なんとなーく。

 
「ふふふ・・・♪ 夜はいいわ・・・。大好きよ・・・。」

月の柔らかな光を受け、彼女は笑みを零す。

「この月の、少し力を加えたら消えてしまいそうな、儚い明かりがなんとも・・・いいわ♪」

彼女は両手をゆっくり前に翳し、宙を掬う。
そしてゆっくりと胸元に引き寄せると、狂気と恍惚を孕んだ笑みを浮かべた。
直後、掬った物を握り潰すかのように強く拳を握ると、そのままゆっくりと視線を移す。
そこには蒼い髪の少女が一人、彼女を真っ直ぐ見据えていた。
彼女は溜め息をついて、口を開く。

「ふっ・・・。私、夜は・・・嫌いだね。」

彼女は蒼いアンダーテイルを揺らし、呆れたように両肩をあげる。

「だって、こんなヤワな明かりじゃ・・・私のこの魅惑のボディがゼッンゼン、映えない。」

彼女は両手を頭の後ろに回し、身体の線を強調してみせる。
そして口元に不敵な笑みを浮かべ、桃色の短髪の少女を見据えた。
彼女は笑顔のまま、溜め息をついて口を開く。

「・・・あら、残念。あなたとは、きっと趣味が合うと思っていたのに。」

蒼いアンダーテイルの少女は、彼女の言葉を鼻で哂い、生欠伸を交えて問い掛ける。

「・・・んで、話ってまさかそれだけ?」

彼女の問い掛けに、桃色の髪の少女は口元に笑みを浮かべたまま俯く。
そして彼女は、徐に首飾りを握った。
すると首飾りが彼女の拳の中へ吸い込まれるように消える。
彼女はゆっくりと顔を上げながら拳を開くと、そこには2個のダイスがあった。
蒼いアンダーテイルの少女はその様子に目を丸め、思わず口笛を吹いて感嘆の言葉を漏らす。
彼女は慌てて咳払いをすると、再び問い掛ける。

「まさかそんな手品を見せるため、態々真夜中にたたき起こしたワケじゃないよな?」

不敵な笑みを浮かべ沈黙を続ける目の前の少女に、彼女は少し苛立ちを覚える。
彼女は態と大きな溜め息をして、意を決したような表情で問い掛ける。

「素直に言えよ、『私を殺したい』・・・ってさ。・・・血生臭い、私の次ぐらいにカワイコちゃん?」

彼女の問い掛けに、桃色の髪の少女は少し目を丸くする。

「・・・ふっ、ふふふっ・・・うふふふっ♪」

彼女は妖しく笑いながら、ダイスを握り締めた。
蒼いアンダーテイルの少女は不敵な笑みを浮かべて、ゆっくりと腰を落とす。
桃色の髪の少女は妖しく笑いながら問い掛ける。

「・・・ねぇ、あなた。ダイスって好き?」
「はぁっ?」

その意図の分からない問い掛けに、彼女は思わず唖然としてしまった。
その反応を見た少女は、一息ついて言葉を続ける。

「・・・私は好きよ。人間の無限大にある未来を、たった6つの数字で支配できる。人類史上、最も偉大で高慢な創造物ですもの♪」

彼女は快楽に打ちひしがれるように両肩を抱きしめる。

「その高慢さに・・・ゾクゾクしちゃうのっ・・・!!」

彼女の様子に暫く唖然としていた蒼いアンダーテイルの少女は、やがて溜め息を漏らす。
そして、再びゆっくりと腰を落としながら口を開く。

「私は・・・嫌いだね。この涼子さんの、無限大にある輝かしい未来を、たった6つの数字で支配しようたぁ・・・。1万年と2千年早いっ!」

彼女は不敵な笑みを浮かべて言葉を続ける。

「8千年過ぎてから、出直してきなっ♪」

桃色の髪の少女は、彼女の言葉を聞くなり夜空を見上げて笑い出す。
彼女は一頻り笑った後、そのままの体勢で呟く。

「見て・・・見たいわ・・・。」

それから彼女は、蒼いアンダーテイルの少女を見据えて言葉を続ける。

「その、『輝かしい未来』とやらを奪われた時の、苦痛と絶望に満ちたあなたの顔が見たいわっ・・・!!」

彼女は狂気と殺気に満ちた満面の笑顔を浮かべる。

「いいでショッ!? ねェッ!? いいわよネッ!? 天崎・・・りょぉぉこぉぉぉっ!!」

彼女は思い切り地を蹴り、蒼いアンダーテイルの少女との距離を詰める。

「だが断るっ!!」

彼女は蒼いアンダーテイルを揺らし、腰からナイフを引き抜きつつ答えた。
そして、桃色の髪の少女に同調するよう地を蹴った。
・・・月明かりの下、二人の少女の戦いが始まったのだ。

@あとがき
こんな展開とかしてみたいなー。ただそれだけです。
・・・ウリだけのバトロワとか、そんな感じになってて寂しい。(ノД`)



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