仲間かと思ったが、気のせいだったぜ!

 

森を、山を越えて進む影があった。
その影はぐにょぐにょした半透明の軟体を持ち、その身体は水気と滑りを
帯びており、大きな一つ目を持っていた。

スライムである。

彼(?)は桜に撃退された後、湖で身体に着けられた火を消してから
北へと進み続けていたのだ。

そして、とうとう山を抜けた彼は二人の参加者と出会うことになる……。




鬱蒼とした森の中、二人の男が座り込んでデイパックを漁っていた。
狂気のエルフ・ダージュと、世紀末馬鹿・モヒカンである。

彼らは情報を交換した後、国立魔法研究所の女性たちを皆殺しにするための
作戦を練っていた。
その過程で、ダージュがまだ自分の支給品を確認していないことに気が付き、
デイパックの中身を確認をしていたのだ。

「へぇ……今まで必要無いと思って確かめてなかったが、
 なかなかどうして、面白そうなものが入ってるじゃないか」

自分の支給品を確認したダージュは口元に笑みを浮かべて、
さっそくそれらを利用した参加者の殺し方と嬲り方を考え始めた。
それに対して、同行者であるモヒカンはダージュに怒鳴る。

「おい、長耳!一人で納得してないで俺にも見せやがれ!
 ついでに武器があるなら寄越せ!」
「ああ、悪い悪い。
 見てみろよ、これらを上手く使えば……」

モヒカンに支給品を見せようとしたダージュだが、ふと茂みの向こうに何者かの
気配が存在するのに気づき、息を潜めて警戒態勢を取る。

(何かいるな……相手が気づいているか分からないし、ここは様子を見て……)

だが、それをぶち壊しにする馬鹿がいた。

「おいコラ!!そこにいるのは分かってるんだぜ!!
 誰だか知らねーが、出てきやがれ!!」

気配の方向に向かって指を突きつけ、叫ぶモヒカン。
ダージュは額に手をやって、やれやれと言わんばかりに頭を振る。

「……ま、いいか。どちらにしろ、接触するつもりだったしな。
 おい、聞いた通りだぜ?出てきなよ」

その言葉を受けてか、がさがさと茂みが揺れて現れた者は……。


スライムだった。


「お……!?おおおぉぉぉ!!?」

モヒカン、スライムを見て驚きの声を上げる。
ついで出てきた言葉には、歓喜と親しみが込められていた。

「お前……ベドロゥじゃねーか!?」

嬉しそうに叫ぶモヒカン。
それを聞いたダージュが訝しそうな声を上げる。

「何だよ変態?このモンスターと知り合いなのか?」
「おうよ!コイツはベドロゥ、俺の仲間さ!」
「……そうなのか?」

自信満々に断言するモヒカンに対して、ダージュは半信半疑だった。
だが、モヒカンがそう言うなら間違いないのだろうとダージュは思う。
さすがに、仲間を見間違える馬鹿などいまい。

「よし!ベドロゥ、さっそくだが俺たちに手を貸せ!
 俺たちは向こうの建物にいる4人の女どもを皆殺しに……!」

ゴスッ!

「ごふっ!」

モヒカンが言い終わる前に、鈍い音と呻き声、次いで何かが倒れる音が聞こえた。
音の方向を見ると、ダージュがベドロゥ(仮)の触手に殴られて倒れていた。

「お、おいベドロゥ!!?何やってんだ、そいつは一応仲間で……!!」

ゴスベキグシャドゴッ!

「ウグホオオォォォッ!!?」

モヒカン、ベドロゥ(仮)の触手乱れ打ちを喰らって錐揉み回転しながら吹っ飛ぶ。
そして、近くの無駄に固い大木に頭を打ちつけて気を失った。

油断した二人は、ベドロゥ(仮)……ではなく、スライムにあっさりと負けてしまった。

なんという喜劇……もとい、悲劇であろうか。


ぽつ、ぽつ……ざぁぁぁぁぁ……。


雨が降り始め、森の葉が水を受けてざわつき始めた。
自然の喧騒の中、スライムは二人にトドメを刺そうと触手を伸ばす。

だが、そのとき森の中へと走ってくる足跡が聞こえてきた。
素早く木の上に飛び移り、警戒態勢を取るスライム。

やがて、聞こえてきた声は……

「うわー、けっこう濡れちゃったよー……」
「でも、近くに森があったのは不幸中の幸いだったわね。
 この森はたしか商店街まで続いてるはずだから、
 このまま森を通って商店街まで歩くことにしましょ」
「さんせーい」

えびげんとナビィだった。
彼女たちは出発直後に雨に見舞われたため、慌てて雨を避けるために近くの森へと
走ってきたのだった。

「………………」

二人の女性の姿を確認したスライムは、そのまま彼女たちを追跡し始めた。

すでに不味そうな男たちのことなど、眼中になかった。
より美味そうな獲物を見つけたスライムは、嬉々とした様子でえびげんとナビィを
追いかけ始めたのだった。




「……ぐぅ……!」
「……うぐぉぉ……!」

そして、しばらく時間が経った後、モヒカンとダージュは目覚めた。

「……話が違うぞ、変態……!
 あのモンスター、お前の仲間だったんじゃないのか……!?」
「くそ……!ベドロゥの野郎、まさか裏切りやがったんじゃ……!」
「……おい、変態……アレは本当にお前の仲間だったのか?
 はっきりいって、モンスターなんて同じ種類だったら見分けなんて
 つかないだろう?スライムのようなモンスターなら、なおさら……」

ダージュの言葉を聞いたモヒカンはハッとした表情を浮かべた。

「そ……そういえば、ベドロゥにはあんなデッケェ目玉なんか無かったはず……!」
「おい、ふざけんな!?だったら、完全に別人じゃねーか!?」
「う……うるせぇ!!そんな些細な違いに気づくワケねーだろうが!!?」
「どこが些細なんだよ!!?」

ギャーギャー言い合いを始める二人。
雨の音が響く森の中、彼らの時間は無駄に消費されていくのだった。




【A−3:X4Y4 / 森 / 1日目:夕方】

【モヒカン@リョナラークエスト】
[状態]:小ダメージ、顔面に落書き、頭部に木の枝が刺さった跡、
    カッパの皿が刺さった傷、脚に刺し傷、尻に刺し傷
[装備]:無し
[道具]:無し
[基本]:女見つけて痛めつけて犯る
[思考・状況]
1.女を見つけたらヒャッハー
2.初香、えびげん、ミア、美奈を殺す

※東支部でのオーガ達との戦闘中の記憶が殆どありません
※スライムがベドロゥかと思ったが、そんなことはなかったぜ!



【ダージュ@リョナマナ】
[状態]:小ダメージ、気絶、精神小疲労
[装備]:なし(支給品を確認していません)
[道具]:デイパック、支給品一式
    宝冠「フォクテイ」@創作少女
    デコイシールド@創作少女
    不明支給品1〜3種(ダージュが使えると判断したものが最低でも1種)
[基本]リョナラー、オルナの関係者を殺す
[思考・状況]
1.オルナの関係者を殺す(誰が関係者か分からないので皆殺し)
2.現在は魔法も簡単なものしか使えないので強いヤツを避けながら夜を待つ

※モヒカンに対する信用が下がりました。



【A−3:X4Y3 / 森 / 1日目:夕方】

【えびげん@えびげん】
[状態]:健康
[装備]:ショットガン(残弾数3+14)@なよりよ
スペツナズ・ナイフx2@現実
メイド服@えびげん
[道具]:デイパック、支給品一式
パンダのきぐるみ@現実世界
豹柄ワンピース@現実世界
ウェディングドレス(黒)@現実世界
ビキニアーマー@現実世界(コスプレ用のため防御力皆無)
[基本]:ハデ夫をぶちのめしたい
[思考・状況]
1.商店街へ向かい、物資と首輪解除のための工具を見つける

※モヒカンを危険人物と判断しました。
※参加者がそれぞれ別の世界から集められていることに気付きました。



【ナビィ@リョナマナ】
[状態]:正常
[装備]:カッパの皿@ボーパルラビット
スペツナズ・ナイフx1@現実
[道具]:デイパック、支給品一式(パン1食分消費)
[基本]:対主催
[思考・状況]
1.商店街へ向かい、物資と首輪解除のための工具を見つける
2.明空についてマタタビの匂い袋が他人の手に渡らないようにするつもり
 (……だったが、放送のショックで忘れている)
3.キング・リョーナの行いをやめさせる

※モヒカンを危険人物と判断しました。
※参加者がそれぞれ別の世界から集められていることに気付きました。
※オルナの死を受け入れました。



【スライム@一日巫女】
[状態]:健康
[装備]:なし(出来ない)
[道具]:なし(持てない)
[基本]:目の前の敵に襲い掛かる
[思考・状況]
1.えびげん、ナビィを追跡する
2.敵を見つけ次第攻撃

※基本的に木の枝をつたって攻撃するようです。
※自己再生能力を持っていますがコアをやられると
 おしまいというステレオタイプなスライムです。








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