不幸は重なるもの

 

協力者を探して、昏い街の中を探して回ったフロッシュとカナリアだったが、
結局2時間近く探しても協力者を見つけることは出来なかった。

「誰もいませんねぇ……」

カナリアが眉をハの字にしてぼやく。
そんなカナリアを宥めるようにフロッシュが返す。

「……まあ、仕方ありません。殺し合いが始まって
 それほど時間が経ったわけでもないですしね」

……ちなみに彼女たちが街を探索をしていた間に、鈴音と八蜘蛛、桜が宿屋に侵入していたのだが、
宿屋を比較的初期に探索していたせいで、不運にも彼女たちはそのことに気付くことができなかった。

「……時間も惜しいし、ここの探索は切り上げて先に進みましょう」

フロッシュとカナリアは昏い街の探索を切り上げて、次の目標を目指すことにした。

「どこに行きましょうか?」

カナリアの問いかけに、フロッシュはしばし考えた後に答える。

「そうですね……この古い木造校舎に行ってみましょう。
 ここからは比較的近いですし、廃墟や塔に比べれば役立つ物が
 ある可能性が高い。何もなかったとしても、近くに村があるので、
 次はそちらを目指すこともできます」

こうして、彼女たちは古い木造校舎を目指すこととなった。






「……弓矢と霊力を帯びた札ね。私の物と比べてなかなか充実しているじゃない」

リネルはリョナたろうのデイパックの支給品を回収しながら、自分のものと比べて
随分と内容が充実しているリョナたろうの支給品に軽い怒りを感じていた。

「……さて、これからどうしようかしらね」

リネルは考える。
怒りに我を忘れてエンペラー1を使ってしまったせいで、魔力をかなり消費してしまった。
だからといって自分が他の参加者に負けるとは思わないが、最終的にキング・リョーナと戦うことを
考えると、できるだけベストコンディションを保っておきたいところである。

「……そうね。エンペラー1の効果が切れるまでは、当初の予定通りに他の参加者を探しつつ、
 あの小娘どもを探すとしましょう。支給品の中には回復アイテムも含まれているでしょうし、
 どちらにせよ、それが最善のはず……」

そう、エンペラー1の効果が持続している今こそ動くべきだろう。
他の参加者に負けることは無いにせよ、手こずることくらいはあるかもしれない。
ならば、能力の高まった今のうちにできる限り参加者を屠り、エンペラーTの効果が切れた後に休息を
取ればいいだろう。

「……ふふ……それにちょうど良い物を手に入れたことだしね……」

リネルが手に持つ物は、首輪探知機。
現在彼女の手にあるそれは、リョナたろうが乱暴に地面に投げつけたことにより、スイッチが入った状態と
なっている。

リネルは首輪探知機の画面を見て、スイッチを少し弄っただけでこの道具の用途を理解した。

「これがあれば他の参加者を探すのも楽になる……どうやら、運は私に向いているらしいわね」

酷薄な笑みを浮かべながら、つぶやくリネル。
そんな彼女の耳に、キング・リョーナが告げる放送の声が響いてきた。
その内容を聞き取りながら、オルナが死んだという事実に舌打ちする。

「……随分とあっさり死んでくれるわね。私にあれだけの屈辱を味合わせておきながら……!」

自分の手で嬲り殺しにできなかったこと以上に、自分を返り討ちにした者があっさり死んだということに
リネルは激しい怒りを覚える。

「……まあいいわ。死んだ者になど興味はないし、まだ生き残っている二人を早く探し出すとしましょう。
 ……あら?」

行動を開始しようとしたリネルは、首輪探知機にいつの間にか二つの光点があることに気が付いた。

「ふふ……ちょうどいいわ。この二人で憂さ晴らしといきましょうか」

リネルは光点の反応のある場所に向かって、凄まじい速度で駆けていった。




 

フロッシュとカナリアが古い木造校舎へと向かう途中、どこからともなく声が響いてきた。
それが放送だということに気付いた二人は、耳をそばだてて聞き逃さないように注意を払った。

「2時間後の禁止エリアはC−2、4時間後の禁止エリアはB−1だよぉーん♪
 オニャノコ達は絶対入っちゃダメだかんねっ!」

指定された禁止エリアの位置に、フロッシュは苦い顔をする。

「……C−2……ですか……」

目的地であった古い木造校舎はC−2エリアに含まれている。

(嫌がらせですか、この男……)

このタイミングで禁止エリアに含むなど、わざとやっているとしか思えない。
そんなことを考えているうちに、放送は死者の発表まで進んでいく。

「じゃ、名前を読みあげていくよー♪ 合掌の準備はいいかなー?」
 ひとーり、オルナ。
 ふたーり、篭野なより……」

「……え……?」

呼ばれた名前に、カナリアが呆けた表情になる。
その様子に、フロッシュはカナリアのほうに振り返る。

「……カナリア?」
「……オルナ……さん……?」

呆然とした表情でオルナの名前を口にしたカナリア。
フロッシュはその様子を見て、大体の事情を察した。

「……カナリア……」

何と言えば良いか分からず、フロッシュが再びカナリアに呼び掛ける。
カナリアはフロッシュに振り返る。
何が起こったのか分からないという表情でフロッシュを見ている。

その顔が不意に歪んだ。

「ふえ……」

カナリアの瞳から涙が零れ落ちる。
次から次へと、涙が溢れだす。

「ふえええぇぇ……!オルナさんが……!オルナさんがぁ……!」

耐えきれなくなったカナリアが泣き出し始めた。
フロッシュはそんなカナリアを抱きしめて、頭を撫でてやった。

泣きじゃくるカナリアをあやしながら、フロッシュは考える。

(どうしましょうか……さすがにこんなところでいつまでも泣かせていたら、
 他の参加者に見つかってしまいますし……)

とはいえ、カナリアは親しい人間が亡くなって悲しんでいる。
今しばらくは悲しみに浸らせてやりたいところだ。

(……せめて、そばの森に移動しましょう。ここは見晴らしが良すぎます)

そう考えたフロッシュは、カナリアを抱きかかえて森のほうへ歩き出そうと……。


ざぐっ。


「……ぐぅっ!?」

突如、凄まじい激痛がフロッシュを襲った。
見ると、フロッシュの右足に鋭い氷塊が刺さっている。
氷塊はフロッシュの右足を貫通し、地面に縫い付けていた。

油断した。
カナリアを気にするあまり、周囲への注意を怠ってしまった。

「フロッシュさん!?」
「くっ……!カナリア、逃げ……!」

逃げて、と声を発する前にフロッシュの胸に氷塊が迫る。

それはつまり、抱きかかえているカナリアに氷塊が迫ってくることと同義。

「っ!」

咄嗟にカナリアを投げ捨てるフロッシュ。
これでカナリアの身に氷塊が突き刺さることはない。

だが、そのせいでフロッシュは身を守る術を無くしてしまった。
為す術もなく、氷塊はフロッシュの胸に深々と突き刺さった。

「がふっ……!」

フロッシュほどの腕前ならば、飛んでくる氷塊を盾で防ぐことなど造作も無いはずだった。
だが、カナリアを抱きかかえていたことが仇となってしまった。

倒れるフロッシュ。
投げ出されたカナリアは、地面に叩きつけられた痛みをこらえてフロッシュに駆け寄り、声をかける。

「フロッシュさん!フロッシュさん!」

だが、フロッシュはカナリアの声に何の反応も示さない。
そのフロッシュの様子から濃厚な死の臭いを感じ取ったカナリアは恐怖する。

「あ……あ……!フロッシュさん……!やだ……!」

精霊であるカナリアは今まで様々な生物の死に立ち会っており、死というものには慣れていた。
だが、親しい者が傷つき、死んでしまうという経験は一度も味わったことがなかった。
むしろ、カナリアは死を見慣れているだけに自分の大切な人が死ぬことに忌避感を持ってしまうのだ。

大好きな人たちに、今までに見てきた死を重ねてしまう。

ナビィの身体を媒介として復活したカナリアは、普通の精霊では感じることの無い死の恐怖というものを
他人の死という形で感じるようになってしまったのだ。

「死なないで……!グスッ……!死なないで、フロッシュさん……!」

精霊の竪琴を取り出し、必死で癒しの音色を奏で出すカナリア。

ヒュンッ!

だが、飛んできた氷塊が竪琴を掠めていった。

「きゃっ……!」

カナリアは驚いてこけてしまう。
だが、怯まずに落とした竪琴を拾い上げ……。

「!……そんな……!?」

カナリアは絶望に声を震わせた。

竪琴の弦が切れていた。
先ほどの氷塊はカナリアを狙ったのではなく、竪琴の弦を狙ったのだ。

これではフロッシュの傷を癒すことはできない。

「う……ううぅぅ〜……!」

涙が溢れる。
オルナに続いて、フロッシュまで死のうとしている。
そして、自分にはそれをどうすることもできない。

このままでは、フロッシュまで死んでしまう。

(やだ……!そんなの、やだぁ……!)

どうしようもない現状に、カナリアは泣き出したくなる。
だが、そんなカナリアを現状は気遣うことなく、余計に事態を悪化させていく。

「お前……精霊ね?」

その声に、ビクッと身体を震わせるカナリア。
声のほうに顔を向けると、そこには露出の高い服装を纏った少女 ―― リネルがいた。
その少女から感じる邪気にカナリアは身を震わせつつも、きっと睨みつける。

(この人がフロッシュさんを……!)

だが、カナリアの様子などお構いなしにリネルは続ける。

「今、オルナの名を口にしていたでしょう?
 お前、ヤツらの仲間なのかしら?」
「!?……まさか、貴女はロアニー……!?」

カナリアの言葉を聞いて、リネルは笑みを浮かべる。

「……どうやら、ヤツらの仲間で間違いないようね」

そう呟いた後、いきなりリネルの姿が消える。
カナリアは慌てて周囲を見回すが、次の瞬間には背後から羽交い絞めにされていた。

「!……は……放してくださいっ!」

悲鳴を上げるカナリアを無視して、リネルはカナリアの唇に自分のそれを押し付けた。

「んっ……!?んうぅぅ〜っ!!?」

驚いて逃れようとするカナリアを無理やり押さえつけ、リネルはカナリアの唇を貪る。
そして、カナリアの精気はリネルへとみるみる吸い取られていく。

「ん……んんぅっ……!?」

自分の精気を吸い取られていることに気がついたカナリアは焦る。

このままでは、精気を吸い尽くされてカナリアは消滅してしまう。

しかし、逃れようにも精霊のカナリアの力ではそれは不可能だ。
加えて、リネルの身体能力は強化されている。

どうあっても逃れることは叶わない。

(……ナ……ナビィ様……)

やがて、意識が薄れてきたカナリアは自らの死を覚悟し……。


と、いきなりリネルがカナリアを放して後ろへと飛ぶ。

その拍子にカナリアは地面に倒れそうになった。
だが、それを抱きかかえる手が横から伸びる。

「……無事ですか、カナリア?」
「……フロッシュ……さん……?」

そこにいたのはフロッシュだった。
虫の息だと思われたフロッシュが自力で立ち上がり、カナリアを救ったのだ。
彼女は右手にファルシオンを持ち、左手にカナリアを抱えながら、鋭い目でリネルを睨んでいる。

その佇まいからは瀕死の重傷を負ったとは思えないほどの気迫を感じる。

「……カナリア、この少女は私が相手をします。
 貴女は逃げてください」
「……嫌、です……私も……」
「……今の貴女では足手まといです。
 まともに動く力も無い上に、竪琴も使えないのでしょう?」

フロッシュはカナリアの言葉を遮り、にべも無く言い放つ。

「でも……フロッシュさんだって……」
「私は大丈夫です。あれしきの怪我で戦いに支障をきたすほど
 ヤワな身体ではありません」
「…………」

不安そうなカナリアに、フロッシュは笑みを向ける。

「……私を信じてください。貴女は私が守ります。
 探し人にも必ず再会させてあげます。
 そして、私もこんなところで死にはしません」

フロッシュの真摯な言葉に、カナリアはとうとう折れた。

「……分かりました」

カナリアはフロッシュの手から離れ、リネルと逆の方向に飛んでいく。
カナリアは去り際にフロッシュに向かって叫ぶ。

「絶対に後で追い付いてくださいね!約束ですよ!」
「ええ、必ず!」

カナリアの言葉に、フロッシュは承諾の意を返す。
離れて行くカナリアの気配を感じながら、フロッシュはリネルへと対峙する。

「……それで?」

リネルがフロッシュに問いかける。

「貴女、本当にあの子に生きて再会できるとでも思ってるの?」
「……いいえ……私はここで死ぬでしょう。
 貴女ほどの実力者を前に、そんな甘い考えを抱けるほど未熟ではありません。
 ……それに、そもそもこの傷では私は長く無い。」

フロッシュは自分の生命がもう長くないことは分かっていた。
だが、それでもカナリアを逃がすためにあえて嘘を吐いた。
フロッシュの身体が限界に近付いているのを知れば、あの無邪気な精霊は
絶対に自分を置いていくことなどできなかっただろうから。

(……すみません、カナリア。私は貴女を欺いてしまった……)

心の中で謝罪しながら、フロッシュは一秒でも時間を稼ごうと剣を構える。
だが、そんなフロッシュを小馬鹿にするようにリネルは笑い声を上げる。

「うふふふ……馬鹿な女ね。そんな状態であの子が逃げる時間を稼げるとでも?
 それに、あの子は私に精気を吸われてまともに動くこともできないのよ?
 あの子は貴女を殺した後に捕えて、ゆっくりと可愛がってあげるわ……」

リネルの言葉にフロッシュは表情を険しくする。

「……カナリアには指一本触れさせません!」

フロッシュはリネルへと飛びかかっていった。




 

カナリアは必死で飛び回っていた。
彼女はフロッシュの言うとおり戦いの場から離れていたが、逃げるつもりなどなかった。

(誰か、他の参加者の人を探して助けてもらうんです!
 そうすれば、フロッシュさんだって……!)

そう、彼女は他の参加者に助けを求めるつもりだった。
カナリアは、フロッシュが自分を逃がそうとして嘘を吐いていることくらい見抜いていた。
だが、自分が足手まといなのは事実だ。あそこに残っても役には立たないだろう。

ならば、協力者を探して助けを求めるのがベスト。

現状ではフロッシュを救う手立てはそれしか無い。
カナリアは精気を吸われてほとんど力の入らない身体に鞭を入れて、必死で他の参加者を探していた。

そして、その必死な思いが通じたのか、カナリアは運良く一人の参加者を見つけることができたのだ。

「そ……そこのお兄さん!助けてください!
 フロッシュさんが……私の仲間が殺されそうなんです!」

だが、カナリアの幸運はそこまでだった。
……いや、元からそれは幸運などではなかったのかもしれない。

よりにもよって、彼女の見つけた参加者とは……。

「……あぁ?何だこりゃ、妖精か?
 まあいいや。可愛い顔してるし、さっそく頂いちまおうか!」
「えっ!?あっ……!?」

カナリアは危険を感じて離れようとしたが、遅かった。
男 ―― 強姦男はカナリアを押し倒し、そのままカナリアの服を両手で掴んで引き千切る。

「ひっ……!?」
「さあ、たっぷり可愛がってやるからなぁ……!」

鼻息荒く、カナリアの露わになった胸に舌を這わせる強姦男。

「い……嫌っ……!?嫌ぁぁぁっ!!?」

男の自分に対する行いにカナリアは恐怖する。

カナリアには性知識の類は無い。
だが、男の行為に言い知れぬおぞましさを感じ、死に物狂いで抵抗する。

しかし、元々人間よりも力が劣る上に、精気を吸われてしまったカナリアには
セイントを使う力すら残っていない。
今のカナリアの抵抗など強姦男にはほとんど意味が無かった。

そうこうしているうちに、強姦男の手がカナリアの秘所に滑り込んでくる。

「ひぅっ……嫌ぁぁ……!」

半泣きで身をよじるカナリアの頬に口づけながら、強姦男は服を脱ぎ始める。
そして、下半身を露わにした強姦男はカナリアの髪を乱暴に引っ掴んで、
自らの股間に押し付ける。

「!?……やだっ……やだぁぁっ!?」
「ちっ……!大人しくしろ、コラ!」

強姦男は暴れるカナリアを数度殴りつけ、殴られたカナリアは悲鳴を上げる。
カナリアが抵抗を弱めた隙を狙って、無理やり口に男根をねじ込もうとする。

「んぅっ!?んんぅぅ〜〜っ!!」

カナリアは口を固く閉じて抵抗する。
舌打ちした強姦男はカナリアの鼻を指で詰まんで、呼吸をできなくしてしまう。

「……っ……!」

やがて、耐えきれなくなったカナリアが口を開くと同時に、強姦男の男根が
カナリアの口に押し込まれた。

「んぅぅーーっ!!」

口いっぱいに不快な味が広がり、カナリアは吐き気に襲われる。

(やだっ……気持ち悪い……気持ち悪いよぉっ……!)

固く閉じた瞳から涙を零しながら、カナリアは幼い身体にぶつけられる男の凶暴な獣欲に
ただ耐えるしかなかった。

「へへっ……もっと激しく行くぜ?」

強姦男はそう言うと、カナリアの頭を両手で掴んで固定し、自らの腰を激しく前後に揺さぶった。

「んむぅっ!?んぐっ……んんぅっ!!んんーーっ!!」

男根を喉奥まで何度も突き込まれる衝撃に、カナリアはあまりの苦しさに限界まで目を見開く。

(苦しいっ……!!助けてっ……誰か……!)

心中で助けを求めるが、誰もカナリアを助けに来ない。
やがて、カナリアの口内をたっぷりと楽しんだ強姦男はカナリアの口の中に男の欲望をぶちまけた。

「んんんぅぅ〜〜〜〜っ!!」

カナリアの悲痛な声が耳に響くのを心地よく感じながら、強姦男はカナリアの口の中で10秒近く
たっぷりと射精を続ける。
そして、射精を終えた強姦男は乱暴にカナリアを地面に投げ捨てる。

「ひっく……ぐすっ……うぇぇ……!」

口の中を精液でいっぱいにされて泣きじゃくるカナリア。
そんなカナリアに再び圧し掛かる強姦男。

驚くカナリアに、強姦男はいやらしく笑いながら告げる。

「おいおい、これで終わりだと思ったのか?本番はこれからだぜ?」
「!?……嫌っ……嫌です……もう嫌ぁぁっ!!」

泣き叫ぶカナリアを押さえつけ、強姦男はカナリアを再び凌辱し始めた。




 

「……あら?」

カナリアを追いかけていたリネルは、道端にほとんど全裸で倒れているカナリアを見つけた。

その有様はひどいものだった。

衣服は乱暴に破かれ、身体中のあちこちに殴られた跡があり、胸や首筋など所々に
血が滲むほどくっきりと歯形がつけられていた。
秘所と口の端には白濁液が伝っており、明るく無邪気だった精霊の瞳からは光が消えていた。

「……ふぅん……」

その有様を愉快そうに眺めながら、鼻を鳴らす。

仇敵の仲間である精霊の少女がどのような目に会おうと、リネルは何とも思わない。
いや、むしろその様を嘲笑い、嗜虐心を満たすだけ。
特に何の痛痒も感じることなく、後ろに言葉を投げかける。

「……これはお前がやったのかしら?」

その言葉に、リネルの後ろから仰け反るような気配がする。
振り返ったリネルの視線の先にいたのは強姦男だった。

彼はカナリアを凌辱した後、近付いてくる人影を見つけて、姿を隠して様子を窺っていたのだ。

そして、幼い少女の姿をしたリネルを見て、危険は無いと判断、再び凌辱の宴を再開するために
リネルを背後から襲おうと忍び寄ったところでリネルに声をかけられたのだ。

「えーと……何のことやら……」
「とぼけなくてもいいわ。このガキは私の仇敵である女の仲間なの。
 コイツがどんな目に会おうと私にはどうでもいいことよ」

リネルの言葉に強姦男は目を瞬かせる。

「……仇敵?」
「……お前にはどうでもいいことよ。
 さて、どちらにせよお前を生かしておく価値は特に無いわね。
 死になさい」

リネルはそう言うと、手の平に炎を宿して強姦男に向ける。

(げっ!?このガキも発火能力者かよ!?)

焦る強姦男。
必死に考えを巡らし、リネルに言葉を紡ぐ。

「ちょ……ちょっと待った!
 俺が持ってる情報を教えるから、殺すのは勘弁してくれ!」
「……情報ねぇ……」

リネルは目を細めながら、強姦男を見据える。
その視線に得体の知れない恐怖を感じながらも、強姦男は言い募る。

「そう!とっておきの情報を俺は持っているぜ!
 さっき、あんたと同じ発火能力者に出会ったんだ!
 たしか、名前はロシナンテ……」
「そんな情報はどうでもいいわ。他には?」

リネルの言葉に強姦男は固まる。

「……えーっと……」
「……時間の無駄だったわね。さっさと死になさい」
「うわーお!?ちょっと待ってくださいよ、マジで!?」

強姦男は懸命に打開策を探る。

(考えろ、考えろ、考えろ……!
 このガキが今までに発した言葉から、
 コイツが何を望んでいるのかを……!)

情報。仇敵。仲間。女。

(!!)

そうだ!これだ!これしかない!

「待てっ!俺はアンタの仇敵を苦しめるのに役に立つぞ!
 それも、アンタでは決して不可能な方法でだ!」
「……どういうことかしら?」

問い返すリネルに、強姦男は笑みを浮かべる。

「すでに察しているかもしれないが、俺は女を犯すことを生業とする強姦男……。
 俺は今まで女を犯してきた経験から、女に恐怖や嫌悪、屈辱を感じさせることに
 関してはスペシャリストだと自負している……」
「…………」

冷めた目を向けるリネル。
その視線を浴びて、冷や汗をかきつつも強姦男は続ける。

「……アンタの仇敵は女なんだろ?なら、そいつを苦しめるのに俺という存在は
 これ以上ないほど役に立つんじゃないか?
 いや、必ず役に立つ!俺はアンタの目的に必要不可欠となる男だ!」

強姦男の言葉にリネルは最初のうちは冷たい目を向けていたが、
ふと自分がトカゲに襲われたときの屈辱を思い出す。
そして、視線を傍らのボロ雑巾のように打ち捨てられているカナリアに向ける。

目の前の精霊の悲惨な有様を、ナビィやエマと重ねてみる。

(……悪くは無いわね)

渋々ながらも、リネルは認める。
凌辱の限りを尽くされたナビィやエマを、笑いながら踏みつけるリネル。
そんな光景が実現すれば、彼女らに味わわされた屈辱の思いも晴れるかもしれない。

「……ふん……まあ、いいでしょう。
 殺すのは止めにしてあげるわ」
「!……感謝するぜ、お嬢ちゃん!」

感謝の意を向けた強姦男だが、放たれたのは灼熱の火球。

「うおわっ!?」

間一髪、避ける強姦男。

「リネル、よ。今度そんな呼び方をしたら殺すわよ」
「き……気をつけます、リネル様……」

怖々と、強姦男はリネルへと謝罪の言葉を向けつつ考える。

(……おい、コレって美咲のときと扱い同じじゃねぇか!?)

いや、もっとひどいかもしれない。
少なくとも、美咲はここまで高圧的ではなかった。

(くそっ……!対応ミスったか……!?
 いや、他のやり方じゃ殺されてただけだ……!)

強姦男は考える。
ここはひとまずは大人しくしておき、隙を見てリネルを犯して殺す。
要するに、美咲のときと同じだ。

(覚えてろよ……!俺にこんな態度を取ってただで済むと思うな、くそガキ!!)

殺意に燃える強姦男。

そんな強姦男を無視して、リネルはカナリアのほうに歩きだす。

「起きなさい、精霊」

そう言って、カナリアを蹴り飛ばす。

「うあっ……!」

カナリアは呻き声を上げて、意識を取り戻す。

「……うぅ……?」

意識がはっきりしていないカナリアだったが、強姦男を見て悲鳴を上げる。

「ひ……!!」

自分の身体を庇うように腕を交差させて、強姦男の視線から逃れようと後ずさるカナリア。
その身体は恐怖で震え、瞳には強い怯えの色が覗いて見える。

その様がリネルの嗜虐心を刺激する。
サディスティックな笑みを浮かべながら、カナリアに近寄るリネル。

「……!?」

カナリアは恐怖に駆られて、飛んで逃げようとする。
だが、リネルはカナリアを捕まえると、髪を掴んで顔を地面に押し付けさせた。

「ひぐっ……!」
「……邪魔な羽根ね」

そう呟いたリネルはカナリアの羽根を掴むと一気に引き千切った。

ブチブチブチィッ!!

「いぎぃあぁぁぁぁっ!!?」

羽根を引き千切られ、あまりの激痛に絶叫を上げるカナリア。
リネルは痛みに泣き叫ぶカナリアの顔を再び地面に押し付けて黙らせる。
やがて、大人しくなった頃合いを見て、髪を引っ張ってカナリアの顔をこちらに向かせる。

「さて、精霊……カナリアと言ったかしら?
 貴女を守ろうとしたあの女……彼女がどうなったか知りたくない?」
「……!?」

その言葉にカナリアは顔を上げてリネルを見やる。

「フ……フロッシュさんをどうしたんですか……!?」
「ええ、今見せてあげるわね」

リネルは二つ持っていたデイパックのうち、片方に手を入れる。
そして、そこから取り出したものをカナリアの顔の前に掲げる。

「ひっ……!?あっ……嫌あぁぁぁぁーーーーーっ!!!?」

カナリアは絶叫した。

なぜなら、カナリアの前に掲げられたのは虚ろな目で口から血を流す
フロッシュの生首だったからだ。

「うあっ……!ああぅぅっ……フロッシュさ……!うあぁぁぁっ……!!」
「ロアニーに逆らったものはこうなるのよ。少しは思い知ったかしら?」

愉快そうに笑いながら、フロッシュの生首をカナリアの顔に押し付けるリネル。

「ひぅっ……!うぅぅっ……!」

リネルを涙目で睨みつけながら、カナリアはフロッシュの生首を取り返そうと手を伸ばす。
だが、リネルはさっと後退するとフロッシュの生首を放り投げる。

そして、手に宿した火球をフロッシュの生首に向けて放つ。

ごぅっ!!

激しく燃え上がったフロッシュの生首は地面に落ちる頃には灰になっていた。

「う……あ……ああぁぁ……!!あああぁぁぁぁーーーーっ!!」

カナリアの悲痛な慟哭が周囲に木霊した。
それを聞きながら、リネルは心底愉快そうに哄笑を上げている。

その様を見て、びびるのは強姦男。

(や……やっぱ、当分はコイツに逆らうの止めとこ……)

懸命な判断である。

ふと見ると、精霊の少女はあまりのショックのためか、再び意識を失ってしまったようだ。
リネルは強姦男のほうを向いて、言葉を向ける。

「お前、この子を運びなさい」
「……え?殺すんじゃないのか?」

てっきり今までのリネルの行動から、憎い仇敵の仲間である少女は殺してしまうものだと
思っていた。

「ふふ……馬鹿ね。ただ殺すだけではつまらないでしょう?
 この子はヤツらの仲間であるというだけで使い道があるのよ?」

リネルは続ける。

「この子は、ナビィとエマの目の前で殺してやるのよ。
 もちろん、殺す前にこの子がどんな目に遭ったかをヤツらにしっかりと
 教えてやってからね……。
 ふふ……ヤツら、どんな顔をするかしらねぇ?」

そのときの仇敵の表情を想像しているのか、リネルは愉快そうに笑みを浮かべている。
強姦男はそれを聞いて、げんなりした表情を浮かべながら思う。

(勘弁してくれ……さすがの俺でもコイツにはついていけん……)

そんな強姦男にリネルは声をかける。

「今から適当な休憩できる場所を探すわ。
 そこに着いたら、貴女にはその子を休憩中ずっと犯し続けてもらうわよ。
 できる限り苦しませてやりなさい。」
「いえっさー!!」

リネルの言葉に間髪入れず、瞳を輝かせて強姦男は承諾していた。
カナリアの受難はまだ始まったばかりらしい。




 

【カーラマン・フロッシュ@アストラガロマンシー 死亡】
【残り34名】




【D−3:X1Y4/森/1日目:真昼】

【カナリア@リョナマナ】
[状態]:気絶、疲労極大、精神疲労極大、
両羽根損失(飛行不可能)
全身に殴打痕と歯形、強姦男に恐怖心
[装備]:破かれた精霊の羽衣(ほぼ全裸)
[道具]:無し
[基本]:ナビィ達を探す
[思考・状況]
1.ナビィ達を探す
2.フロッシュの死に錯乱気味
3.オルナの死に悲しみ
4.強姦男こわい
5.敵と遭遇すれば臨戦態勢

※強姦男に強姦されました。
※セイントは2タイプあり、ブレイク(破壊)とイレイス(消滅)で使い分けている。
※ナビィはブレイクしか使えない。
※リョナ要素に盛り込むため、精霊も鼻血仕様になっております。



【リネル@リョナマナ】
[状態]:健康、魔力中消費
[装備]:血染めの布巻き、エルブンマント(通常服装)
首輪探知機@バトロワ
[道具]:デイパック(食料18/6、水18/6、支給品一式)
怪盗の心得@創作少女
弓@ボーパルラビット
聖天の矢×20@○○少女、
赤い札×9@一日巫女
弦の切れた精霊の竪琴@リョナマナ
レイザールビーのペンダント@現実世界
木人の槌@BB
サングラス@BB
ラブレター@BB
切れ目の入った杖(仕込み杖)@現実過去世界
ラウンドシールド@アストラガロマンシー
ファルシオン(曲刀)@現実過去世界
[基本]:リョナラー、ナビィ達か女性を探す
[思考・状況]
1.休憩できる場所を見つける
2.ナビィ達を殺す
3.女性を殺す
4.カナリアはナビィ達の目の前で殺す
5.強姦男はナビィ達を凌辱させるために生かしておく(気が変わったら殺す)
6.キング・リョーナには叶えてもらう望みもあるがぶっとばしたい
7.実は生娘、しかし、後ろの初めては奪われてしまった。

※エンペラー1の効果は切れました。
※エンペラー1は今日、あと1回しか使えません。
※レイザールビーとは、光を原料にルビーの中心に収束してレーザーを照射するもので、
 光が強ければ強いほど威力が増す。

※リョナたろう、リザードマン(桜)、フロッシュ、カナリアのデイパックは
 支給品を回収した後、残りの支給品ごと燃やしました。回収不可能です。



【強姦男@一日巫女】
[状態]:健康
[装備]:真紅の短剣@怪盗少女
目出し帽@一日巫女(強姦男の私物)
[道具]:デイパック、支給品一式(食料12食分、水12食分)
ウインドの薬箱@リョナラークエスト(未消費)
隷属の鎖@アストラガロマンシー
その他支給品(0〜2個)
[基本]:レイパー、ステルスレイパー
[思考・状況]
1.女を探して犯す
2.とりあえずリネルに従って様子を見る
3.休憩場所を見つけてカナリアを犯す

※隷属の鎖はマジックハンドだと思い込んでいます。
※ロシナンテ、リネルを発火能力者だと思い込んでいます。




【D−3:X1Y2/街道/1日目:真昼】

【カーラマン・フロッシュ@アストラガロマンシー】
[状態]:首なし死体
[装備]:無し
[道具]:無し




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