっくりの発射音が鳴り火薬の臭いがするオモチャのリボルバー【残り6発】)
クラシックギター@La fine di abisso(吟遊詩人が持ってそうな古い木製ギター)
エリクシル@デモノフォビア
赤い薬×3@デモノフォビア
人肉(2食分)@リョナラークエスト
新鮮な人肉(当分は無くならない程度の量)
魔封じの呪印@リョナラークエスト
髪飾り@DEMONOPHOBIA
モップ@La fine di abisso
白い三角巾@現実世界
雑巾@La fine di abisso
三八式歩兵銃+スコープ(残弾1発、肩掛け用のベルト付き)@現実世界
涼子のナイフ@BlankBlood
木彫りのクマ@現実世界(一般的なサイズのもの)
エリクシル@SilentDesire
火炎放射器(残燃料100%)@えびげん
ノートパソコン&充電用コンセント
(電池残量3時間分程度、OSはWin2kっぽい物)@現実世界
ミアたちが筆談に使っていたメモ用紙(支給品の一部)
が残されたままです。



【A−4:X3Y4 / 国立魔法研究所付近 / 1日目:夕方】


【スライム@一日巫女】
[状態]:ダメージ 少、
[装備]:なし(出来ない)
[道具]:なし(持てない)
[基本]:目の前の敵に襲い掛かる
[思考・状況]
1.敵を見つけ次第攻撃

※基本的に木の枝をつたって攻撃するようです。
※自己再生能力を持っていますがコアをやられると
 おしまいというステレオタイプなスライムです。
※火傷は完全に回復しました。



【加賀 美奈@こどく】
[状態]:死亡
[装備]:スペツナズ・ナイフx3@現実世界
先の尖っている石@バトロワ
[道具]:なし

※近くには奈々の拳銃(0/8)@BlankBlood
が落ちています。



【B−4:X3Y2 / 廃墟付近 / 1日目:夕方】

【登和多 初香{とわだ はつか}@XENOPHOBIA】
[状態]:疲労 極限、精神疲労 極限
全身打撲、アバラ二本骨折、胸骨骨折
(怪我は魔法で緩和、傷薬と包帯で処置済み)
[装備]: クマさんティーシャツ&サスペンダースカート(赤)@現実世界
[道具]:オーガの首輪@バトロワ
[基本]:殺し合いからの脱出
[思考・状況]
1.オーガの首輪を解除する
2.雨が止んだら豪華客船に向かう
3.今は誰にも会いたくない
4.仲間と情報を集める

※魔法の存在を知りました。
※参加者がそれぞれ別の世界から集められていることに気付きました。


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