巡り会い

 

えびげんは未だに銃を解体して遊んでいた。

「ふむふむ、なるほど〜……ここはこうなってて、ここはこんな感じ〜……。
 うふふふ、幸せ〜♪」

えびげんは殺し合いという状況を忘れて、幸せそうに笑いながら銃の部品を眺めていた。

「あ゛ーあ゛ー、てすてす。・・・ふぅ、ようやく繋がった。
 ったく、そろそろコレ買い換えないといけないなぁ。」

その声を聞いて、はっと我に返る。

「……え?うそ、放送?」

慌てて時計を取り出して、時間を確認する。

「!?……や……やばっ……もうこんな時間!?」

初香にお使いを頼まれてから、5時間近く経過していた。

えびげん、焦る。
あのお子様は、自分が銃で遊ぶのに夢中になって戻るのに遅れたことを知ったら、
めちゃくちゃ怒るだろう。

いや、その程度ならまだいい。
別れてから経過してしまった時間を考えると、いくら武装が充実しているとはいえ、
あの少女は殺されていてもおかしくはないかもしれないのだ。

(し……しまったぁぁ〜〜!?
 こんな殺し合いで、子供を放っといて私は何してるのよぉ〜!?)

えびげんは後悔する。

どうにも、あの初香という少女は図太さやふてぶてしさが目立ってしまって
失念していたが、彼女はまだ子供なのだ。
いくら彼女の武装が充実しているからといって、子供一人を放っておいて
銃で遊び呆けているとは何事か。

「……あ」

そこで、えびげんは気がつく。
すでに男の声が聞こえなくなっていることに。

「放送聞き逃した〜〜!!?」

涙目で頭を抱えるえびげん。
駄目だコイツ……早く何とかしないと……。

「うるさいっ!放っといてよ!」

えびげん、ナレーションに突っ込みを入れつつも焦る。

「ど……どうしよう……!
 これじゃ初香ちゃんが生きてるかどうかも分からないし、
 禁止エリアに運悪く足を踏み入れでもしたら……!」

えびげんはどうすればいいのか分からず、ひたすら悩む。

だが、結局は腹をくくることにした。

「こんな状況になったのは私の責任……。
 なら、せめて今からでも迅速に行動しないと……!」

そして、えびげんは銃を数分で組み立て直すと、初香の待つ国立魔法研究所に
急いで向かうことにした。






森の中を進むのは、先ほどダージュに痛めつけられ、ディレイ・スペルを
その身に刻まれた美奈である。

美奈はいつ自分に刻まれたディレイ・スペルが発動するかと気が気ではなかった。
放送が流れてきたが、禁止エリアだけを記憶に留め、後は全て無視する。
よけいなことに意識を傾けている余裕など、今の美奈には無いのだから。

「魔術師……!どこよ、魔術師……!?」

骨折した左肩の痛みを堪えながら、ひたすら魔術師を探して森の中を彷徨う美奈。

「うぅぅ……何でよ……!何で、私がこんな目に合わないといけないのよぉ……!
 誰か助けてよぉ……!」

次の瞬間には、ディレイ・スペルが発動して死ぬかもしれない。
そんな恐怖と緊張を強いられる今の状態は、精神力があまり強くない美奈には酷だった。

元々精神的に疲労していたところを痛めつけられたせいもあって、美奈の心はすでに限界なのだ。
身体の痛みを堪えて泣きながらよろよろと歩く美奈は、その場に彼女の姿を見る者がいれば、
憐憫の情を抱いたかもしれない。

だが、幸か不幸か周りには、彼女を助けてくれる者も彼女を殺そうとする者もいなかった。

やがて、森を抜けると西洋風の建物が見えてきた。

(あそこなら誰かいるかも……でも、もし殺し合いに乗ってるやつがいたら……)

先ほどダージュに痛めつけられたことを思い出し、美奈の恐怖がぶり返す。
だが、このままでも結局は遅延魔法が発動して自分は死ぬだけだ。

(だったら……行くしかない……)

美奈は萎えそうになる心を無理やり鼓舞させ、足をひきずるように動かしながら建物へと
歩みを進めて行った。






「おい……何の冗談だよ……?」

呆然とした表情で呟くダージュ。

「なんで、オルナの名前が放送で呼ばれてんだよ……?」

先ほどの放送による死者の発表。
その中には、自分が痛めつけ、屈服させ、ありとあらゆる苦しみと屈辱を与えて
殺してやるはずだったエルフの少女の名前が入っていた。

「……ふざけるなよ……」

ダージュは呟く。
その身体から怒気を滲ませながら。

「ふざけるなよ……!」

膨れ上がる怒気。
その怒りは何に対してのものなのか。

オルナか、彼女を殺したものか、はたまた自分自身か。

「ふざけるなよ、クソがぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

天に向かって叫ぶダージュ。
そして、そのまま天を仰ぎ見た状態のまましばらく固まっていたかと思うと、
次の瞬間には引き攣ったように笑い出した。

「くっ……くっく……くはははっ……!
 何でだよ……!?アイツは……アイツだけは俺が殺してやるはず
 だったのによぉ……!」

ダージュは、狂ったように低い声で笑い続ける。

「……くく……殺してやる……!
 オルナを殺したヤツ……オルナを殺そうとしたヤツ……
 オルナに関わったヤツ……全員皆殺しだ……!
 苦しめて苦しめて苦しめ抜いて、その上で殺してやる……!」

その表情に浮かぶのは、狂気。
生き甲斐ともいえる目的を奪われた彼が欲したのは、失った目的の代替物。

オルナの代わりとして、彼女と関わりを持った者たちに地獄の苦しみを与えるという、
あらゆる意味で歪んだ新たな目標を見出したのだった。




 

オーガは何者かが東支部に侵入した気配に気がついた。

「ちっ……またかよ……!」

ロクに休息すら与えてくれないのか。
あまりにも千客万来な東支部に、オーガは辟易していた。

だが、迎え撃とうとするオーガにミアが声をかける。

「待って。気配からすると、相手は戦闘能力の無い一般人です。
 私たちから姿を見せて、警戒を解いたほうが……」
「駄目だ」

ミアの提案を、オーガは最後まで聞かずに遮る。

「相手が一般人だからといって、殺し合いに乗って無いとは限らないだろう。
 それに、そいつに強力な武器が支給されていたらどうする?
 下手をしたら、姿を見せた途端に殺されるぞ?」
「……それは……」

ミアは言葉を詰まらせて、俯く。
そんなミアに対して、オーガは面倒くさく思いながらもフォローを入れておくことにする。

「……まあ、お前の言うことも分からんでも無いさ。
 そのガキのこともあるし、相手を傷つけることに抵抗があるんだろう?」

そう言って、虚ろな瞳のまま座り込んでいるまゆこに視線を向けるオーガ。

モヒカンの襲撃によって傷ついた彼女は、あれから一言も喋らずに虚空を見つめている。
その様は正気の人間のものとは思えず、彼女の心が壊れてしまったのだということを
改めて実感できるものだった。

「…………」

ミアは答えず、唇を噛む。
オーガはそんなミアの様子を見て、溜息をつく。

「……とにかく、侵入者は俺が対処する。
 万が一ヤバくなったら、フォローを頼むぜ」

「……分かりました」

結局、オーガの言葉にミアは頷くしかなかった。
ミアが承諾したのを確認したオーガは、侵入者の元へと向かっていった。






「……遅い……」

初香はなかなか帰ってこないえびげんに苛立っていた。

「何やってるんだよ、あのメイドさんは……。
 まさか、最初から服なんて持ってくるつもりはなくて、
 ボクを置いていったなんてこと無いよね……?」

ぶつぶつと文句と不安を口にする初香。

「……まあ、文句言っても仕方ないよね。
 ひょっとしたら怪我とかして動けないのかもしれないし……」

死んだかもしれないという可能性はあえて考えないでおく。
それについて考えても無駄だし、どうせもうすぐ放送で分かることだ。

「……さて、ここの資料も読み終わったし、次はこっちの棚に
 取りかかろうっと」

初香とて、ただ何もせずえびげんを待っていたわけではない。
この研究所に保管されていた本や実験データを読みながら、初香なりにこの殺し合いの
不可思議な現象について解明しようとしていたのだ。

空間転移などの未知の技術を持つ組織が、殺し合いのフィールドに含めたこの研究所。

研究所。そう、研究所だ。
研究所というからには、『何か』の研究をするための施設だろう。
ならば、その『何か』とは何か?

初香はその『何か』が、参加者たちをこの場所に転移させた技術ではないかと考えたのだ。

わざわざ主催者たちが研究所という施設を……殺し合いにおいてさほど重要とも思えない施設を
含めたのはなぜなのか?
初香はその疑問の答えが『これは主催者たちによる遊びなのではないか?』と考えた。

つまり、まず最初に参加者にとって未知である転移の技術を披露しておき、そんな高度な技術を
持つ主催者たちには逆らっても無駄だという意識を植え付ける。
そして、その上でその未知の技術を解明する資料などをこの研究所……元々は転移の技術を
研究していたこの施設に置いておく。

そうすると、それを見つけた参加者が、

『この資料によって主催者たちの技術を解明すれば、主催者たちに対抗できるのではないか?』

という類の期待を抱くかもしれない。
そんな希望にすらならない希望を抱かせて、最後に全ての希望を打ち砕く。

あの性格の悪そうなハデ夫が好みそうなことだ。

(……まあ、推測に推測を重ねた妄想のようなものだけどね)

正直なところ、初香は自分のこの考えは9割方間違っているだろうと思っていた。

もし参加者に希望を抱かせた上で絶望させたいなら、このやり方は回りくどすぎて
非効率だと言うことと、やはりこれは推測だらけの妄想じみたものでしかないということが
大きな理由だ。

それに、初香がえびげんを待っている間に読んだ資料……もちろん全部では無く一部だけだが、
それには転移の技術についてなど全く書かれていなかったということもある。

(しかも、書かれてることも役に立たないことばかり……まあ、魔法の研究って時点で
 話にならないんだけどさ……)

初香はそう考えつつ、それでもこれらの資料を読むことで主催者の性格や何らかの隠された意図が
見えるかもしれないと、律儀に資料に目を通していた。

どうせ他にやれることは無いのだから、役に立つ可能性は低くても一応やるだけはやっておこうと
初香は考えたのだ。

だが、初香もさすがに徒労であるという思いが強くなってきた。
いくら天才少女とはいえ、これだけの量の、しかもほぼ確実に役に立たないであろう資料を
読み続けるのは精神的にも辛い。

「……さすがにもう止めとこうかな。
 疲れてきたし、せめて少し休憩しよっと……」

疲れを感じてきた初香は、ひとまず作業を中断することにして、今のうちに
食事を取っておくことにした。

そのとき、ちょうど放送が辺りに流れてきた。
それを聞きながら、初香はえびげんが生きていることにほっとする。
そして、安堵した自分に気づいて少し不機嫌になる。

(……まあ、ボクが頼んだ用件のせいで死んだりしたら後味悪いからね)

初香は、自分がえびげんを心配していたことが何となく面白くなくて、
誤魔化すように心中で呟く。

「それにしても、思ったより死んだ人が多いなぁ……これは急がないとまずいかも……」

人数が少なくなれば、それだけ脱出の可能性は低くなる。
協力者になってくれる者も少なくなるだろうし、首輪を解除できる技術を持った人間が
死んでしまっては、全ての希望が断たれてしまう。

「……本当に早くしてよ、えびげんさん……」

初香は焦燥感を感じ始めていた。
このままでは、脱出の可能性がなくなってしまう。

と、扉の向こうから足音が聞こえてきた。

(……やっと帰ってきたのかな?)

初香は期待するが、よく聞くとその足音はえびげんのものにしてはやたらドスドスとした
ものに聞こえる。

おそらく男性。
それもかなり大柄の人間だ。

初香は考える。
この参加者に対して、どう対処するかを。

(隠れてやり過ごす?……いや、それは駄目だ。
 死者の多さを考えると、もうモタモタしてられない。
 多少危険を冒しても、協力者を得るために行動しないと……)

初香はショットガンを構えて、迎え撃つ態勢を整える。

やがて、開かれた扉から現れたのは……。




 

「お……?おお!?」

モヒカンは自らの股間が天を突く様を見て確信する。

「この反応……ここかぁぁっ!?ここに獲物がいやがるのかぁぁっ!?」

国立魔法研究所を前にしたモヒカンは、満面の醜い笑みを浮かべながらハイテンションに叫ぶ。

「しかも、この反応は……!!」

  幼  女  !  !

「ウヒアアッハハッッァァハハハハァァァッーーーーーーッ!!!!」

  モ  ヒ  カ  ン  狂  乱  !  !

スーパーハイテンションとなったモヒカンは、意味不明の奇声を発しながら国立魔法研究所に
突撃していくのだった。






「……で、捕まえてきたわけだが、どうするよコイツ?」
「な……何よ、いきなり襲いかかって……!?
 まさか、アンタたち殺し合いに乗ってるんじゃ……!?」

10代半ばであろうその少女は明らかに怯えた様相を見せていた。
そんな少女の首根っこを容赦なく引っ掴んで引きずってきたオーガに非難の目を向けながら、
ミアは優しくその少女に話しかける。

「大丈夫、安心して。私たちは貴女に危害を加えるつもりなんて無いから」
「で……でも、いきなり私に襲いかかって……!」
「その人が貴女を捕まえたのは、こっちも警戒していたからだよ。
 もし貴女が殺し合いに乗ってたら、私たちが危ないから……。
 ゴメンね、怖い思いさせちゃって」
「……うっ……」

ミアの優しい言葉を聞いた美奈は、堪え切れず涙を流し始めた。
この殺し合いの場でようやくまともな人間に会えたことで、美奈の緊張の糸が切れたのだろう。

「ど……どうしたの!?大丈夫!?
 そんなに怖かったの!?」

慌てて美奈に駆け寄ったミアは、良く見ると美奈の右肩が骨折していることや所々に打撲傷が
あること、上半身の服が破かれていることに気がついた。

ミアはオーガを睨みつける。

「……俺じゃねーよ」

オーガはうんざりした様子でミアの視線に答える。

「……おい、お前。その怪我は誰にやられた?」

オーガの言葉に、美奈ははっとする。

「そ……そうだ……!ねえ、貴方たち魔法とか使えない!?
 私、さっきエルフみたいな男に変な魔法掛けられて……!」
「……詳しく話せ」

美奈はエルフのような長い耳を持つ男に襲われたこと、そして身体にディレイ・スペルという
遅延魔法を刻まれたことを話した。

「ひどい……待ってね、すぐにその魔法を解いてあげるから……」
「ほ……本当……!?解けるの……!?」

美奈は希望に顔を輝かせる。
それに、美奈に刻まれたディレイ・スペルを確かめていたミアは笑顔で答える。

「大丈夫。貴女に掛けられた魔法は高度ではあるけど、
 解呪自体は難しく無さそうだから……」

そう言って、ミアはマジックロッドを掲げて美奈のディレイ・スペルの解呪を始める。
美奈の身体が光り始め、温かい感触に包まれる。

そして、美奈の身体に刻まれたディレイ・スペルの刻印が消えていき……。


バキン!


「!?」

ミアの顔が強張る。

それを見て、美奈が不安そうな目を向ける。

「え……!?な……何よ、どうしたの……!?」
「あ……大丈夫、解呪は成功したわ。ただ……」

ミアのはっきりしない物言いに、美奈は不安を募らせる。
それを横目に、オーガがミアに問う。

「……何か仕掛けてあったのか?」
「……はい。たぶんですけど、これは魔法を解いた瞬間に、
 その解かれた場所の情報を術者に与える魔法が仕掛けられていたんだと思います」
「……何?」

ミアのその言葉に、オーガは顔を顰める。

「ちょっと待て、だったら……」
「はい……この子に魔法をかけた術者は……
 おそらく、今ここに向かってきているはずです」
「アイツが……!?そ……そんな……!?」
「マジかよ、クソ……!」

オーガはすぐに荷物をまとめ始めた。
ミアも時間が無いことを意識し、手早く美奈に回復の魔法を掛け始めた。
痛みが和らいでいくことに驚いた美奈にミアが声をかける。

「ゴメンね。時間がないから完全には治してあげられないけど、
 これで走ることはできるよね?」
「う……うん……」
「貴女も私たちに着いてきて。
 大丈夫、貴女を襲った男が来ても必ず私たちが守ってあげるから」
「……うん……」

ミアの言葉に、美奈は素直に頷く。
元より、この状況では信用できるのはミア(と一応オーガ)くらいなのだ。
美奈に選択肢など無かった。

「準備はできたか?なら、さっさと行くぞ」
「はい!」

ミアはまゆこを背負うと、美奈と一緒にオーガの後を追い始めた。




 

「ヒャアッハッハッハァァーーーーッ!!」
「っ……!?う……動かないでっ!!」

初香を見た瞬間、下劣な奇声を上げて襲ってきた男に対して、
初香は銃を構えて警告の声を上げた。

だが、ニヤリと笑った男は次の瞬間には5体に分身したのだ。

あり得ない現象を目の当たりにした初香はその瞬間、思考が停止した。
その隙に、分身の一人が迫ってくる。

(!?……し……しまった……!?)

慌てて銃を構え直し、分身を撃とうとする初香。

だが、初香は躊躇する。

(撃ったら……どうなるの……?
 分身……よく分からないけど、本体じゃないなら死なない……?
 それとも、どれを撃ってもこの男は死ぬの……?)

もし、死ぬとしたら。
自分は人を殺すことになる。

初香はそう考え、躊躇ってしまった。
そして、その躊躇は、初香に致命的な隙を作った。

「オラオラ、何ぼさっとしてやがるんだぁぁぁっ!!?」
「あっ……!?」

間合いを詰められた初香は、持っていた銃を分身の一人に奪われてしまう。
そして、迫ったもう一人の分身に殴り飛ばされる。

軽々と吹っ飛んだ初香は、窓を突き破って外に飛んで行った。

「がっ……!?」

吹っ飛んだ初香は地面に叩きつけられた瞬間、あまりの衝撃に気を失いかけた。
それでも何とか意識を保った初香は、身を起こそうとして、わき腹の激痛に悲鳴を上げて
悶絶する。

「痛っ……!?……ぅぅっ……!」

アバラが何本か折れたらしい。
凄まじい激痛に苦鳴を洩らしながらも、何とか身を起こして逃げようとする初香。

だが、そんな初香の頭上に影が降りる。

顔を上げた初香の目の前には、股間をギンギンに滾らせた巨漢の変態。

「どこに行こうとしてるのかなぁぁぁ?」
「……ちょっと花摘みにね。着いてきたら殺すよ」
「ヒャハハハ、殺してみせろやオラァァァァァ!!?」

そのまま初香を押し倒し、馬乗りになるモヒカン。

「うぁっ……!」
「ヒャハハハハ、さあイッツ・リョナタァァァイムだぜぇぇぇ!!」

そう言って、モヒカンは拳を振り上げる。
慌てて顔を庇う初香に、何度も容赦の無い拳の連打を浴びせ始めるモヒカン。

「ひぐっ……!あぅっ……!げふっ……!あぁぁっ……!」
「ヒィィィハハハァァァーーーーッ!!」

殴られるたびに悲鳴を上げる幼い少女。
モヒカンはそんな初香に興奮し、さらに初香を殴りつける。

そして、数分もの間殴られ続けた初香は痣だらけの痛々しい姿となっていた。

「う……あ……あぁ……!」
「ひひひひ、おいおいどうしたよぉぉ〜〜?
 まだまだここからが本番だぜぇぇ〜〜?」

そう言うと、モヒカンは両手で初香の頭部を掴み、息がかかるほどに顔を近づけてくる。

「こ、の……放せ、変態……!」
「お断りだぜぇぇぇ!!」

そう言って、モヒカンは初香の顔をベロベロ舐め始めた。

「ひぃ……!?」
「うぅぅ〜〜ん、デェェリィィシャァァァスゥゥゥ!」
「い……嫌……!?やだっ……やめてっ……!!」

モヒカンの行為に未だかつて感じたことのないほどの強烈なおぞましさを
感じた初香は必死で抵抗するが、モヒカンの力には叶わない。

モヒカンのナメクジのような舌が、初香の唇にまで這いまわり初香は悲鳴を上げる。

「いいいぃぃぃええぇぇぇあぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」

そんな初香にさらに興奮したモヒカンは、初香の腹にユサユサと自分の股間を擦りつけながら
狂ったように天に向かって叫ぶ。

初香は、自分の腹部から伝わるモヒカンの股間の熱と感触のおぞましさに泣きたくなる。

(うぅ……気持ち悪いよぉ……!何とか……何とか、この変態を倒さないと……!)

そこで、初香は自分が纏っている赤いテーブルクロスの懐にスペツナイズ・ナイフを
忍ばせていたことを思い出す。

目の前の変態は、今度は初香の首筋に顔を埋めて耳たぶをチュパチュパとねぶり始めていた。
その感触は耐えがたいほどの嫌悪感を初香に与えてきたが、初香は涙目になりながらも
必死でそれに耐えつつ、ゆっくりと懐からナイフを取り出し……。

だが、右手がナイフを掴んだところで、その手をねじり上げられた。

「痛っ……!?」
「ひひひひひ、お嬢ちゃんの考えなんてお見通しなんだよ。
 いきなり抵抗が弱くなったら誰だって不意打ちを警戒するぜ、オイ?」
「っ……!」

(こんな男に考えを読まれるなんて……!)

初香はモヒカンを睨みつけながら、屈辱に打ち震えた。

モヒカンはそんな初香にニヤァァっと醜い笑顔を向け、初香の纏う赤い布に手をかけた。

「!?……やめっ……!」

何をされるのか悟った初香は慌てて両手でモヒカンの手を抑えようとする。
だが、それは叶わない。

 

ビリィィィィィィィィィッ!!

初香の身体を隠していたテーブルクロスは、モヒカンの力に耐えられずあっさりと
引き千切られた。

露わになる初香の未成熟な身体を、涎を垂らさんばかりの表情で初香の平らな胸に視線を這わせる。

「……〜〜〜っ!!」

初香は顔を真っ赤にして、涙の滲んだ目でモヒカンを睨みつける。

「んんんんん〜〜〜〜良い顔だぜ、お嬢ちゃぁぁん……。
 よしよし、じゃあ良いモノを見せてくれたお礼をしないとなぁぁ?」

いつの間にか、モヒカンと初香の横に分身モヒが一体立っていた。

その手には、初香から奪ったショットガン。

モヒカンは分身モヒからショットガンを受け取り、初香の胸部にポイントする。

「っ……!?」
「このボウガンでお嬢ちゃんの身体に風穴を開けてやるぜぇぇぇ!!
 風通しが良くなって嬉しいだろぉぉおぉぉ、ヒャハハハハァァァァーーーー!!」

どうやら、モヒカンはショットガンのことを変わった形のボウガンだと思っているらしい。
そのことに初香は若干の疑問を覚えるが、どちらにせよ基本的な使い方が同じである以上、
初香に取っては大差の無いことだ。

そう、ショットガンだろうがボウガンだろうが弾が発射されれば初香は死ぬのだ。

「くっ……うぅぅっ……!」

恐怖に駆られ、逃れようともがく初香を愛おしそうに見つめるモヒカン。

「いいねぇぇぇ……何度見ても、女が怯える様は最高だぜぇぇぇ……!」

そして、モヒカンはショットガンの銃口を初香の眉間にゴッと押し付ける。

「ひっ……!?」

初香は思わず悲鳴を上げる。
向けられる銃口、そこから伝わる死の恐怖に初香の身体は震え始める。

「どこに穴を開けてほしいかなぁぁぁお嬢ちゃぁぁぁん?」
「ど……どこもヤダよっ……!何でこんなことするのっ……!?
 お願いだから、もう止めてよっ……!」

初香の震える声を聞いたモヒカンは嬉しそうな声を上げる。

「おやあぁぁ?最初のような余裕のある受け答えはどうしたのかなぁぁ?
 もう限界でちゅかぁぁぁ?」
「う……うぅぅっ……!!」
「へっへっへ、所詮はお子様だなぁオイィィ?」

そう言って、モヒカンは初香の露わになった胸に銃口をぐいぐい押しつける。

「このちっちゃな胸がいいかなぁ〜〜!?ひひひひ、ほれほれ!」
「あ……あ……!」

銃口を胸に押し付けられた初香は、その冷たい感触に怯えた声を上げる。
そんな初香をさらに嬲るようにモヒカンは銃口を移動させる。

「それともぉぉぉ〜〜……ここがいいかなぁぁぁ〜〜!?」

そう言って、今度は初香の股間に銃口を向ける。
息を呑む初香。

「や……やめて……!それ、除けてよぉ……!」
「ほぉぉ〜〜れ、ぐにぐにしてやるぜぇぇ〜〜!」
「ふぁっ……!ひっ……ひぅっ……!」

再び伝わる冷たい金属の感触。
今度は初香の秘所を襲うそれに、初香はたまらず声を漏らしてしまう。

その初香の様子にモヒカンのボルテージは限界を超えた。

「ひゃあ、もう我慢できねぇぇぇぇ!!
 徹底的にリョナってやるぜぇぇぇぇ!!」

そう言って、モヒカンはショットガンの銃把で初香の胸部を思い切り殴りつけた。

ボキィィィッ!!

「がぁぁっ!!?うぁっ……ごほっ……!!あっ……あぁぁぁっ……!!」

初香は胸を押さえて、激痛に苦しみのたうち回ろうとする。
だが、モヒカンが馬乗りになっている状態ではそれも叶わない。

ほとんど身動きのできない状態の初香は、ただその激痛に耐えるしかなかった。
だが、その初香にさらなる苦しみが襲う。

モヒカンががばっと口を開けて、初香の小さな鼻と唇に吸いついてきたのだ。

「むぐぅっ……!!?んんぅぅ〜〜〜っ!!」

気色悪さに加えて、呼吸ができない苦しさに初香はモヒカンから必死で逃れようとする。
だが、モヒカンに押さえつけられた初香の抵抗は再び無駄に終わる。

モヒカンは初香の肺に残った空気まで吸い出そうとするかのように、ずずずずず〜〜っと
音を立てながら初香の鼻と唇を貪る。

(……苦し……い…………息……が…………!)

肺からわずかな空気すら吸い出され、呼吸困難に陥いる初香。
だが、初香が意識を失う直前に、モヒカンはぶはっと口を放して初香を開放する。

「ぜっ……はっ……!げほっ……!はぁっ……はぁっ……!!」
「へへへ、まだまだこれからだぜぇぇ?」

モヒカンは腰を浮かせ、未だ苦しんでいる初香をひょいと抱き上げる。
そのまま初香の胴に両腕を回して、露わになった初香の小さな胸に汚い顔を押し付ける。

「いぅっ……!?」

自分の胸にモヒカンの顔が張り付いた感触に、先ほど胸骨を砕かれたばかりの
初香は痛みを感じて苦鳴を漏らした。

それによって、呼吸困難で朦朧としていた意識がいくらかはっきりする。
そして、初香はようやく自分がモヒカンに抱きかかえられていることに気がついた。

「い……いや……やだっ……!」

初香は恐怖に震える。

また痛いことをされる。
そう思った初香は、死に物狂いでモヒカンから逃れようと暴れまわる。

唯一自由になる足でモヒカンを蹴りつけて必死の抵抗をする初香。
だが、そんな初香をモヒカンはにやにやと眺めるだけ。

自分の抵抗が全く意味を為さない現状に初香の心に絶望が広がる。

このまま自分はこの男が満足するまで嬲られ、殺されるのだ。

(嫌だ……そんなの嫌だ……!!)

だが、抵抗の術は無い。

そもそも、初香には分かっていた。
銃を奪われ、この男に追い詰められた時点で自分は『詰み』だったのだ。

自分の力だけでは、この男から逃げることなど不可能なのだから。

「あ……あぅ……あぅぅぅ……!」

涙がぼろぼろ溢れてくる。


怖い。

殺されるのが怖い。
痛いことをされるのが怖い。

この男が、怖い。


すでに恐怖が限界となった初香はただ泣きながら弱々しい抵抗を繰り返すだけ。

初香は、心のどこかで自分はこんなにも弱かったのかと失望していた。
だが、諦めにも似た納得を抱いていた。

所詮、自分は子供だったのだと。

(……もう駄目……このまま……殺されるんだ……)

そして、とうとう初香は生存を諦めてしまった。

すでに初香は10歳の子供の身では到底耐えることのできないほどの苦痛と恐怖を
モヒカンによって与えられている。
初香は大人顔負けの精神力を持っていたが、そんな初香とはいえ、モヒカンの
鬼畜な攻めに耐えきれるほどの強い心は持っていなかったのだ。

「へへへ、さあ……良い声を聞かせてくれよぉぉ?」

そう言うと、モヒカンは初香の胴に回した両腕をそのまま締め上げる。


ミシミシィィッ……!


「!!?……いぎあぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」

初香は胴を締め上げられる激痛に絶叫する。

モヒカンの締め上げは容赦が無かった。
子供に与えるには過剰すぎるほどに、全力で初香の細い胴を締め上げていた。

「ヒィィハハハァァァァ!!
 良い声だぜぇぇぇお嬢ちゃぁぁぁん!!
 このまま胴を真っ二つにへし折ってやらぁぁぁぁ!!」

モヒカンの叫びは、初香の耳には入っていない。
初香はすでに意識を失い、その身体はぐったりと力を失っていたのだ。

だがモヒカンはそんなことには気がつかず、初香の胴をへし折るために
さらに力を込め……。




バキィィィッ!!




次の瞬間には、モヒカンは吹っ飛ばされていた。

「やっぱり……貴方を放っておくべきじゃなかったわ……!」

怒りに震える少女の声。
そこに立っていたのは、マジックロッドによって変身したミアだった。




 

ダージュが東支部に到着したときには、すでに東支部はもぬけの殻だった。

「ちっ……逃げたか……まあいい、ここから逃げる場所といえば
 西にある国立魔法研究所以外には考えられねぇ……。
 そこにいけば、あのガキとガキのディレイ・スペルを解いた人間に
 会えるってわけだ……」

ダージュは呟き、ふとそばにデイパックや支給品が複数落ちていることに気がつく。

「慌てて忘れでもしたのか……?
 役立ちそうなものだけ、もらっていくか……」

ダージュはデコイシールドと宝冠「フォクテイ」を自分のデイパックに仕舞った。

「さて……それじゃあ、追うとするか……」

ダージュは国立魔法研究所に向かって歩を進めて行く。






(疫病神かよ、こいつは……!?)

オーガはあまりの巡りの悪さに、頭を抱えたい気分だった。

今、彼の目の前には気絶したモヒカンが転がっており、そのモヒカンが襲っていた少女は
ミアによって回復魔法をかけられていた。

幸いモヒカンが気絶しているおかげで、オーガとモヒカンの関係は気付かれていないが、
このままではまずい。

なぜなら……

「ねえ……この男、どうするの?」

美奈の問いかけに、ミアは考える。

「そうね……少なくとも、放っとくわけにはいかないわ……」
「まさか……連れて行くなんて言わないわよね?」
「そうは言わないけど……」

ミアは迷っている。
美奈はそんなミアにはっきりと聞く。

「……殺さないの?」
「それは……」

ミアと美奈の会話に、オーガは気が気ではなかった。

美奈の言葉を聞く限り、美奈はモヒカンを殺しておきたいと思っているようだ。
ミアは殺すことに躊躇があるようだが、モヒカンはすでに多くの犠牲を生んでいるのだ。

いくらミアといえど、ここで見逃すほど甘くはないだろう。

「……動けないように拘束して……ここに置いていくのは……?」

前言撤回。

ミアの言葉を聞いて、オーガは自分がまだミアの性格を掴み切れていなかったようだと考え直す。

(だが、これはチャンスだ……)

ここで自分がミアの言葉に賛同すれば、美奈も渋々納得するかもしれない。
さっそくミアの意見に追従しようと口を開いたところで……。

「私……その子以外にも、この男が女の子を襲ってるところを見たわ……。
 コイツ、心底楽しそうに私と同じくらいの子を嬲り殺しにして……」

そのときのことを思い出したのか、美奈は身体を震わせる。

「っ……!」

ミアの顔色が変わる。
その表情にはモヒカンに対するさらなる怒りが浮かび、同時に決意の現れが見て取れた。

(!?……まずい……!)

オーガは慌てて、モヒカンに何らかのフォローを入れようと考えるが、

(……入れようがねーだろ、そんなもの!!)

当然、モヒカンの仕出かしたことにはフォローの余地などない。
加えて、今まで自分がミアに対して見せてきた性格は、どちらかと言えば東支部にいるときと
同じようなドライな面だ。
今更、こんな男の生命を尊ぶような博愛精神に満ちた言動を取っても、疑いの眼差しを
向けられるだけだろう。

「……分かった……この男は殺すわ……」
「!……そ……そうよ……!そのほうが……いいに決まってる……」

美奈は自分で提案しておきながら、いざとなったら殺すことに怯えを感じ始めたらしい。

(だったら、最初から提案するんじゃねぇ!)

怒鳴りたくなるのを堪えつつ、オーガは必死で考えを巡らせる。
だが、良い手が思いつかない。

(くそ……どうすれば……!)

「……待っ……て……」

焦るオーガの耳に、耳慣れない声が聞こえる。

「!?……良かった、気がついたのね!?」
「……その……男を……殺すのは、待って……」

モヒカンに痛めつけられ、気を失っていた初香が目覚めたのだ。

「殺すなって……じゃあ、どうしろって言うのよ?」

美奈は不満げに初香に言葉を向ける。

「……殺すなとは……言ってないよ……。
 ただ……ちょっと待ってって……言ってるだけ……」

初香はよろよろと立ちあがり、モヒカンがミアに吹っ飛ばされた際に放りだされていた
ショットガンの元へと向かおうとする。

「ま……待って!あれが欲しいなら、私が取ってきてあげるから、
 貴女は無理をしないで!」

そう言って、ミアはショットガンを拾ってきて初香に渡す。

「ありがと……そういえば、助けてもらったお礼もまだ言ってなかったね……」
「気にしないでいいよ、そんなことは!
 それよりも、傷の手当てを続けないと……!」
「大丈夫……少しは動けるようになったから……」

そして、初香はモヒカンの前まで近付くと、ショットガンをモヒカンに向けて構える。
それを見て、美奈は息を呑む。

「まさか、貴女がその銃で……!?」
「……うん……この男はボクが殺すよ……」

初香の言葉に、まゆこ以外の全員に緊張が走った。

「ば……馬鹿なこと言わないで!
 貴女みたいな子供に人殺しなんて……!」
「子供とか関係ないよ」

激昂するミアに、初香は冷たく告げる。

「ボクがこの男を撃つのを躊躇わなければ、
 こんなことにはならなかったかもしれないんだ」

初香は続ける。

「ボクにはこの殺し合いを生き残るための覚悟が足りないんだよ……。
 だったら、ここでこの男を殺しておいて、いざというときには
 殺しを躊躇しない心を手に入れておかないと……!」
「馬鹿言ってんじゃねーよ」

初香の覚悟に、水を差す言葉が放たれる。
初香はきっとその声の主を睨みつける。

オーガは、その視線を真っ向から受け止める。

「黙っててよ。
 貴方からしたら馬鹿なことかもしれないけど、
 ボクにとっては大事なことなんだ。
 人を殺す覚悟が無いとこの殺し合いには……」
「人一人殺したくらいで、そんなものは手に入らん」

初香の言葉を、オーガは冷たく遮る。

「何人殺したって人殺しを躊躇するヤツはいるし、
 逆に一人も殺してないやつでも、全く躊躇しないヤツもいる」

オーガは続ける。

「お前はどう考えても、前者のタイプだ。
 確かに一度殺しをすれば、ある程度は慣れるかもしれないが、
 そんな程度じゃ最初から殺しを躊躇しないヤツに通じるわけがない。
 逆に、人を殺したことによる精神的なダメージのほうがこの場では問題になる」

そして、オーガは初香に告げる。

「お前の場合、殺しをすることによって得られるメリットよりも
 デメリットのほうが大きい。
 切羽詰まった状況で仕方なく殺すならともかく、こんな気絶しているだけの
 人間をわざわざ殺す意味なんか無いんだよ」

オーガから告げられた言葉に、初香は顔を青ざめさせて肩を震わせる。

(……この人は……)

オーガの言葉は温情からのものではない。
実際に初香が人を殺した場合に、初香にとってメリットがあるか否かを冷静に、
冷徹に告げているだけなのだ。

おそらく、この男は人を殺したことがあるのだろう。
それも、一人や二人などという数ではなく膨大な人数を。

この目の前の男のような人間に、人を一人殺した程度の自分が太刀打ちできるのか?

(……無理だ……)

初香は殺しの覚悟で、この男に勝てるとは思えなかった。
初香が手に入れようとしていた覚悟は、最初から初香が得られる類のものではなかったのだ。

顔を俯かせて黙ってしまった初香に、オーガは近寄る。

「その武器……使い方はボウガンと同じか?」
「え……?うん、そうだけど……?」
「矢は入ってるのか?」
「引き金を引けば、弾は出るはずだけど……」
「……よし、そいつを寄こせ。この男の始末は俺がつけよう」
「……うん……分かった……」

初香は素直に頷いた。

この気絶した男を殺すのは、自分の役目では無いことがはっきりと分かったからだ。

初香はオーガにショットガンを渡す。
オーガはショットガンを初香から受け取り……。




そのまま、ショットガンで初香を殴り倒した。




 

「なっ……!?」

ミアと美奈が驚愕の声を上げる。

「何をするんですか、ルシフェルさん!?」
「悪いな、ミア」

怒りの声を上げるミアに対して、オーガは無表情に謝る。

「できることなら、何事も無く穏便に済ませたかったんだがな……」

そこで、オーガは笑みを浮かべた。
その顔に、ミアと美奈はぞっとした。

それはオーガが今までに見せたことの無い凶悪な笑顔……リョナラー連合東支部の
オーガとしての顔だったからだ。

「さすがに、仲間が殺されるのを放っておくわけにもいかないんでな。
 悪いが、裏切らせてもらう」
「な……仲間……!?まさか……!?」

初香の言葉に、オーガは答える。

「その通り、そこに転がってる変態は俺の仲間なんだよ」

オーガは忌々しそうにモヒカンを見やる。

「じ……じゃあ、さっきの会話はボクにそいつを殺すのを止めさせるために……!?」
「俺が殺す流れにしないと不都合だったんでな」
「っ……!!」

初香は悔しさに撃ち震える。

(こんな……こんなヤツを信用したなんて……!)

初香の目に涙が滲む。
こんな男に、天才である自分があっさり騙されてしまったことが情けなくて
仕方が無かった。

(ボクは……やっぱり、ただの子供だ……!)

初香は無力感に撃ち震えていた。

そんな初香に銃口を突き付けながら、オーガはミアに命令する。

「さて……まずは変身を解いてもらおうか」
「……くっ……!」

ミアは悔しげに呻きながらも、変身を解く。
光がミアを包み、次の瞬間には変身の解けた金髪のミアの姿が現れる。

「よし……じゃあ、次はそのロッドを遠くへ投げ捨てろ」
「…………」

黙って、マジックロッドを投げ捨てるミア。
それを確認したオーガは、今度はモヒカンを起こすために声をかける。

「おい起きやがれ、モヒカン!!
 いつまで寝てるつもりだ!!」
「……ぐぅっ……!」

モヒカンは呻き声を漏らした後、頭を振って立ち上がる。

「……ん?おお、オー……じゃなくて、あー……」
「……もう意味ねーよ。オーガで構わん」
「ん?おお、そうか!」

嬉しそうに笑うモヒカンに渇いた笑みを向けるオーガ。

「……さて、モヒカン。
 さっそくだが……そいつらを殺せ」
「!?」
「イヤッハァァァァ!!了解だっぜぇぇぇぇ!!」

オーガの言葉にミアたちは顔を強張らせ、モヒカンは狂喜の雄叫びを上げる。

「くっ……!」
「動くなミア。このガキを殺すぞ」
「っ!……この……卑怯者っ!!」
「んん?良く見たら、あのときの女じゃねーか!?
 へへへ、こりゃついてるぜぇ!!」

万事休す。
初香を人質に取られたミアは戦うことができず、美奈も現状に震えるばかりで何もできない。

このまま彼女たちはモヒカンの餌食になるしか道はなかった。




パァァーーーーンッ!!




「……あ?」

オーガは呆けた表情で自分の胸を見る。

そこから大量の血が溢れていた。
位置からして心臓を撃ち抜かれている。

それを確認した途端、膝から力が抜ける。

(……何が……起こりやがった……?)

オーガは最後の力を振り絞って、背後を振り返る。
視線の先には、銃を構えるメイド服の女性の姿。

「……えびげん……さん……?」

初香の呟く声を聞きながら、オーガは心中で自分の不運を呪う。

(……このタイミングで……新手かよ……!)

ついてない。
全く持って、自分はついてない。

だが、このままで終わってやるものか。

せめて、自分を撃ったメイド服の女性に一矢報いる。
オーガは最後の力を振り絞って、初香に銃口を向け直す。

メイド服の女性が慌てる姿が見える。
銃をこちらに向け直しているようだが、間に合うはずが無い。

こちらは、後は引き金を引くだけなのだ。
たとえ再度撃たれたとしても、この引き金だけは絞り込んでやる。

(死にやがれ、クソガキ……!)

バァンッ!!

オーガのショットガンが火を噴き、少女の身体を撃ち抜いた。

それを確認した瞬間、オーガの意識は途絶える。
そして、彼はそのまま二度と目を覚ますことはなかった。




 

オーガに撃たれそうになった初香を見て、ミアは初香を助けに向かおうとした。
だが、モヒカンのイリュージョンに邪魔されてそれは叶わなかった。

何とか分身モヒの攻撃を避わし、初香の救助に向かおうとしたミアが見たのは、
初香の前に身体を投げ出すまゆこの姿。

「まゆこちゃん……!?」

なぜ、心が壊れたはずのまゆこがそんな行動に出たのか?
そんなことは誰にも分からない。

だが、彼女は人々を守る魔法少女として戦うことを選んだ、心やさしい少女だった。

たとえ壊れてしまったとはいえ、その平和を愛する優しい心が今にも殺されようと
している初香を見て、まゆこの身体を動かしたのかもしれない。

そして次の瞬間、ショットガンが火を噴き、まゆこの身体を撃ち抜いた。

それと同時に、倒れるまゆこ。
次いで、オーガの身体も崩れ落ちた。

それを見たモヒカンの顔が赫怒に染まった。

「テメェラァァァァーーーー!!!
 よくもオーガをおおぉぉぉぉーーーー!!!」

怒りの雄叫びを上げ、イリュージョンを発動するモヒカン。

五体のモヒカンは、ミアに二体、美奈に一体、えびげんに二体の割合で襲いかかる。

「くっ……!」

マジックロッドを失い、武器を持たないミアにはその分身たちを捌くことは難しい。
加えて、美奈に襲いかかる分身にも対処しなければならないのだ。


パァァーーーーンッ!!
パァァーーーーンッ!!


しかし、次の瞬間には美奈に向かった分身とミアに向かった分身の一体が消滅した。
驚くミアだが、救出に駆けつけてくれたメイド服の女性が頷くのを遠目に確認して納得する。

まだ一体残っているが、このくらいならマジックロッドを持たない自分でも何とかなる。

分身モヒの攻撃を避わしつつ、ミアは残った一体にハイキックを放つ。

「やあぁぁぁっ!」

気合いの声とともに叩きこまれた蹴りによって、残った一体も消滅する。

残りはえびげんに襲いかかっていった最後の分身と本体のみだ。






えびげんは迫り来る二体の変態を見据えながら、冷静に一体に銃弾を撃ち込んだ。


パァァーーーーンッ!!


銃弾を撃ち込まれた変態は消滅する。

舌打ちするえびげん。
どうやら、これも本体ではなかったらしい。

(……でも、これでチェックメイトよ)

銃弾は残り一発。
変態も残ったのは本体のみ。

えびげんは狙いを定めて、変態を撃ち抜こうと……。


ガンッ!!

「あだぁっ!?」

飛んできた何かが額にぶつかり、えびげんは痛みに蹲る。

「いったぁ〜〜……!何が飛んできたのよ!?」

自分の額にぶつかった物が何なのか確認すると、先ほど自分が撃ち殺した男の持っていた
ショットガンだった。

おそらく、変態が拾って投げつけたのだろう。

ひどいヤツだ。
銃は投げる物ではなく、撃つ物なのに。

「銃を投げるとか、銃に対する冒涜よ!
 こんな扱いをされて、銃も悲しんでるわよ!」
「ほ〜う……そうかそうか……。
 ところで、俺もてめえにオーガを殺されて
 悲しくて悲しくて仕方が無いんだがなぁ……?」
「……あれ?」

間抜けな声を上げるえびげん。
ふと見ると、変態はえびげんの目の前まで迫っていた。

慌てて銃口を向けるえびげんだが、モヒカンはそれを腕で打ち払った。
銃はえびげんの手から離れ、遠くへ転がっていった。

形勢逆転である。

「あ……あははは……」

誤魔化すように、笑顔を浮かべるえびげん。
頬には冷や汗が流れている。

「はっはっはっは」

モヒカンも笑う。

なんだ、意外と気が合うではないか。
えびげんは安心する。

「あっはっはっはっは!」
「ヒャアーーーハッハッハッハァァァ!」

笑う二人。

だが、モヒカンはいきなり笑うのを止めると、

「何がおかしいんだクソアマがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「きゃあぁぁぁっ!!?」

えびげんを押し倒すモヒカン。

「てめえは楽には殺さねぇ……!!
 全身の骨を砕いて、肉をぐちゃぐちゃに潰して、
 犯して犯して犯し抜いて、バラバラにしてやらぁぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁーーーー!!暴力はんたーーーーい!!」
「やかましいぃぃぃぃ!!」

拳を振り上げるモヒカン。

だが、そんな彼に衝撃が走る。

ズブっ!!

「あおおーーーっ!!?」

モヒカンの尻にナイフの刀身が刺さっていた。

モヒカンが怒りの視線を向けると、そこには刀身の無くなったナイフを構える初香の姿。

「……えびげんさんから……離れて……!」

モヒカンに痛めつけられた身体をよろけさせながらも、初香は毅然とした表情で
モヒカンを見据えている。

モヒカンは獰猛な笑みを初香に向ける。

「痛めつけ方が足りなかったみたいだなぁ、オイ……!!?
 いいぜぇ、さっきとは比べ物にならないほどたっぷりと可愛がってやるからなぁぁ……!!」
「……隙ありっ!」

初香に気を取られたモヒカンの隙を突いて、えびげんはモヒカンの股間を思いっきり蹴り上げた。

ゴインッ!!

「うごっ……!!?ぐがああぁぁぁぁっ!!」

モヒカン、股間を抑えてピョンピョン跳ね回る。

いくらタフな彼とはいえ、これは痛い。
そんなことをやっているうちに、ミアと美奈が駆けつけてきた。

それを確認したモヒカンは怒りに震えつつも、さすがに退くべきだと判断する。

「覚えてやがれ……!!てめえら、一人残らず苦しめ抜いて犯しつくして、
 ゴミのように殺してやるからなぁ……!!」

モヒカンは捨て台詞を吐いて、全速力で逃げ去っていった。




 

ミアはまゆことオーガの墓を作っていた。

オーガの墓まで作ることに美奈と初香は抗議の声を上げたが、ミアは首を振った。

たとえ裏切ったとはいえ、彼には助けられた部分があったことも確かだ。
それに死んでしまえば、敵も味方も無い。

平等に弔いたいというミアの言葉に、二人は渋々納得したのだった。

やがて、二人の墓を作り終えたミアは、墓の前で手を合わせて黙祷する。

そして、目を開けたときにはいつの間にか隣にメイド服の女性がいて、
同じように手を合わせていた。

「……いや、私が殺しちゃったわけだし、一応……ね?」

誤魔化すように笑うえびげんに、ミアは微笑む。

「……これからどうする?」
「そうですね……とりあえず、けっこう疲れちゃったし休憩がしたいです。
 さすがにもうヘトヘトですから……」

ミアはそう言いながら思う。

本当に疲れた。
この短時間で、いろいろなことがあり過ぎた。
風を操る少女との死闘、なぞちゃんの変貌、謎の男の襲撃、オーガの裏切り。

辛いことはたくさんあった。
だが、自分は生き残っている。

生きている以上は、あの男 ―― キング・リョーナを倒すまでは膝を折るつもりなどない。

(死んでしまった人たちのためにも、私たちが頑張らないと……)

ミアは改めて、この殺し合いの打破に臨む決意を固めるのだった。






「ちっくしょおぉぉぉ……あの女どもぉぉぉ……!
 絶対に殺してやるからなぁぁぁ……!」

モヒカンは憤怒の形相を顔に浮かべながら、道を進む。

「だが、さすがに俺一人じゃあの人数はキツイぜ……!
 何とかオーガのような仲間を見つけねぇと……!」

そんなモヒカンに声をかける者がいた。

「……よう、アンタ。
 さっきの戦い、見せてもらったぜ」
「……ああ?何だ、てめえは?」

モヒカンは胡乱気な目で声をかけてきた優男 ―― ダージュを睨む。

「そんなに警戒するなよ。俺はただ、アンタに協力したいと
 思って声をかけただけさ」
「俺に協力だとぉぉ?」

モヒカンの疑問の声に、ダージュは頷いて答える。

「ああ、そうさ。アンタ、あの女どもを殺したいんだろ?
 それなら、俺も一緒さ。
 俺は今、ある女を殺したヤツとその女の関係者を探してるのさ。
 詳しい説明は省くが、俺はそいつらを皆殺しにしたいんだ」
「……あの女どもが、その関係者だってのかよ?」

モヒカンの言葉に、ダージュは首を振る。

「いや……というか、分からん」
「はあ?」
「正直なところ、俺には誰がオルナの仲間なのか、
 誰がオルナを殺したのかということが全く分からないんだよ」
「おいおい……じゃあ、あの女どもは全く関係ないヤツかも
 しれねぇじゃねーか?」

モヒカンの呆れた声を聞き、ダージュは笑みを浮かべる。

「別にそれでもいいんだよ……要は、最終的に
 そいつらを殺せればいいんだからな……」
「……どういうことだよ?」
「分からないか?
 つまりさ……この場のヤツ全員を殺しちまえば、オルナを殺したヤツも、
 オルナの関係者も全員殺したことになるだろ?」
「……あー……」

モヒカンは納得する。
それと同時に、目の前のこの男が狂っていることも何となく理解した。

(まあいいか。一応協力するつもりはあるみたいだしな。
 適当に利用して、ポイだ)

モヒカンは目の前の男を利用することに決めた。
だが、そう考えているのはダージュも同じだった。

(あの分身の魔法は囮には最適だ……。
 俺のディレイ・スペルと組み合わせれば、最強かもしれない……。
 参加者を皆殺しにするために、精々利用させてもらうぜ……)

そう考え、ダージュは暗い笑みを浮かべてくっくっと笑う。

かくして、ここに異色のリョナラータッグが結成したのだった。




 
【オーガ@リョナラークエスト 死亡】
【まゆこ@魔法少女☆まゆこちゃん 死亡】
【残り30名】


【A−4:X2Y3 / 国立魔法研究所 / 1日目:午後】

【ミア@マジックロッド】
[状態]:魔力ゼロ(変身と回復のため)
[装備]:マジックロッド@マジックロッド
四葉のクローバー@現実世界(頭に装備)
[道具]:デイパック、支給品一式×2(食料12食分、水12食分)
火薬鉄砲@現実世界←本物そっくりの発射音が鳴り火薬の臭いがするオモチャのリボルバー銃(残6発分)
クラシックギター@La fine di abisso(吟遊詩人が持ってそうな古い木製ギター)
カッパの皿@ボーパルラビット
涼子のナイフ@BlankBlood
エリクシル@デモノフォビア
赤い薬×3@デモノフォビア
人肉(2食分)@リョナラークエスト
新鮮な人肉(当分は無くならない程度の量)
[基本]:対主催、できれば誰も殺したくない
[思考・状況]
1.体力と魔力の回復
2.巻き込まれた人を守る
3.なぞちゃんの捜索
4.バトルロワイヤルを止めさせる方法を探す

※オーガの本性を知りました。
※東支部で襲ってきたモヒカンが今回遭遇したモヒカンと同一人物だとは認識していません。
※オーガの持っていた肉が人肉だと気づいていません。



【登和多 初香{とわだ はつか}@XENOPHOBIA】
[状態]:疲労大、精神疲労中、全身打撲、アバラ二本骨折、胸骨骨折(魔法でいくらか緩和)
[装備]:ショットガン(残弾数2+15)@なよりよ
破かれた赤いテーブルクロス@バトロワ
[道具]:デイパック、支給品一式
火炎放射器(残燃料100%)@えびげん
スペツナズ・ナイフx9@現実
[基本]:殺し合いからの脱出
[思考・状況]
1.えびげんが探してきた服が見事気に入ったら、スペツナズ・ナイフを1本あげる予定
2.↑……だったが、助けてもらったのでもうちょっと条件を考慮しても良いと思ってる
3.仲間と情報を集める

※魔法の存在を知りました。



【えびげん@えびげん】
[状態]:健康
[装備]:三八式歩兵銃+スコープ(残弾1発、肩掛け用のベルト付き)@現実世界
メイド服@えびげん
[道具]:デイパック、支給品一式
髪飾り@DEMONOPHOBIA
エルデクーヘンx3@創作少女
魔封じの呪印@リョナラークエスト
パンダのきぐるみ@現実世界
豹柄ワンピース@現実世界
クマさんティーシャツ&サスペンダースカート(赤)@現実世界
ウェディングドレス(黒)@現実世界
ビキニアーマー@現実世界(コスプレ用のため防御力皆無)
[基本]:ハデ夫をぶちのめしたい
[思考・状況]
1.今度は初香をしっかり守る

※モヒカンを危険人物と判断しました。



【加賀 美奈@こどく】
[状態]:疲労大、精神疲労大、右肩複雑骨折(魔法でいくらか緩和)
[装備]:先の尖っている石@バトロワ世界(ポケットの中にしまっています)
(安全ヘルメットダージュに捨てられました)
[道具]:デイパック、支給品一式
木彫りのクマ@現実世界(一般的なサイズのもの)
AM500@怪盗少女(残弾1発、安全装置未解除)
※美奈は残弾数について確認していません。
奈々の拳銃(?/8)@BlankBlood
エリクシル@SilentDesire
[基本]絶対死にたくない、元の世界へ帰る
[思考・状況]
1.とりあえずこの集団についていく

※モヒカンを危険人物と判断しました。



【オーガ@リョナラークエスト】
[状態]:死亡
[装備]:無し
[道具]:無し



【まゆこ@魔法少女☆まゆこちゃん】
[状態]:死亡
[装備]:ミアの上着(墓に一緒に埋めました)
[道具]:なし (モヒカンとの戦いで喪失)






【B−3:X4Y1 / 森 / 1日目:午後】

【モヒカン@リョナラークエスト】
[状態]:顔面に落書き、頭部に木の枝が刺さった跡、カッパの皿が刺さった傷
脚に刺し傷、尻にスぺツナズ・ナイフの刀身が刺さっている
※ダメージはいずれもバカ補正で苦痛になっていませんが、一応出血はしています。
[装備]:無し
[道具]:無し
[基本]:女見つけて痛めつけて犯る
[思考・状況]
1.女を見つけたらヒャッハー
2.初香、えびげん、ミア、美奈を殺す

※東支部でのオーガ達との戦闘中の記憶が殆どありません



【ダージュ@リョナマナ】
[状態]:精神中疲労、魔力消費超微量
[装備]:なし(支給品を確認していません)
[道具]:不明(ランダム支給品を確認していません)
支給品一式
宝冠「フォクテイ」@創作少女
デコイシールド@創作少女
[基本]リョナラー、オルナの関係者を殺す
[思考・状況]
1.オルナの関係者を殺す。(誰が関係者か分からないので皆殺し)
2.現在は魔法も簡単なものしか使えないので強いヤツを避けながら夜を待つ。





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